気管支学
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45 巻, 3 号
選択された号の論文の19件中1~19を表示しています
表紙
会告
目次
巻頭言
論評
原著
  • 鹿野 幸平, 笠井 大, 内藤 亮, 安部 光洋, 川﨑 剛, 伊狩 潤, 鈴木 拓児
    2023 年 45 巻 3 号 p. 178-188
    発行日: 2023/05/25
    公開日: 2023/06/13
    ジャーナル フリー

    背景.気管支鏡検査は呼吸器疾患診療において重要である.その指導には学修者の能力とニーズに応じた指導計画が望ましいが,これらを詳細に調査した研究はない.我々は,気管支鏡の手技習得に関連した自己評価とニーズ調査を行った.方法.千葉大学医学部附属病院およびその関連病院の呼吸器内科医師に無記名式アンケートを実施した.背景因子の調査と共に気管支鏡実施に対する意識を評価した.また,気管支鏡の実施に必要な手技に関連して,理解・実践度およびセミナー,ワークショップの開催希望があるかについても評価した.得られた回答について,苦手群と得意群にわけ解析した.結果.42名の医師より回答を得た.気管支鏡実施に対する意識は,苦手群12名(28.6%),得意群8名(19.0%)であった.苦手群では,女性,若手,専門医未取得の医師が多い傾向にあったが,得意群と比較して有意差はみられなかった.理解・実践度について,全ての項目で苦手群の方が得意群よりも低い数値を示し,多くの項目で有意差がみられた.セミナーやワークショップの開催希望は,感染症対策,気管支鏡挿入,内腔観察,ガイドシースの適切な留置,経気管支肺生検の項目で,苦手群で開催希望が強くあったが,有意な差はみられなかった.結語.気管支鏡の手技を苦手とする群は,気管支鏡に関連した多くの手技に対して苦手意識を持っていたが,実手技を中心としたオンサイトでの指導を希望する傾向があった.実技の修得には知識が必要であるため,事前学習と実技指導を組み合わせたカリキュラムの作成が必要である.

症例
  • 田中 伸佳, 藤森 英希, 井田 朝彩香
    2023 年 45 巻 3 号 p. 189-192
    発行日: 2023/05/25
    公開日: 2023/06/13
    ジャーナル フリー

    背景.気管支分岐異常は稀である.右B3転位気管支を伴う中葉肺癌に対し,完全胸腔鏡下肺葉切除術を行った1例を経験したので報告する.症例.68歳,女性.好酸球性肺炎の経過観察中に右肺中葉の結節影を指摘され,当院紹介受診となった.胸部CTでは右肺中葉に3.1 cm(充実部2.2 cm)の結節影を認め,臨床病期T1cN0M0,stage IA3の原発性肺癌が疑われた.術前3D-CT再構築画像より右B3が中葉支より分岐する気管支分岐異常を認めた.結果.上中葉間は完全分葉不全であり,また中葉支よりB3が分岐していた.B4+5を先行処理し,中葉切除および系統的リンパ節郭清を行った.病理診断はT1cN0M0,stage IA3,腺癌であった.結論.右B3転位気管支と分葉不全を伴う中葉肺癌に対し,気管支を先行処理での中葉切除を施行した.術前3D-CTによる気管支分岐異常の認識とともに,腫瘍の局在や進行度により肺切除範囲を決定する必要がある.

  • 山中 美和, 宮原 隆成, 武内 裕希, 村元 美帆, 横関 万里
    2023 年 45 巻 3 号 p. 193-198
    発行日: 2023/05/25
    公開日: 2023/06/13
    ジャーナル フリー

    背景.カテーテルアブレーション後の肺静脈狭窄症は呼吸器内科医にとって認知度が低い可能性がある.症例.69歳,男性.67歳および68歳時に心房細動に対しカテーテルアブレーションを施行された.当院人間ドック胸部X線にて,左中下肺野にすりガラス陰影を認めた.1か月後の胸部CTでは左上葉にすりガラス陰影と境界明瞭な浸潤影を認め入院した.気管支肺胞洗浄液は血性であり,経気管支肺生検では器質化肺炎の所見であった.入院時胸部CTを再検討し,3D画像に再構成し肺静脈狭窄症と診断した.結論.カテーテルアブレーションの既往がある場合,肺静脈狭窄症は念頭に置くべき疾患である.

