気管支学
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45 巻, 4 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
表紙
会告
目次
巻頭言
論評
症例
  • 村井 裕衣, 眞水 飛翔, 桝田 尚明, 佐藤 昂, 石川 大輔, 古川 俊貴, 石田 卓士, 小林 理
    2023 年 45 巻 4 号 p. 257-261
    発行日: 2023/07/25
    公開日: 2023/08/17
    ジャーナル フリー

    背景.気管支動脈瘤は稀な疾患であるが,破裂すると致死的な喀血を引き起こすことがある.症例.64歳男性.喀血を主訴に救急搬送された.身体所見,胸部画像所見とも特記すべきものはなく,喀痰抗酸菌検査の結果と合わせて気管支結核と診断した.第一選択の抗結核薬であるイソニアジド,リファンピシン,エタンブトール,ピラジナミドで治療を開始した.しかしながら,治療経過中に再喀血を認め,大量喀血により呼吸動態,循環動態の破綻を来した.そのため体外式膜型人工肺下で胸部大動脈ステントグラフト治療を含む集学的治療を行い,救命した.気管支結核に併存した気管支動脈瘤が再喀血の原因と考えられた.結論.気管支動脈瘤の破裂による大量喀血で重篤な状態に陥ったとしても適切な治療を行うことで救命は可能である.

  • 増田 佳子, 田中 秀和, 山田 紘之, 藤野 孝介, 池田 公英, 鈴木 実
    2023 年 45 巻 4 号 p. 262-268
    発行日: 2023/07/25
    公開日: 2023/08/17
    ジャーナル フリー

    背景.有瘻性膿胸の根治術において大網の有用性や筋皮弁のボリュームの重要性が多数報告されている.症例.82歳男性.身長165.7 cm,体重45.4 kg.胃癌にて噴門側胃切除後.糖尿病あり.右中葉肺癌にたいし右中葉切除後2年目に右肺炎から右有瘻性膿胸を起こし開窓術を施行した.1年半後,喀血を起こし緊急入院となった.ガーゼ圧迫と止血薬投与で止血が得られず,気管支動脈,肋間動脈,外側胸動脈の塞栓術を施行した.塞栓術施行後も少量の喀血が続くことから手術希望となり,右腹直筋皮弁,広背筋弁,肋間筋弁を用いて胸郭成形術を行った.少量の気漏が続くため,Endobronchial Watanabe Spigot(EWS)による気管支充填術を施行したところ気漏は消失し自宅退院となった.6か月後,肺炎が増悪,肺の含気も低下したため,EWSを抜去したが,有瘻性膿胸の再燃はみられなかった.結論.大網がなく筋肉量の少ない高齢者であっても腹直筋皮弁を使用した胸郭成形術に気管支充填術を組み合わせることで良好な結果が得られた.

  • 村山 望, 岡澤 成祐, 松本 正大, 水島 伊佐美, 神原 健太, 松井 祥子, 市川 智巳, 河岸 由紀男, 田中 真一, 猪又 峰彦
    2023 年 45 巻 4 号 p. 269-274
    発行日: 2023/07/25
    公開日: 2023/08/17
    ジャーナル フリー

    背景.超硬合金肺は超硬合金の塵埃を吸入した結果生じる職業性肺疾患である.稀な疾患であるが時に重篤化する症例が報告されている.診断には曝露歴の聴取が重要であり,確定診断のためには肺生検が有用である.症例.43歳男性.21歳時から超硬合金を使用した金属加工に従事していた.42歳時に乾性咳嗽が生じ,前医の胸部CTで両肺下葉のすりガラス陰影を指摘され,当科に紹介となった.職業歴から超硬合金肺を疑った.左肺下葉病変に対しクライオバイオプシー(transbronchial lung cryobiopsy:TBLC)を施行した.肺組織の元素分析によりタングステンが検出され,超硬合金肺と確定診断した.ステロイド内服加療で病状の改善を認めた.結論.TBLCで診断した超硬合金肺の1例を経験した.診断能の向上と侵襲の低減という観点から,TBLCの有用性が期待される.

