日本臨床外科医学会雑誌
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41 巻, 7 号
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  • 中村 哲彦
    1980 年 41 巻 7 号 p. 1001-1017
    発行日: 1980/12/01
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    十二指腸潰瘍に対するSPVの信頼性を調査するために, 1973年以来症例を選別することなくほぼ全例にSPVを施行し,臨床成績,胃内外分泌,胃排出機能の面から検討した. SPV 86例中43例に誘導術を付加した.
    手術死亡,遠隔時死亡は1例もなかった.術中食道穿孔,脾出血を各1例経験した.アカラジア様症状の発生率は,腹部食道の脱神経範囲の拡大により22%から65%に上昇した.ダンピング症状,下痢の発生率は,ともに10%で治療を要したものは1%であった.胃内容停滞で再手術を要したものは1例もなかった.十二指腸潰瘍の再発は,疑診を除くと1例のみであったが, 3例に胃潰瘍の発生をみた.
    減酸率は,経時的に低下して2年後BAOで平均50%, PAO (TG)で平均27%, PAO (RI)で平均51%であった. Johnston's criteriasでearly positive症例の出現率は,脱神経範囲の拡大により44%から28%に減少した.空腹時血清ガストリン値は,術後上昇して6か月後最高となり,以後高値を維持した. IGR (TM)は,術後亢進して3か月後最大となり,以後高反応を維持した. IGR (RI)は術2週後高反応はみられず3か月後最大となり,以後高反応を維持した.
    流動物の胃排出は, SPVsDでは術2週後多少遅延したが, 3か月後術前に回復した. SPVcDでは術2週後から改善された.固形物の胃排出は, SPVsDでは術2年後でも遅延していた. SPVcDでは術2週後から改善された.
    術前のPAO (RI), IGR (RI)がともに高値を示した症例の50%が,術後減酸効果不十分であるにもかかわらず高ガストリン反応を示し, SPVの適応外の症例と考えられた.
    SPVは,十二指腸潰瘍に対する新しい術式として一応目的を達したが,今後,手術術式の確立,適応に関してさらに研究を進め,一層の成果を期したい.
  • 特に,その診断と治療について
    森田 博義, 松峯 敬夫
    1980 年 41 巻 7 号 p. 1018-1023
    発行日: 1980/12/01
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    下部消化管とりわけ大腸が一度穿孔を起すと糞便性汎発性腹膜炎を併発し,その一部はendotnxin shockに移行し予後不良のことが多い.そこで,今回我々は虫垂炎を除く非外傷性大腸穿孔26例を検討し次の結果を得た.原因別では癌腫が10例(38.5%)で一位を占め,又,大腸癌の2.6%に当たる.術前shockをきたした5例(19%)では,その発現は12時間前後であり, 65歳以上の高齢者にみられた.生存は11時間目の1例のみであった.又,術式ではexteriolization, Hartmann法が生存率において各々80%, 75%と有意に高率であった.更に術後間歇的又は持続的腹腔内洗浄群の生存率は75%で,非洗浄群39%に比しはるかに高く,有意であることが判明した.
  • 数井 暉久, 原田 英之, 岡本 史之, 山口 保, 山田 修, 横山 秀雄, 山岸 真理, 大野 猛三, 田中 信行, 小松 作蔵
    1980 年 41 巻 7 号 p. 1024-1030
    発行日: 1980/12/01
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    大動脈炎症候群に対する外科治療の成績を検討し,あわせて外科治療上の問題点について考察した.対象は教室で過去18年間に外科治療を施行した35例であり,病変別にみた外科治療の内訳は,弓分枝閉塞に対して15回,異型大動脈縮窄9回,腎血管性高血圧10回,大動脈弁閉鎖不全4回,動脈瘤2回,その他心疾患に対して3回の計43回である.外科治療の成績は早期死が大動脈弁閉鎖不全に対する2例,解離性大動脈瘤1例であり,また遠隔死は弓分枝閉塞に対する2例,異型大動脈縮窄2例,大動脈弁閉鎖不全1例となっている.
    本症に対する手術適応として,弓分枝閉塞,特に頚動脈再建の決定には慎重を要すると考えるが,異型大動脈縮窄,大動脈弁閉鎖不全,腎動脈狭窄による高血圧,左心不全は本症の予後を左右し,また嚢状動脈瘤は破裂しやすいことから手術を施行すべきである.手術手技としては,閉塞性病変に対するものはその手技が容易であり,また病変部位に直接侵襲を加えないバイパス術が有用である.手術時期は吻合部合併症を予防する意味でも炎症活動期は原則的に避けるべきであるが,重症心不全,不可逆性の臓器乏血症状あるいは動脈瘤の破裂の危惧があれば活動期でも手術を施行すべきと考える.以上,本症に対して慎重に手術適応ならびに手術時期の決定を行い,また手術手技の改善を図ることにより手術成績はさらに向上するものと期待される.