  • 加藤 俊夫, 岡田 茉莉花, 岡田 浩章, 太田 豊裕, 鈴木 耕次郎, 北川 由香, 矢野 智紀, 伊藤 理
    2023 年 45 巻 3 号 p. 199-204
    発行日: 2023/05/25
    公開日: 2023/06/13
    ジャーナル フリー

    背景.気管支動脈蔓状血管腫は,喀血を来しうる重要な疾患である.症例.56歳男性.喀血を主訴に救急外来を受診した.胸部CTで両側に肺気腫を認め,右上葉に拡張,蛇行した血管が描出された.気管支動脈造影によって右気管支動脈蔓状血管腫と診断した後,吸収性のゼラチンスポンジシートによる気管支動脈塞栓術(bronchial artery embolization:BAE)を施行した.再喀血を来したため,気管支鏡検査を行い,右中間幹の気管支動脈蔓状血管腫に一致する部位に暗赤色の血管を観察した.胸腔鏡下右気管支動脈結紮術を行い,止血が得られた.結論.気管支動脈蔓状血管腫の症例において,BAEでは喀血のコントロールが不十分な場合は,外科的気管支動脈結紮術は有用な治療選択肢となりうる.

  • 伊藤 稔之, 吉田 正道, 三木 寛登, 後藤 広樹, 児玉 秀治, 寺島 俊和, 藤原 篤司, 都丸 敦史, 藤本 源, 小林 哲
    2023 年 45 巻 3 号 p. 205-209
    発行日: 2023/05/25
    公開日: 2023/06/13
    ジャーナル フリー

    背景.肺門・縦隔リンパ節病変に対し超音波気管支鏡ガイド下針生検(endobronchial ultrasound-guided transbronchial needle aspiration:EBUS-TBNA)の有用性が周知されてきているが,EBUS-TBNAでアミロイドーシスの診断に至った報告例は少ない.症例.大腸癌および肺癌手術歴のある77歳女性.肺門・縦隔リンパ節腫大があり,精査目的で縦隔リンパ節(LN#4R)に対しEBUS-TBNAを実施し,病理組織学的検査でアミロイド沈着を認め最終的にALアミロイドーシスと診断した.結語.EBUS-TBNAは侵襲が少ない検査であり十分な組織採取が可能であることから,肺門・縦隔リンパ節腫大を伴うアミロイドーシスの診断において有用な手段となり得る.

  • 後藤 希, 高納 崇, 伊藤 亮太, 小玉 勇太, 稲垣 雅康, 中瀬 敦, 都島 悠佑, 白髭 彩, 松浦 彰彦, 横山 俊彦
    2023 年 45 巻 3 号 p. 210-214
    発行日: 2023/05/25
    公開日: 2023/06/13
    ジャーナル フリー

    背景.結核性胸膜炎及び腹膜炎は特異的な検査所見が得られにくく,診断に難渋することが多い.症例.78歳,女性.腹痛を主訴に受診した.原因不明の腹膜炎を認め,その精査中に両側胸水貯留を示し当科紹介となった.単核球優位でadenosine deaminase高値の滲出性胸水を認め,結核性胸膜炎を疑い局所麻酔下胸腔鏡検査を行った.生検した胸膜組織の結核菌核酸増幅法検査,病理所見から結核性胸膜炎と診断し抗結核薬3剤(isoniazid,rifampicin,ethambutol)による治療を開始した.治療開始後,腹膜炎と両側胸水はともに改善を認め,一元的に両側結核性胸腹膜炎と考えられた.結論.腹膜炎が先行した後に両側の胸水貯留を呈した特異な経過の結核性胸膜炎に対して,局所麻酔下胸腔鏡検査が診断に有用であった.

