日本臨床外科医学会雑誌
Online ISSN : 2189-2075
Print ISSN : 0386-9776
ISSN-L : 0386-9776
40 巻, 2 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
  • 1979 年 40 巻 2 号 p. 177-194
    発行日: 1979/03/01
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
  • 1979 年 40 巻 2 号 p. 195-209
    発行日: 1979/03/01
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
  • 1979 年 40 巻 2 号 p. 210-223
    発行日: 1979/03/01
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
  • 1979 年 40 巻 2 号 p. 224-241
    発行日: 1979/03/01
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
  • 渡辺 忠弘
    1979 年 40 巻 2 号 p. 242-258
    発行日: 1979/03/01
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    Borrmann IV型胃癌は進行胃癌中最も予後不良であり,いまだその因子に不明な部分も多い.そこでIV型の特殊性,悪性度及び初期像を解明する目的で, IV型204例を中心に予後を左右する因子について臨床的,病理組織学的に他型進行胃癌と統計的に比較検討し,更に壁内進展形式及び間質結合織増生に関して,酸性ムコ多糖(GAG)を中心としてスキルス胃癌間質を組織化学的に分析し,検討を加え次の結果を得た.
    (結果) 1) IV型の発生頻度は全胃癌中15.5%であり,最近やや増加傾向にある. 2) 年齢分布は男性60歳代,女性30歳, 50歳代の2つにピークを有し,他型に比して若い女性に多かった. 3) 初発症状は心窩部痛が最も多いが,次いで食欲不振,悪心嘔吐,嚥下困難が多く,特に他型に比して嚥下困難が目立った.病悩期間は比較的短期から長期が平均に分布した. 4) 胃液酸度は無酸が高率であり,潰瘍形成型に比して明らかな差を示した. 5) 治癒切除率は17.6%と最も悪かった. 6) 遠隔成績は5生率0%で他型52.3%に比して明らかに予後不良であり, pm症例でも脈管侵襲強く予後不良であった. 7) 腫瘍の占居部位はMを中心として3領域におよぶものが大多数であった. P, H因子共に他型に比して高陽性率を示した. 8) 組織型は低分化傾向が著明で, v2・v3, lv3, ps(+), n2・n3が他型に比して高率で悪性度の強いことを示唆した. 9) IV型スキルス胃癌間質のGAG量はGiant fold (GF) (-)>GF (+)癌細胞周囲>GF (+)水腫部の順であり,基質及び膠原線維周囲にはHAが最も多く,次いでChS-A/Cが多かった. GF (+)の水腫はリンパ液の循環障害によるものと思われる.広汎な間質結合織増生は線維芽細胞の他に癌細胞自身及び肥胖細胞の関与が示唆され,癌細胞増殖に対する反応性あるいは修復性増生ではあるが抑制的に働いているとは考え難い. 10) スキルス癌細胞の多様性がムコ物質産生の点でも示された.
  • 多羅尾 信, 鬼束 惇義, 岡部 功, 柴田 登, 野尻 真, 乾 博史, 飯田 辰美, 後藤 明彦
    1979 年 40 巻 2 号 p. 259-263
    発行日: 1979/03/01
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    教室では,最近10年間に肝嚢腫の手術を5例経験した.年齢は44歳より71歳にわたり平均62.0歳で,男女比は1:4で女子に多い.孤立性肝嚢腫は3例であり,多発性肝嚢腫は2例である.
    腹部膨満感を2例に,上腹部痛は1例に認め,腹部腫瘤は4例に触知した.
    診断は,肝機能検査,上部消化管透視,肝シンチグラム,腹腔動脈造影などの総合判断により可能であり, 4例に術前診断が可能であったが, 1例のみ術前診断が肝癌であった.
    手術は3例に嚢腫摘除,肝葉切除などの積極的手術を行い,初期の2例に穿刺排液を行った.今後,肝臓外科の進歩により積極的手術が増加すると考える.
  • 村田 宣夫, 岩崎 甫, 伊関 丈治, 別府 倫兄, 二川 俊二, 比田井 耕, 島 文夫, 杉浦 光雄, 和田 達雄
    1979 年 40 巻 2 号 p. 264-268
    発行日: 1979/03/01
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    上部胆管癌に対し,肝切除によって治癒手術を行いうる症例は比較的少ないと考えるが,最近,肝門部胆管癌に拡大肝右葉切除術を行い,十分に治癒の期待できる症例を経験したので若干の考察を加え報告する.
    55歳,男性.黄疸,全身掻痒感を主訴として入院. PTCにより左右肝管合流部の癌と診断.術前に両側のPTCDを施行し減黄を計った後,拡大肝右葉切除によって病巣を切除した.腫瘍は25×22×18mmの胆管癌で,肝転移,リンパ節転移なく,切除断端に癌の浸潤を認めなかった.病理組織学的には, Adenocarcinoma tubulare et scirrhosumであった.術後,肝再生も良好で,胆管炎と思われる症状を一過性にきたした他には特に合併症なく経過した.術後約9カ月を経た現在,再発の徴なく元気に日常生活を送っている.
