アラブ首長国連邦において広く利用されている在来の緑化樹種, サマー (
Acacia tor-tilis), ガフ (
Prosopis cineraria), シダー (
Zizyphus spina-christi), マルク (
Leptadenia pyrotechnica) を対象に, 異なるNaCl濃度 (30mM, 60mM, 90mM, 120mM) 下での発芽実験, 異なるNaCl濃度 (60mM, 120mM, 180mM) 下での水耕実験を実施し, 発芽および初期生育に及ぼすNaC1の影響を調べた.その結果, (1) NaCi120mM区における発芽率の相対値は, ガフ (80)>サマー (77)>マルク (67)>シダー (28) の1頂となり, シダーの耐塩性は他に比べて弱かった.(2) 地上部の高さ (苗高) および乾物重はNaC1濃度上昇とともに低下し, ガフを除く3種については明らかな生育阻害が認められた.(3) NaCI180mM区における地上部乾物重の相対値は, ガフ (72)>シダー (51)>サマー (21)>マルク (11) の順となり, ガフおよびシダーの耐塩性は他2種に比べてかなり強いことが明らかとなった.(4) ガフは発芽および初期生育においても強い耐塩性を示したが, サマー, シダーおよびマルクでは初期生育時の耐塩性と発芽時の耐塩性の程度は必ずしも一致しなかった.初期生育における耐塩性の違いについて, 植物体内の無機成分の吸収様式の観点から論議した.
抄録全体を表示