プログラムを書き表わす言語は多数ある.人工的なこれらの言語は,定義書によって定められる.特に広く使われている言語は,規格として与えられる.これらの定義に用いられている方法について背景を含めて紹介し,あわせてそれらの読み方について注意すべき点を述べる.
日本語の対話を理解するシステムとして,オブジェクト指向の概念に基づいて構文・意味解析および対話理解を行なうシステム(ODDS, an Object Driven Dialog System)を開発した.構文・意味解析は格文法に基づく意味情報主導型で,単語をオブジェクト指向プログラミングにおけるオブジェクトと考えることで文法記述の階層化を行なう.さらに解析時に格を決める操作を単語カテゴリーに付随する問題解決方法として分散させることで柔軟な制御を可能にした.対話理解(文脈に応じた文の理解)は構文・意味解析の結果得られる入力文の意味表現に対するプロダクション・ルールにより制御する.対話の状況をオブジェクトとしてとらえ,各状況において有効なプロダクション・ルールとその制御方法をそのオブジェクトの知識としてもたせることで対話の状況に応じた適切な反応を可能にした.
有名な一般化されたユークリッドのアルゴリズムが2個の多項式から剰余列を計算するのに対して,多重多項式剰余列とはm個(m≧3)の多項式の組から計算されるm個の剰余列のことである.多重多項式剰余列の理論は日本で生まれ,日本で発展した,日本における数式処理研究の大きな成果の1つである.ユークリッドのアルゴリズムおよびその拡張が代数的計算法において非常に広汎な応用をもつように,多重多項式剰余列の理論とその拡張アルゴリズムも広汎な応用を期待される.本稿では,その理論とともに,1つの重要な応用例として,多項式係数線形不定方程式の多項式解の計算法を示す.