  • 本邦報告49例の臨床的検討
    原田 佳昭, 〓水尾 哲也, 日置 康生, 野沢 真澄, 岡島 邦雄
    1979 年 40 巻 2 号 p. 269-277
    発行日: 1979/03/01
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    非胆道系手術の術後に併発する急性胆嚢炎は重篤な腹部合併症であるが,報告例も少なく臨床像および病態に関して不明な点が多い.我々は過去11年間に本症の4例を経験したので,本邦報告45例を合せて検討し本症の特殊性を明らかにした.
    自験例は31~71歳,男女比は3:1,胃癌2例,直腸癌1例,褐色細胞腫1例の根治術後9日, 5日, 16日, 5日目に本症を併発し, 2例は保存的療法にて軽快し, 2例は外胆嚢瘻を造設したが死亡した.外科的療法の2例は壊疸性胆嚢炎で1例に胆汁漏出を認めた.胆道疾患の既往はなく, 3例は無石胆嚢炎であった.
    49例の臨床的検討によると, (1) 50~60歳代,男性,胃癌術後,比較的早期に好発, (2) 胆道疾患既往がなく無石例が多い, (3) 臨床経過は急激で壊疽性胆嚢炎である, (4) 予後は悪く高齢者ほど死亡率は高い, (5) 本症の成因として細菌感染,胆汁うっ滞および血行障害が考えられる.
    以上より本症は一般の急性胆嚢炎から区別すべきであり,術後管理における本症の理解と併発後の積極的療法の必要性を強調した.
  • 坂本 栄一, 相良 正彦, 安達 秀治, 木村 正, 鳥居 有人
    1979 年 40 巻 2 号 p. 278-283
    発行日: 1979/03/01
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    輪状膵は,胎生時における膵原基の発育異常により,膵頭部が十二指腸を輪状にとり囲む先天性奇形である.本邦報告例では,剖検例も含めて約100例の報告があるが,新生児例が多く,成人例は36例にすぎない.我々は, 2例の成人輪状膵を経験したので報告する.
    症例1は,上腹部痛,嘔吐,黄疸を主訴とした55歳,男性であり,閉塞性黄疸,十二指腸狭窄症で精査をすすめたが,一般状態が悪化してきたので膵頭部癌の十二指腸への浸潤と診断し,胃空腸吻合,外胆のう瘻造設術を施行.術後二期的手術(膵頭十二指腸切除)により,総胆管膨大部癌と輪状膵の合併していたことが判明した症例である.成人輪状膵が併存症により発見されることの多いことと考え合わせ,病巣の2元的なことと悪性疾患が近接していたため術前診断のつかなかった症例である.
    症例IIは,嘔吐,上腹部痛を主訴とした76歳,男性であり,腹部立位X線にて胃泡,十二指腸球部の拡張したガス像を認め上部消化管閉塞を疑い,胃十二指腸透視およびその粘膜像を明らかにするため,低緊張性十二指腸造影を施行すると, (1) 下行脚外側からの牽引を伴なった平滑な輪状陰影欠損, (2) 絞扼上部における十二指腸の拡張, (3) 粘膜集中像,破壊像を伴なわない粘膜萎縮像という輪状膵に特徴的な像を示し,術前に診断された症例である.成人輪状膵は,何らかの合併症および併存症により発見されることが多く,その頻度は少ないが常に頭に入れておかねばならない疾病と思われる.我々は,輪状膵に近接した悪性疾患合併例と76歳という本邦最高齢者の2例の輪状膵を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 佐々木 政一, 浅江 正純, 今井 敏和, 青木 洋三, 勝見 正治
    1979 年 40 巻 2 号 p. 284-290
    発行日: 1979/03/01
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    食道裂孔ヘルニア,結腸憩室,胆石症の合併するSaint's triadは, 1948年, Mullerが報告して以来,欧米においては,かなり頻度の高い疾患であるが,我が国においては, 1971年,平塚が報告して以来,今回の我々の報告を加えても12例にすぎない.
    位置的にかけはなれた三者に共通の成因であるが, Burkittらは,疫学面から,地理的,社会・経済的分布を調べ,三疾患とも,先進国,特に西欧諸国に頻度が高く,逆に,低開発国や発展途上の国では,頻度は低いことを報告し,その発生率の差を食餌に求め, fiber depleted dietが共通の成因であろうとした.
    我が国においても,食餌内容が欧米化するにつれて, Saint's triadの発生頻度が増加することが予想される.その意味からも, Saint's triadの1つの疾患がみつかれば,他の2疾患が合併していないかどうかを積極的に検索し,合併がみつかれば,それに対する適切な治療が必要であると思われる.
    今回,我々は, 73歳と70歳の女性でSaint's triadを2例経験したので,若干の文献的考察を加え,報告する.
