気管支学
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最新号
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表紙
会告
目次
巻頭言
論評
症例
  • 大井 昌寛, 出村 芳樹, 多田 利彦, 黒川 紘輔, 佐々木 圭, 豊田 裕士, 山岡 幸司
    2024 年 46 巻 2 号 p. 79-84
    発行日: 2024/03/25
    公開日: 2024/04/02
    ジャーナル フリー

    背景.気管腺様囊胞癌は気管原発の悪性腫瘍の中では比較的予後良好とされるが,肉眼的な腫瘍境界を越えて神経周囲に浸潤を来していることが少なからずある.転移様式は血行性が多いとされる.症例.73歳男性.嚥下機能低下,右上肢麻痺を主訴に前医を受診し,右側のホルネル症候群も認められたためパンコースト症候群が疑われ当科に紹介された.胸部CTで気管に径3 cmの腫瘤,及び頸部MRIにて右側C5~8,T1神経根から腕神経叢に連続する神経腫大病変が認められた.気管支鏡下に気管内腫瘤を生検し病理組織診断は腺様囊胞癌であった.腕神経叢病変の生検検体からも腺様囊胞癌が検出され,気管原発からの遠隔転移と診断した.腺様囊胞癌に対しては積極的な治療は行わず,対症療法に留める方針となり,診断から約2年後に逝去された.結論.腕神経叢に転移しホルネル症候群及び右上肢麻痺を発症した気管腺様囊胞癌の稀な症例を経験した.

  • 藤本 昌大, 立原 素子, 桂田 直子, 田中 伴典, 山田 潤, 佐藤 宏紀, 羽間 大祐, 山本 正嗣, 小林 和幸
    2024 年 46 巻 2 号 p. 85-89
    発行日: 2024/03/25
    公開日: 2024/04/02
    ジャーナル フリー

    背景.Diffuse pulmonary meningotheliomatosis(DPM)は,胸部CT画像で多発結節影を呈し,外科的生検で診断されることが多い.症例.43歳女性.汎下垂体機能低下症で当院糖尿病・内分泌内科に通院していた.胸部CT画像で,両側肺に多発する1~5 mm大のすりガラス結節を指摘され,当科に紹介された.胸部CT画像では,5か月の経過で結節のサイズに変化はなかったが,画像所見からは転移性肺腫瘍などが疑われたため,左B8a,左B9aより経気管支肺クライオ生検を施行した.病理組織所見では微小肺髄膜細胞様結節を複数認め,画像上のすりガラス結節陰影に一致すると考えた.病理所見と画像所見を合わせてDPMと診断した.結論.DPMを含む多発すりガラス結節の診断に経気管支肺クライオ生検が有用な可能性がある.

  • 阿部 大輔, 佐々木 由美子, 高畑 徳子, 玄 崇永, 八木 光昭, 矢口 大三, 志津 匡人, 市川 元司
    2024 年 46 巻 2 号 p. 90-95
    発行日: 2024/03/25
    公開日: 2024/04/02
    ジャーナル フリー

    背景.超音波気管支鏡ガイド下針生検(EBUS-TBNA)は合併症の頻度は低いが,感染性合併症は重症化するリスクがあり注意が必要である.今回我々はEBUS-TBNA後に化膿性リンパ節炎をきたし,EBUS-TBNAにて排膿し軽快した症例を経験したので報告する.症例.症例は33歳男性.健診にて胸部X線異常を指摘され,当院紹介受診となった.CT上両側肺門・縦隔・腹部リンパ節腫大,右上葉に空洞性結節を認め,#7リンパ節からのEBUS-TBNAで病理学的にサルコイドーシスと診断した.頭部MRIにて脳病変を認め,気管支鏡検査11日後にステロイド大量療法を開始した.気管支鏡検査39日後(第1病日)当科再診時に発熱があり,CTで内部に低吸収域を伴う#7リンパ節の腫大を認め,採血でWBC,CRP上昇もあり化膿性リンパ節炎の診断で抗菌薬治療を開始した.第5病日に採血,CTを再検したが改善なく,第6病日にEBUS-TBNAによる排膿を実施し培養検査にて複数の口腔内嫌気性菌が検出された.以後抗菌薬治療を継続し軽快した.結論.化膿性リンパ節炎に対してEBUS-TBNAによる排膿は良好な転帰につながる可能性がある.

  • 堤 将也, 山入 和志, 向井 文香, 山口 実賀, 藤井 裕子, 三木 雄三, 柳生 恭子, 眞本 卓司, 少路 誠一
    2024 年 46 巻 2 号 p. 96-101
    発行日: 2024/03/25
    公開日: 2024/04/02
    ジャーナル フリー

    背景.クリプトコックス症は,莢膜を有する酵母であるクリプトコックス属に感染し発症する深在性真菌症である.肺と中枢神経系の感染が多いが喉頭・気管病変は稀である.症例.82歳,女性.X-3年1月にホジキンリンパ腫と診断され,化学療法を行い完全寛解となった.経過観察目的にX年5月に撮影した胸部CTで右肺下葉に結節影が出現し,咳嗽と嗄声も同時期より発症した.血液検査でクリプトコックス・ネオフォルマンス抗原が陽性であり,診断のために気管支鏡検査を施行した.喉頭,気管に白色隆起性病変を確認し,右S6結節,気管の隆起性病変の生検を行った.組織からCryptococcus neoformansが培養陽性となりクリプトコックス症と診断した.フルコナゾールによる治療を行い,嗄声は改善し胸部CTで肺結節影は縮小し,気管支鏡検査で喉頭,気管病変の改善が見られた.結語.免疫抑制状態がない場合でもクリプトコックス症が疑われる場合は,気管支病変や喉頭病変の有無も検索することが重要である.

