廃棄物資源循環学会誌
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21 巻, 5 号
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巻頭言
特集:容器包装プラスチックのリサイクルと今後
  • 近藤 亮太
    2010 年 21 巻 5 号 p. 265-272
    発行日: 2010年
    公開日: 2014/12/19
    ジャーナル フリー
    容器包装リサイクル法に基づくプラスチック製容器包装廃棄物については,2000 (平成12) 年度から,プラスチック製容器包装廃棄物をプラスチックの原材料として利用する材料リサイクル手法と,化学的に処理して化学原料として利用するケミカルリサイクル手法という2つの再商品化手法によってリサイクルが進められてきている。
    このプラスチック製容器包装廃棄物の再商品化手法および入札制度の在り方については,2009年9月の中間取りまとめを受けて2010年1月に中央環境審議会・産業構造審議会の合同会合にて検討が再開されたところ,今般取りまとめがされることとなったことから,その概要について紹介する。
  • 葛良 忠彦
    2010 年 21 巻 5 号 p. 273-280
    発行日: 2010年
    公開日: 2014/12/19
    ジャーナル フリー
    現在,包装材料として,プラスチックが主要な材料となっている。プラスチックが適用されている包装材料の形態は,フィルム包装,シート成形容器,射出成形容器,ブロー成形容器など,その種類は多様である。包装材料としてのプラスチックは,ガラス,金属,紙に比べて,その歴史は比較的新しい。フレキシブル包装としては,セロファンの単層フィルム包装から始まり,現在バリア包装として,多層フィルムが多用されている。シート成形容器は,スーパーマーケットでのプリパックに適用されるようになり,普及した。ブロー成形容器は,食用油,液体調味料の容器として適用されるようになり,現在では,飲料容器として地位を確立した。包装材料には,多くの機能が要求されるが,ガスバリア性は特に重要である。現在,種々のバリアー材料やバリア化の技術が開発されている。包装材料はその使命を終えると廃棄される。このため,3R (リデュース,リユース,リサイクル) を基本とする包装設計が行われている。
  • 上山 静一
    2010 年 21 巻 5 号 p. 281-287
    発行日: 2010年
    公開日: 2014/12/19
    ジャーナル フリー
    容器包装リサイクル法が対象としているプラスチックのリサイクルについては,未だ多くの課題が顕在化し議論されている。本稿では消費者に最も近い位置の産業である小売業界の視点でこれまでの取り組みと最新状況,ならびに今後のあり方についてとりあげる。
    容器包装の三大機能は内容物の保護,マーケティング機能としての情報提供,そして取り扱いの利便性であるが,その一方で単一素材化などの環境配慮の必要性も指摘されている。これらのバランスをどうとっていくのかという課題とともにリデュース施策の重要性も増加してきている。小売業界は40年程前から幾多の施策でこの問題に取り組んで来たが,常に地域の消費者,行政との連携を軸に展開し,社会の持続可能性を追求してきた。
    現在の容器包装リサイクル法の課題は透明性,公平性の確保である。加えて再生プラスチックやバイオマスなどの植物由来プラスチックの普及を目指す企業に対するインセンティブ設計の必要性や,消費者への「環境配慮商品の選択への誘導策」の必要性に対する具体的制度設計の議論が今こそ求められている。
  • 中井 八千代
    2010 年 21 巻 5 号 p. 288-294
    発行日: 2010年
    公開日: 2014/12/19
    ジャーナル フリー