  • 笠倉 貞一, 小山 信弥, 長瀬 英義, 小松 寿, 亀谷 寿彦
    1980 年 41 巻 7 号 p. 1031-1036
    発行日: 1980/12/01
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    手術時には血糖値が上昇することはすでに知られている事実であるが,とくに心手術の際の体外循環下における非生理的状態は著明な高血糖と低インスリン値を示すことが知られている.われわれは今まで体外循環終了時に50%グルコースおよびインスリン20単位を投与していたが,さらにこれらをコントロール(第1群)として,体外循環開始後10分および20分後にインスリンを各々10単位投与する群(第2群),さらに心筋保護液のひとつであるGIK液を用いた群を第3群として体外循環開始前,開始後15分毎に採血を行い,血糖値,インスリン値および乳酸値を3群間で比較してみた.
    第1群では血糖値は手術終了後も著しい高値を示しており,体外循環終了時に投与する外因性のインスリンはまだ十分その効果を示していないように思われる.一方体外循環開始後10分および20分後にインスリンを投与する(第2群)と,血糖値は400mg/dl以下に維持できた.さらに第3群のGIK液投与群では血糖値も第2群と同様に400mg/dl以下に維持でき,さらに大きな相違点として,乳酸値は他の2群と比べ有意に低値を示した.即ち心筋保護液として用いるGIK液はいわゆる嫌気性代謝による乳酸の上昇を抑え,血糖のコントロールにはじまり,術後の心拍再開にも良く,また術後の不整脈の発生もある程度抑えることができ,術後の管理にも有効であり,一石二鳥であると云える.
  • 水間 公一, 西尾 昭彦, 臼井 朋明, 相川 真, 後藤 幸夫, 中山 豊, 渋谷 均, 古家 隆司, 福井 四郎, 戸塚 守夫, 早坂 ...
    1980 年 41 巻 7 号 p. 1037-1041
    発行日: 1980/12/01
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    甲状腺癌は他臓器の癌に比べ発症年齢のピークは若年者側にある.しかし小児症例は多くはないが著者らは教室における経験例を中心に診断,治療の面について検討を加えた.術前から癌の確診をえた症例は少なく,早期診断と治療が要求される小児例においては甲状腺腫に対して生検を含む積極的手段を構じ癌の確診をうるよう努力すべきであろう.また術式は,高い根治性と最小の合併症が要求されるため慎重に各症例に最適な術式を撰択すべきである.予後は成人とほぼ同様に良好と考えてよいと思われるが,死亡原因の大半を占める肺転移に対する対策は今後さらに検討・改善を加えてゆくべきと思われる.
  • 小池 綏男, 彦坂 興博, 中藤 晴義, 降旗 力男
    1980 年 41 巻 7 号 p. 1042-1047
    発行日: 1980/12/01
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    1953年1月から1979年9月までの27年間に,両側同時性乳癌2例を含む355例の女性乳癌症例中に2例, 0.6%の異所性乳癌を経験した.
    症例1は51歳,女性,左腋窩部の拇指頭大の腫瘤に対して生検を行い,病理組織学的に甲状腺の索状癌の転移と診断されたが,臨床的に甲状腺には異常を認めないため,汗腺由来の悪性腫瘍と診断が変更され,広範囲局所切除と腋窩およびRotterリンパ節の一部を一塊として廓清した.病理組織学的に乳腺組織と癌細胞の浸潤像を認め,乳腺組織中に固有乳管を認めないことから迷入乳腺より発生した癌と診断した.腋窩リンパ節に転移が1個認められ,術後,早期に頚推転移を起こした.
    症例2は73歳,女性,左腋窩腫瘤が再発し,生検の結果,乳癌の腋窩リンパ節転移として紹介された.左腋窩にはまだ3個の腫瘤が残存しており,局所切除+左乳房切断+小胸筋切除+腋窩廓清を施行した.病理組織学的に乳房内には癌を認めず,腋窩には原発性腺管腺癌とリンパ節転移が多数認められた.腋窩には乳腺組織は認められなかったが,異所性乳腺より発生した乳癌と考えた.
