ここではダイナミック・プログラミングを最高温度が決められている多段断熱反応層の最適設計 (目的関数としては必要触媒量を最小とする場合) へ応用して, 理論的解析を行なった例を報告した。しかし同じ最適設計の問題でも目的関数を他のものに選定することによって, ダイナミック・プログラミングによる問題の処理のしかたは異なってくる。だが目的関数を固定するならば, この問題においても, さらに制限条件としてたとえば反応入口温度の最低温度が加わった場合とか, また温度に対する制限値が各段ごとに異なる場合, また転化率と温度との関係が直線であらわされない場合でも, この手法で十分解析可能であり同じProgramで行なうことができる。以上のようにこの問題のとりあつかい方としては, んな制限条件の中でも最適値を求めることができるので, 非常に適用性が広い手法となっている。
計算を実行するためには, 大型高速電子計算機を必要とする問題点はあるが, なんら解析的な手法は一切使わないから, 複雑な系でまだ解析的な条件が求められていない系の最適化に有力な手段になるとおもわれる。ゆえにこの手法をさらに複雑な化学プロセス全体の最適設計や最適操作へと利用することは今後の問題である。
終りに計算全体の御指導をいただいた東洋エンジニヤリング技術部計数課長浜田善次氏およびプロセス部此木恵三氏に厚く感謝いたします。
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