  • 桐山 洋介, 藤岡 真治, 蜂須賀 康己, 魚本 昌志
    2023 年 45 巻 3 号 p. 215-220
    発行日: 2023/05/25
    公開日: 2023/06/13
    ジャーナル フリー

    背景.中枢気管支内に進展する腫瘍は切除範囲及び侵襲が大きくなる傾向がある.症例.67歳男性.労作時息切れを認め前医受診.胸部CTで左気胸と右下葉気管支内の腫瘍性病変を指摘され当科紹介となった.気管支鏡検査では,腫瘍は右B6から中間幹に向けて進展しており,下葉気管支入口部をほぼ占拠する所見であった.生検結果は大細胞神経内分泌癌であった.気管支鏡にて内腔を確認し,腫瘍近傍に小結節はあったが迅速病理診断にて悪性所見はなかった.アルゴンプラズマ凝固で腫瘍先進部をB6亜区域支が確認できるまで焼灼した.引き続き胸腔鏡下右下葉切除・縦隔リンパ節郭清(ND2a-2)を施行した.気管支断端は迅速病理診断にて陰性であった.術後経過問題なく退院した.結論.中枢気管支内に進展する腫瘍に対して気管支鏡治療・外科治療を併用することで,低侵襲性を維持したまま完全切除が可能であった.

  • 新井 直人, 中山 雅之, 新井 郷史, 川﨑 樹里, 花輪 幸太郎, 黒崎 史朗, 渡邊 真弥, 間藤 尚子, 坂東 政司, 萩原 弘一
    2023 年 45 巻 3 号 p. 221-225
    発行日: 2023/05/25
    公開日: 2023/06/13
    ジャーナル フリー

    背景.肺末梢病変を呈する放線菌症は,気管支鏡検査で確定診断することが難しく,肺癌や肺結核との鑑別目的に外科的肺切除を必要とすることが少なくない.症例.47歳男性.咳嗽・血痰を主訴に受診した.胸部CTで右肺S1末梢に限局した浸潤影を認め,内部に気管支の拡張像を伴っていた.気管支鏡検査でガイドシース併用気管支腔内超音波断層法を用いて,病変から生検を複数回行い,嫌気培養の結果Actinomyces graevenitziiによる肺放線菌症と診断した.呼吸不全なく,6カ月間のアモキシシリン内服治療で陰影はわずかな瘢痕を残して消退し,その後再燃なく経過した.結論.内部に気管支拡張像を伴う肺末梢病変の鑑別に肺放線菌症が挙げられる.起因菌分離のための気管支鏡検査を施行する場合,病変内部で生検を複数回行い,さらに検体を嫌気培養に提出することが重要である.

  • 伊藤 涼, 友田 義祟, 宮島 崇, 谷川 洸成, 四竈 純, 竹内 千枝, 長澤 千奈美, 中野 滋文, 塙平 孝夫, 粟屋 幸一
    2023 年 45 巻 3 号 p. 226-231
    発行日: 2023/05/25
    公開日: 2023/06/13
    ジャーナル フリー

    背景.乳癌術後30年以上経過後に,胸膜転移による晩期再発を認めた報告は稀である.症例.75歳女性.増悪する労作時呼吸困難のため,当院に入院した.33年前に乳癌のため右乳房切除術を受けていた.胸部CTで両側胸膜肥厚に加えて両側少量胸水を認めるも有効な胸水検体が得られず,局所麻酔下胸腔鏡検査を施行した.壁側および臓側胸膜,横隔膜にまで白色の大結節が散在性に認められ,病理組織学的に管腔構造や篩状構造を認め,免疫染色の結果と併せて乳癌の晩期再発による癌性胸膜炎と診断した.結論.今回,局所麻酔下胸腔鏡検査にて診断し得た,乳癌術後33年目に再発した癌性胸膜炎の1例を経験したので報告する.

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