多孔板精溜塔において上昇する蒸気の流量が小さいと,蒸気は棚全体から上昇しないで部分的に通過し,棚全体が有効に気液接触作用を司らないことがある。この場合蒸気速度を次第に増大さすと通過する部分が漸次拡がり,ついに棚全体に安定な泡沫層を形成するにいたる。多孔板全体が有効に作用するための許容最低蒸気速度は液量,孔径,ピッチおよび多孔板の傾斜などでいかに変化するかを考察し,許容最低蒸気速度を求める一般式を導出した。なお実験の結果によれば多孔板の傾斜がむやみに大きくないかぎり,傾斜は実際上さして問題にならないことが明らかになつた。
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