化学工学における調湿という分野のカテゴリーは, 周知のように空気一水系の調湿操作から出発し, その後久しく実質的な変化は見られなかったが, 近年この分野の研究が発展するに伴って, 一般ガス-液系の調湿操作をも含めた不溶性ガスと純液との接触操作にまで拡張されてきている。
しかしながら, 近年諸種の目的で空気またはガスの調湿を必要とされる場合が急増しており, また同時にそれらの目的条件の範囲もかなり拡大してきた。
しかして今後このような事情に対処して行くためには, 上述のようなカテゴリーにこだわらず, 広い視野に立ってそれぞれの目的, 条件に対してもっとも適切な手法を選択し, かつ合理的に適用できる基礎を確立する必要がある。
このような意味あいにおいて, 本レビューでは上述の調湿のカテゴリーに, 今後比較的広く実用に供されると考えられる冷却凝縮器による減湿, 液体吸湿剤による減湿および固体吸着剤による減湿の諸操作を加えて, 「化学工学便覧 (新版)」が執筆されて以後に現われた研究成果について紹介した。
なお混合蒸気の凝縮や自然対流における熱と物質の同時移動などの現象は調湿操作と共通な問題を種々含んでおり, 興味も多いのであるが, 紙面の都合で割愛した。
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