    現在の容器包装リサイクル法 (容リ法) は,発生抑制と環境配慮設計に切り替えるインセンティブになっていない。使い終わった後の処理責任を事業者がきちんと果たし,その費用は製品価格に内部化し,買って使う消費者が負担する仕組みの構築が必要である。「環境を守るためのコスト」を,きちんと消費者にメッセージとして伝え (見える化),生産者と消費者が各々の環境配慮責任を分かち合い,持続可能な社会をつくっていきたい。現在,国では市民が参加しやすく,かつ効率のよいプラスチックの資源化手法,容器包装以外のプラスチックのリサイクルが検討されている。店頭回収の拡充,ソーティングセンターの導入など,自治体と事業者の役割分担と連携の新たな発展を求めたい。容器包装の3Rを進める全国ネットワーク (3R全国ネット) は,積み残した課題を今度こそ実現させようと,容リ法の再改正に向けての市民案を発表している。
  • 濵田 雅巳
    2010 年 21 巻 5 号 p. 295-299
    発行日: 2010年
    公開日: 2014/12/19
    ジャーナル フリー
    横浜市では,G30プランを策定し,市民・事業者との協働により,ごみの減量・リサイクルに取り組んだ結果,2009 (平成21) 年度には2001 (平成13) 年度に対して,目標を上回る42%のごみ減量を達成した。
    具体的な取り組みの一つに2005 (平成17) 年4月から全市展開を行った家庭ごみの分別収集品目の拡大があり,その中で容器包装リサイクル法に基づくプラスチック製容器包装の分別・リサイクルを行ってきた。
    そこで,取組開始後,5年が経過したが,本市におけるプラスチック製容器包装の分別・リサイクルの現状を紹介するとともに,顕在化してきた課題を整理し,解決に向けた方向性を示す。
  • 浅川 薫
    2010 年 21 巻 5 号 p. 300-308
    発行日: 2010年
    公開日: 2014/12/19
    ジャーナル フリー
    容器包装リサイクル法において再商品化義務が課されている4品目のうち,未だ課題が多いプラスチック製容器包装のリサイクルに関し現状を紹介する。そのために,プラスチック製容器包装リサイクルについて,公益財団法人容器包装リサイクル協会が実施している事業の中での位置づけやリサイクルに関する実績データを示すとともに,リサイクルの現場に近い見方からの問題点を抽出する。そして,次期法改正に向けた課題と展望を述べる。
  • 中谷 隼, 平尾 雅彦
    2010 年 21 巻 5 号 p. 309-317
    発行日: 2010年
    公開日: 2014/12/19
    ジャーナル フリー
    容器包装プラスチックのリサイクルの意義や材料リサイクルの優先的な取り扱いへの疑問に応えるためにも,材料リサイクル,ケミカルリサイクル,エネルギー回収といったさまざまなリサイクル手法による環境負荷や資源消費の削減効果を客観的に評価することが求められている。本稿では,これまでの容器包装プラスチックリサイクルのライフサイクル評価 (LCA:Life Cycle Assessment) の事例をレビューして,さまざまなリサイクル手法による二酸化炭素 (CO2) 排出の削減効果について考察した。その中で,システム境界や代替される製品の設定によって評価結果が影響されることに言及し,容器包装プラスチックリサイクルのLCA評価に残された課題について述べた。
  • 森口 祐一
    2010 年 21 巻 5 号 p. 318-327
    発行日: 2010年
    公開日: 2014/12/19
    ジャーナル フリー
    容器包装リサイクル法の完全施行により,PETボトル以外のプラスチック製容器包装の分別収集,再商品化が開始されてから10年余りが経過した。2006 (平成18) 年の法改正時の懸案課題をうけて行われてきた再商品化手法の評価,容器包装以外のプラスチックのリサイクル,リサイクルフローの透明化などの一連の検討の経緯をまとめるとともに,プラスチックの3Rに関する主な論点を整理した。この整理を踏まえ,リサイクル手法に応じた分別・選別・識別が必要であること,家庭系の廃プラスチックを用途と性状の2つの軸から整理した場合,現行制度によるプラスチック製容器包装に該当するか否かという視点とは異なる分別の切り口がありうることを示した。また,この考え方をもとに,家庭系廃プラスチックの分別,再商品化に関する4種類の試行的シナリオを各々の利点および問題点とともに例示した。
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