高温でゼオライト触媒を用いてトルエンを反応させると, トルエンの不均化反応と, キシレン, トルエンの脱メチル化反応が併発し, 反応時間の経過とともに, コーク生成によって各反応の活性およびキシレンの選択率が変化した. 触媒層内の活性分布を一様と仮定して実験値を解析した結果, 各反応に対する, 劣化した触媒の最初の触媒に対する活性の比は反応経過時間の指数関数として表わされること, およびこれらの反応の活性が選択的に劣化することがわかった. この仮定の妥当性を確かめるために, 種々の劣化機構に対して層内の触媒活性の分布を求めた. その結果, 活性劣化の初期において活性の比は反応経過時間の指数関数として表わしてよいこと, したがって本実験で用いた取扱いが妥当であることがわかった. さらに, 選択的劣化を起こすことは, 転化率-収率線図を描くことによってよく表わされることを示し, 実験によりこれらの反応の活性が選択的劣化により減少することを確かめた.
抄録全体を表示