非定常熱傳導の問題は,應用数学の一分野たる熱傳導論として精細な研究が行われ,各種の境界條件に対して嚴密解が與えられている。
1)しかし一旦化学技術者がそれらの式を実際の設計に應用する段になると,数値計算に要する時間と労力のことを考えるだけでうんざりしてしまうのが実情かもしれない。これを救うものとしてGurneyおよびLurie,
2)或いはGröber
3)らが作成した図表を用い,求める値を簡單に得る方法があるが,これでも境界條件が所定の場合に限られるので,別の條件に対しては力を失うことになる。こういう場合に時間と労力を費さずに,簡單に所期の目的を達するためには,Schmidtが提出した優れた作図解法を應用すればよい。この方法は嚴密解に対して或る程度の誤差を生じ,かつ一方向の熱傳導問題に限られるが,少くとも簡單に現象の本質を把握するには極めて効果的であるものと思われる.
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