流れを伴う輻射吸収性流体の熱移動において, 二重管環状部を輻射吸収性流体が層流で流れている場合について, 流れと直角方向の温度分布を理論的に数値計算し, 試料として炭酸ガスを用いて実験を行ない出口混合平均温度を測定した。実験結果と理論計算結果とを比較検討し, さらに温度分布および壁との伝熱におよぼすN (伝導と輻射による伝熱量の比),(τ
2-τ
1)(光学的厚さ) およびN
B0 (流体のエンタルピ量と輻射伝熱量との比) の影響について考察を行ない, 次のような結論を得た。ただし, 考察はN=0.015~0.091,(τ
2-τ
1) =0.35~1.67, N
B0=5.5~41.2の本実験範囲で行なった。
i) 出口混合平均温度の実験結果と数値解とは傾向的に良好な一致を示した。
ii) 輻射吸収性流体においては, 輻射は熱移動を促進させ, また温度分布の形を変化させる。数値計算結果によると,(τ
2-τ
1) が大きくなると輻射伝熱量が増大すること, Nの値によって温度分布の形が変わることおよびN
B0が小さくなるにつれて輻射の寄与が入口付近で大きく減衰することなどが認められた。
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