撹拌槽中に懸濁する難溶性硫酸塩 (Ca, Sr, Ba, Pb) をH
+型カチオン交換樹脂 (Dowex 50W) を用いて, 温度30℃で溶解する場合について, 平衡ならびに速度論的検討をおこなった。硫酸塩の溶解度および全酸濃度 (H
++HSO
4-) つがイナン交換によって生ずる水素イオンによって影響をうけるので, 樹脂量と液相容積の比に対する水素イ才ン濃度 (CH) の関係およびイオン交換率にあたえるCHの影響をそれぞれ検討し, その結果を図で示した。
ついで, 微細な塩粒子を大過剰に存在せしめ, 塩粒子と液相間の液境膜内物質移動抵抗が無視できる条件で, CHの時間的変化を測定し, 溶解速度を検討した。速度式は平衡論的結果にもとつぎ, CHの関数としてあらわした。CaおよびSr系では溶解速度曲線が速度式にしたがい, 操作条件と物質移動係数との間に相関関係が確かめられた。しかし, BaおよびPb系では過飽和現象にもとづき, 推進力が過大になったものとみられ, 妥当な結果を得ることができなかった。
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