  • 小林 洋一, 高柳 昇, 石黒 卓, 清水 禎彦
    2023 年 45 巻 4 号 p. 275-279
    発行日: 2023/07/25
    公開日: 2023/08/17
    ジャーナル フリー

    背景.感染性肺炎の画像パターンは多岐にわたるが,原発性ウイルス肺炎では片側性大葉性肺炎を呈することは稀と考えられている.症例.41歳女性.腰痛,咳嗽,発熱で発症した.胸部CTにて右上中葉に気管支透亮像を伴う大葉性肺炎を認め,入院した.広域抗菌薬治療に反応なく,気管支鏡検査を施行した.気管支肺胞洗浄液からは有意な病原体は培養されず,これを用いたポリメラーゼ連鎖反応法でアデノウイルス3型が陽性,ペア血清で抗アデノウイルス抗体価が有意に上昇したため,原発性アデノウイルス肺炎と診断した.結論.大葉性肺炎で抗菌薬が無効の場合,アデノウイルス肺炎の可能性を念頭に置く必要がある.

  • 三好 琴子, 難波 晃平, 髙田 悠司, 中治 仁志, 水守 康之, 山田 徹, 安松 良子
    2023 年 45 巻 4 号 p. 280-286
    発行日: 2023/07/25
    公開日: 2023/08/17
    ジャーナル フリー

    背景.肺類上皮血管内皮腫(pulmonary epithelioid hemangioendothelioma:PEH)は,血管内皮細胞由来の比較的稀な悪性腫瘍である.症例.70歳代,女性.他院で胸部X線異常を指摘され2019年12月紹介受診した.胸部CTで右肺中葉4 mm大の結節,右B6中枢側の気管支血管束肥厚,S6末梢に気道散布性粒状陰影を伴う多発結節を認めた.気管支鏡検査を行ったが生検,培養検体では有意な所見を認めず,経過観察とした.2020年9月のCTでは,右中葉結節は6 mmへ増大し,右B6気管支血管束肥厚は肺門リンパ節と一塊の結節様となり気管支を狭窄していた.この病変に対し気管支鏡にて直視下生検を行い非小細胞肺癌の組織診断を得て,さらに気管支洗浄液培養検査でMycobacterium aviumM. avium)を検出した.非結核性抗酸菌症(non-tuberculous mycobacterial disease:NTM)と右S6非小細胞肺癌cT1cN1M0 cStage IIBとの合併と考え,2020年11月 胸腔鏡下右肺中下葉切除を施行した.病理診断ではS6結節及び中葉結節はPEHであり,中下葉に多数の類上皮肉芽腫を認め抗酸菌感染の合併が示唆された.結論.肺NTM症とPEHの合併症例を経験したので報告した.

  • 松井 雄介, 鈴木 潤, 渡辺 光, 捧 貴幸, 佐藤 開仁, 千田 邦明, 福田 憲翁, 塩野 知志
    2023 年 45 巻 4 号 p. 287-291
    発行日: 2023/07/25
    公開日: 2023/08/17
    ジャーナル フリー

    背景.縦隔気管孔作成術は上部気道を含めた広範な気管切除を要する症例で行われる術式である.永久気管孔術後の吻合部壊死は稀な合併症であるが,保存的治療が困難な場合がある.頸部食道癌術後に発生した永久気管孔吻合部壊死に対し,縦隔気管孔作成術を施行したので報告する.症例.65歳男性.頸部食道癌の診断で咽喉頭食道全摘術,両頸部郭清および後縦隔経路胃管咽頭吻合再建を行い,永久気管孔を造設した.術後4日目より気管孔入口部に全周性の黒色痂皮が付着し,吻合部の全層性気管壊死が疑われた.このため初回術後21日目に縦隔気管孔作成術を行い,吻合部は大胸筋皮弁で被覆した.術後31日目の経過は良好である.結論.永久気管孔術後の吻合部壊死に対して縦隔気管孔作成術を行った1例を経験した.手術の適応については多くの因子が関与するため,入念な議論を行ったうえでの治療選択が望ましいと考えられた.

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