近年, 我国の農業技術は, 機械化・施設化の方向を強めているが, 農作業労力中に占める運搬・搬送作業労力の比率は, いまだに高く, 又運搬・搬送手段も, 多種のものが不統一に利用されている現状である。一方, そのような運搬・搬送手段に関しては, ここ数年前から, ハウスカー・穀類搬送機等について, 小嶋ら, 竹内ら, 鶴崎ら, 山沢らによって研究されているが, 他の農業機械に比べてその報告数もまだ少ない。著者は, 農用運搬・搬送手段に関して, 全国的アンケート調査を行い, 上述の問題点をより明確にするとともに, その結果を背景として, 新しい駆動原理による運搬機 (Hydraulic Locomotive) の開発研究を行なったので, その結果を逐次報告する。第1報では, アンケート調査結果に基く現用運搬・搬送手段の実態分析及び選択規準についてのべ, 第2報以下に Hydraulic Locomotive の駆動理論, 走行実験の結果について報告する。又, 同時に研究を進めている駆動フリーカーブローラコンベヤ及びエアースライドコンベヤに関して第4報以降にその結果を報告する予定である。農用運搬・搬送手段の利用システムについては, 苗場山麓開発地域を対象として, 選果場を中心とする運搬システムの最適化モデルに関して研究を進めているので, その結果についても本研究の一部としてのちに報告したい。
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