オオバヤシャブシの若い植栽群落において乾物生産と間引き (間伐) によるその変化を調べた.純生産速度の推定は物質収支表を作成して行った.この作表に必要な現存量・枯死量・被食量を調査した.花粉生産や根量の調査も実施した.間伐で胸高断面積を45%に減らしたところ, 幹枝および葉の現存量はいずれも47%に減少した.間伐直後の2年間の平均純生産速度は地上部が1503g/m
2・yr, 地下部を含めて1806g/m
2・yr (最小値) と推定された.この地上部の平均値は間伐前の値 (1550g/m
2・yr) に一致した.間伐翌年には葉の現存量の減少にともなって地上部純生産速度も低下したが, 2年目には回復し, 葉および地上部の値は間伐前の値を越えた.一方, 幹枝の純生産速度は間伐直後も低下せず, とくに枝では増加を示した.葉の乾物生産能率, すなわち純生産速度における葉対地上部の比は間伐直後には1.4倍に上がり, 葉対幹枝の比では2倍になった.しかし, この上昇は間伐後1年目だけの現象で, 2年目には元の値に戻った.
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