技術の国際化時代を迎えで, 独創的な自主技術開発の必要性が唱えられている。現象の観察と, その定量的な測定は, 創造活動の糧であり, 自主技術蓄積の原点である。本誌においても, 会員の二の要望にこたえて, 27巻5号(1963)に「測定実験技術」, 30巻8号(1966)に「パイロット実験技術」の特集を編集した。
化学工学では, 物質と熱の収支が装置設計の基本の一つとなっているので, バケツとカンカンによる測定が幅をきかせているなどという声もきかれた時代もあったといわれる。その後, 化学装置の設計は装置内の現象を記述する高度な解析に基づいて行なわれる方向へと進んでいるので, この測定実験技術の特集では, 化学装置内の現象として基本的なものである伝熱, 流動, 二相流を柱に企画した。ただし, 化学工学の特徴として, 取扱う範囲が広汎にわたるので, あらゆる局面を網らすることはできない。ここでは, それぞれの分野の代表的な研究者に執筆を依頼し, 各局面における最近の動向を紹介していただいた。小特集的なコンパクトな企画となったが, この他にトピックス的記事と, 最後にむかしの測定技術と題した対談を加えていろどりを添えたしだいである。
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