    以上の2例と文献的に1968年以後の本邦報告例7例を集計して検討し,腋窩の皮下腫瘤に対しては,できるだけ早く切除し,病理組織学的検索で異所性乳癌と診断された場合は,広範囲局所切除+乳房切断+腋窩廓清を一塊として行い,リンパ節転移陽性の場合には放射線照射を行う.また,異所性乳癌は血行性転移も起しやすいので,抗癌剤の投与を強力に行うべきであることを強調した.
  • 久野 克也, 本田 雅之, 山下 義信, 小竹 利一, 寺師 弘泰, 麻田 栄
    1980 年 41 巻 7 号 p. 1048-1050
    発行日: 1980/12/01
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    閉鎖孔ヘルニアは比較的稀な疾患で,本邦では現在までに100例余りが報告されている.われわれは本症の1治験例を経験したので報告する.
    症例は73歳女性. 1回経産,その他特記すべき既往歴はない.現病歴は排便時に突然右大腿部痛を覚え歩行不能となった.同時に腹痛,嘔吐があり近医にて坐骨神経痛といわれていたが,その後も腹痛,嘔吐が軽快せず発症後6日目に当院に紹介された.イレウスの診断で開腹した所,回盲部より口側約40cmの部位の回腸が右閉鎖孔に嵌入しRichter型ヘルニア嵌頓を呈しており,閉鎖孔ヘルニアであることが判明した.腸壁の壊死部を含め約8cmを切除し,端々吻合を行った.またヘルニア門は直径8mm,深さ3cmであったが,ヘルニア嚢,腹膜及び周囲の筋組織で縫合閉鎖し手術を終った.術後順調で4週目に退院した.
  • 桑島 輝夫, 岩坂 尚仁, 国友 一史, 蔵本 守雄, 嵩原 裕夫, 芳川 博哉
    1980 年 41 巻 7 号 p. 1051-1054
    発行日: 1980/12/01
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    食道静脈瘤に対する食道離断術は経胸的あるいは経腹的に今日広く採用されている術式と考えられる.しかし,一般に経腹的食道離断術では経胸的食道離断術(東大二外科法)に比較して食道静脈瘤消失効果は必ずしも良好とは云えない.一方,経胸的食道離断術には術後の管理や愁訴の面から欠点が無いわけではない.
    最近,胸骨縦切開・経縦隔法を応用して食道静脈瘤に対し1例にMerendino手術,他の2例に自動吻合器による食道離断術を行ったが,経胸的食道離断術と同様の食道静脈瘤消失効果が得られた.開胸術を省略することが可能であり,術後管理も非常に容易であるなどの長所を認めたので報告する.
  • 石田 清, 時松 秀治, 木下 一郎, 下村 禎
    1980 年 41 巻 7 号 p. 1055-1058
    発行日: 1980/12/01
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は十二指腸潰瘍の診断で選迷切,胃前庭部切除術を行なった48歳の男で,術後6日目に黄疸が出現,腹部触診では右上腹部の軽度の圧痛を証明するのみで,その頃の臨床検査では著明な貧血を認め, transaminase, LDH及び尿amylase値の上昇を認めたものの,白血球数,血小板数には著変がなく,出血傾向もみられなかった.この症例では輸血を行なっておらず,術中の胆道系・膵臓に対する操作や術後に使用した薬剤の影響も黄疸の原因としては考え難く,原因追究を兼ねて血液学的検索を本学第1内科へ依頼した.その結果,血中FDPの増加, haptoglobin減少,末梢血塗抹標本での赤血球の異常形態・破砕像などが認められ,この症例の黄疸は, 1962年Brainらの提唱したいわゆる細血管障害性溶血性貧血(以下本症)によるものではないかとの考えに達した.本症の診断には末梢血塗抹標本で破砕ないし変形赤血球が3~5%以上認められること,同時に網状赤血球数増加, bilirubin, LDH値の上昇などが重要視されている.我々の症例では,第V,第VIII因子の減少などDICを示唆するその他の所見はみられなかった.三輪によれば細血管障害(microangiopathy)の有無にかかわらず,破砕赤血球の存在を特徴とする溶血性貧血を赤血球破砕症候群と呼ぶことが一般的になりつつあり,我々の症例もこの概念に含めてよいと思われる.本症は悪性高血圧,糸球体腎炎,癌転移,心臓の人工弁移植後,その他多くの疾患の際に出現しやすいとの文献があるが,胃手術後に発生した症例の報告は,検索し得た範囲では発見できなかった.