  • 藤田 琢也, 苗村 祐樹, 花岡 淳
    2024 年 46 巻 2 号 p. 102-105
    発行日: 2024/03/25
    公開日: 2024/04/02
    ジャーナル フリー

    背景.気管支発生の孤立性髄外性形質細胞腫は稀である.今回気管支鏡下のスネアによる切除で診断された気管支原発孤立性髄外性形質細胞腫の1例を経験したので報告する.症例.60歳,男性.2週間前からの微熱,咳のために受診し胸部CTで左肺門に腫瘤影と閉塞性肺炎像を認めた.気管支鏡検査を行ったところ,左下葉支より突出した10 mmの赤色腫瘍を認めた.生検鉗子で一部採取したが確定診断には至らなかった.そのため全身麻酔下に高周波スネアを用いて腫瘍の大部分の切除を行い,病理検査に提出した.腫瘍は好酸性のアミロイド沈着物に多核異物巨細胞と核小体の目立つ形質細胞の浸潤を認め,浸潤した形質細胞はκ鎖陽性,λ鎖陰性であり形質細胞腫と診断した.他臓器に病変を認めず,孤立性髄外性形質細胞腫と診断した.局所的放射線治療を行い,病変は消失した.結論.原因不明の気管支内腫瘍に対しては本疾患の可能性も念頭に置き,高周波スネアを用いた内視鏡的診断法も考慮すべきと思われた.

  • 松井 栞, 宇山 攻, 竹原 恵美, 澤田 徹, 日野 直樹, 堀口 英久
    2024 年 46 巻 2 号 p. 106-111
    発行日: 2024/03/25
    公開日: 2024/04/02
    ジャーナル フリー

    背景.肺平滑筋腫は肺腫瘍全体の0.04%程度を占める希な疾患で気管支型と肺実質型に分類される.呼吸機能を温存した治療が望ましいが葉気管支より末梢に発生した気管支型平滑筋腫はときに治療法の選択で問題となる.症例.60歳代,男性.労作時呼吸困難の精査で左下葉支を閉塞する結節影を認め当院紹介となった.気管支鏡検査では左下葉支入口部を閉塞する腫瘍を認め胸部CTでは下葉無気肺を呈していた.生検では確定診断がつかなかったが平滑筋の索状増殖像がみられPETで集積を認めないことから平滑筋腫が疑われた.気管支鏡での摘出は困難と判断され呼吸器外科紹介,気管支楔状切除を伴う左肺S6区域切除術を施行した.摘出標本では腫瘍はB6入口部から広基性に発生しておりB6内腔は閉塞し下葉支内腔側に突出していた.病理診断結果は平滑筋腫と診断された.術後,労作時の呼吸困難は消失した.結論.内視鏡治療が困難な区域支分岐部発生の平滑筋腫に対する気管支楔状切除を伴う区域切除術は呼吸機能温存からも有用な術式であった.

  • 祢木 芳樹, 吉田 沙由理, 村上 美沙, 神取 恭史, 河村 直樹, 近藤 孝憲, 藤岡 毅, 山崎 隆, 廣田 誠一, 木島 貴志
    2024 年 46 巻 2 号 p. 112-118
    発行日: 2024/03/25
    公開日: 2024/04/02
    ジャーナル フリー

    背景.悪性胸膜中皮腫は,胸膜から発生する胸部悪性腫瘍である.同じ胸部悪性腫瘍である原発性肺癌は肺実質から発生するが,両者の鑑別には難渋することもある.症例.67歳男性.労作時呼吸困難を主訴に近医を受診し,当科紹介初診となった.PET-CTでは多発リンパ節転移,多発骨転移,両側副腎転移を認め,右上葉肺癌の疑いにて気管支内視鏡検査を実施した.肉眼的に腫瘍浸潤を認めた右B3aより経気管支肺生検を実施したが,画像診断に反して,病理組織から悪性中皮腫(上皮型)の確定診断を得た.悪性胸膜中皮腫(上皮型)cT4N2M1 stage IVの診断に対して,nivolumab+ipilimumabで化学療法を導入し,2コース終了後の効果判定CTではpartial response評価を得たが,3コース目を実施中に腹膜播種による病勢の増悪を認めた.結語.気管支内視鏡検査による経気管支肺生検で確定診断を得た偽肺癌性中皮腫の1例を報告する.

  • 中村 太陽, 河口 洋平, 今井 健太郎, 梶原 直央, 池田 徳彦
    2024 年 46 巻 2 号 p. 119-123
    発行日: 2024/03/25
    公開日: 2024/04/02
    ジャーナル フリー

    背景.気管内挿管による気管損傷は稀な合併症の一つである.損傷が大きい場合は外科的な修復が治療の選択肢となるが,損傷の状況により保存的治療が選択される場合もある.症例.77歳,女性.心筋梗塞の加療中に人工呼吸器管理となり,抜管したものの心不全が増悪し再挿管となった.挿管時に喀血を認めたため,気管支鏡検査を施行したところ気管膜様部に3.5 cmの損傷を認めた.心機能が著明に低下していた事,縦隔気腫及び気胸を認めなかった事から,気管損傷部位より末梢に気管チューブのカフを留置し,保存的治療を選択した.損傷した膜様部は徐々に肉芽が形成され,損傷後約2カ月で治癒した.結語.気管内挿管による広範囲の気管損傷であったが保存的に治癒しえた.

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