  • 江端 俊彰, 松尾 繁信, 橘川 征児, 岩野 英明, 時田 捷司, 塚田 英樹, 戸塚 守夫, 早坂 滉
    1979 年 40 巻 2 号 p. 291-294
    発行日: 1979/03/01
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    われわれは急性腹症で入院した18歳男性をイレウス,消化管穿孔の診断下に開腹術を施行した.回腸末端より口側20~70cmの範囲で約50cmにわたり索状物による絞扼性イレウスを認めた.さらにその約1cm口側よりにメッケル憩室を確認した.索状物は腸間膜よりメッケル憩室底部に達しているmesodiverticular bandであった.回腸の壊死に陥った部分に穿孔があり, mesodiverticular bandを切断し,絞扼を解除し,メッケル憩室を含め回腸を約60cm切除し,端々吻合を施行した.
    本症例はomphalomesenteric bandのうち,腹壁との連絡がなくmesodiverticular bandのみが残存し,その中にvitelline artery, vitelline veinを組織学的に証明しており,非常に貴重なものと考えられる.
    今回,われわれが経験したメッケル憩室のmesodiverticular bandによる小腸の絞扼性イレウスについて,文献的考察とともに報告する.
  • 山岡 郁雄, 松峰 敬夫
    1979 年 40 巻 2 号 p. 295-301
    発行日: 1979/03/01
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    虫垂穿孔性急性汎発性腹膜炎の手術例74例を分析し,虫垂切除術後の腹腔内処置および腹壁処置について腹腔内合併症と腹壁創感染の頻度を調べた.又同時に腹水培養による起因菌と抗生物質の感受性をも調べ以下の結論を得た. ( )内腹腔内合併症例数. (( ))内は腹壁創感染例数,
    1) 腹腔内処置は3群に分けられる. I群:腹腔内ドレナージ群18例(6例, 33%), ((7例, 39%)), II群,術中腹腔内抗生物質溶液洗浄群, 18例(7例, 39%), ((1例, 5%)). III群,術中術後腹腔内抗生物質溶液洗浄群38例(2例, 5%), ((13例, 34%))であり,術中術後腹腔内洗浄群に腹腔内合併症は少なかった(p<0.01).又第1病日以後まで腹腔内洗浄した群34例では腹腔内合併症は全くなく有意の差を認めた(p<0.001).
    腹壁創感染はII群,術中腹腔内洗浄群に有意の差を認めた(p<0.05).
    2) 腹壁創感染は一次縫合群38例((11例, 29%)),皮下ドレナージ群6例((1例, 7%)), dlayed primary closure 30例((3例, 10%))であり,腹壁創感染は局所的で有意の差を認めなかった.
    3) 腹水培養による起因菌の検索ではE. coli. Pseudomas aeruginosa, Bacteroides, klebssiellaの順に多く,その感受性はSB-PC, CB-PC, CMの順に良かった.
  • 太田 実, 佐々木 忠, 柳沢 正弘, 加藤 治, 亀谷 寿彦
    1979 年 40 巻 2 号 p. 302-306
    発行日: 1979/03/01
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    昭和41年1月より昭和53年6月までの12年間に,本学第1外科で外科的治療の行なわれた自然気胸の症例は28例であり,過去3年間で19例と急速な延びを示した.気胸発生側は左側18例,右側10例と左側に多く発生している.年齢別では, 20代が最も多く,ついで10代, 10代20代の症例が74%を占めていた.性別では男子に多く(93%),女子は2例であった.各々の症例について入院時の肺虚脱度をみると20~40%が12例と多く,外科症例の入院時平均肺虚脱度は42.7%であり,保存症例のそれば40.5%であり,有意の差はなかった.初発症状及び既応回数をみると,胸痛と呼吸困難が,症例の大半を占め,初回から過去2回(3回目)が85%を占めていた.身長と体重の相関をみるとやせ細型の体型を示すものが多く,肥満者は全くなかった.又,自然気胸の入院後手術までの間に行なわれた治療では,ドレーン挿入を行った症例が多く(75%),持続吸引とビューロー法の両者を用いている場合が多い.入院時の合併症として血胸2例,他側気胸2例あり,合併症のない症例は22例(78%)であった.
    次に手術適応になった理由で最も多いのは短期間の再発であり,次に長期間の肺虚脱,長期間の再発,術前ブラ確認などが主なる理由であった.私共の手術適応としては, (1) 再発症例(3回以上), (2) 肺の再膨脹不全症例(15日以上), (3) エアリークの続く症例(15日以上), (4) 血気胸症例, (5) 胸膜胼胝形成による肺再膨脹不全症例, (6) 胸部X線所見からブラ・ブレーブが認められる症例等が考えられたが,肺虚脱度と手術適応とは相関しないので手術適応には上げられなかった.次に手術術式では,ブラ縫縮が50%,ブラ含め部分切除43%,上葉切除,止血のみ各1例行った.手術方針としては,基本的には腋窩開胸を行い,ブラ切除か縫縮を主として行う.再発防止の意味から胸壁の擦過を行うことが肝要であると考えた.
feedback
Top