  • 特に側面像の活用とキリの使用について
    安藤 久実, 宮川 秀一, 土江 健嗣, 鈴木 正康
    1980 年 41 巻 7 号 p. 1059-1063
    発行日: 1980/12/01
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    閉塞性黄疸に対する経皮的胆管ドレナージは,現在広く一般に行われるようになってきたが,その手技は諸家によって様々な方法が用いられている.その中でも高田らの影像下直達法は優れた方法であるが,この方法も太い穿刺針が胆管を穿通して門脈に達したり,又穿刺したい胆管が肋軟骨等に被われて穿刺が不可能となる場合があり問題がない訳ではない.
    われわれはこれらの問題を解決し,より安全・確実な穿刺を行うために,正面及び側面の2方向から穿刺針の位置を確認する事,及び穿刺したい胆管が肋軟骨等で被われている場合には,肋軟骨等にキリで穴をあけて穿刺する,という方法を行った.
    この方法は従来の影像下直達法と比較し,胆管穿刺がより確実に出来得るので,良好な成績を得ることが出来た.
  • 矢田貝 凱, 大沢 二郎, 滝 吉郎, 細谷 亮, 大塩 学而, 篠田 正昭
    1980 年 41 巻 7 号 p. 1064-1066
    発行日: 1980/12/01
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    膵の頭,体部には色調,硬度とも全く異常を認めず,尾部のみに限局する腫瘤を有し,膵管造影の所見でも,頭,体部には異常なく,尾部の腫瘤の部分に一致して限局性の狭窄と,それより尾側の拡張並びに非陽性膵石によると思われる陰影欠損像を認めた一例を経験した.
    この様に“限局性”腫瘤形成型膵炎とでも呼称されるべき,膵の一部のみに限局した硬結を有する良性の膵疾患の成因に関しては,全く不明であるが,その部にある膵管の分枝に膵液の流出障害を来たす何らかの機転,例えばmucoprotein plugの形成,あるいは杯細胞上皮化生により分泌された粘液が膵液の粘稠化を来たすといった機転が生じ,やがては膵管が閉塞し,その結果,その部に限局性の膵線維化が起って限局性腫瘤形成膵炎を形成したのではないかと推論した.
    又,同部の主膵管の限局性狭窄の成因も,以上の機転により生じた線維化が,主膵管の周囲にまで及んだ結果生じたものであろうと推察した.
  • 胆嚢における上皮性腫瘍と腸上皮化生との関連について
    松峯 敬夫, 佐々木 仁也, 青木 幹雄, 瀬戸 輝一
    1980 年 41 巻 7 号 p. 1067-1073
    発行日: 1980/12/01
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    従来より筆者らは,胆嚢癌と腸上皮化生との間に密接な関連の存在することを指摘して来たが,今回は,腫瘍内に腸型吸収上皮,杯細胞,腸クローム親和細胞(EC細胞), Paneth細胞のみられる胆嚢腺腫の1例を呈示し,このような腸型腺腫構造の成り立ちについて検討した.その結果,おそらく炎症巣を基盤として発生した腺腫が,その発育と共に腸上皮方向に向う分化(化生)を示し,終局的に小腸粘膜に似た腫瘍形態を呈したものと推定した.
  • 川原田 嘉文, 吉村 明文, 西田 正方, 世古口 務, 水本 龍二
    1980 年 41 巻 7 号 p. 1074-1080
    発行日: 1980/12/01
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例. 66歳,男子,右季肋下に約8cmにおよぶ表面平滑な腫瘤をふれ,腹部血管造影で総肝動脈,固有肝動脈,門脈は弧状に左方へ圧排され,肝右葉下部には右肝動脈,胆のう動脈の分布と右腎動脈の被膜の血管分布をみる比較的血管に富む腫瘤陰影を認め,術前肝癌と考えて手術を施行し, 1,300gの後腹膜腫瘍を摘除した.術前に特異な症状なく組織学的にparagangliomaと診断された.術後3年3ヵ月の現在健在である.
    後腹膜paragangliomaは稀な疾患であり,内外報告例を集計した.
    外国例29例,本邦9例で平均年齢は40歳前後,男女差なく,術前にparagangliomaと診断された症例は内外ともに1例もない.一般に腹部腫瘤か腹痛により気付き,病悩期間は平均2~3年と長い.腫瘤の大きさは直径約10cm前後で血管に富み易出血性で悪性のこともある.抗癌剤,放射線治療が無効であるため,治療としては積極的に摘除することが望ましい.
  • 埜口 武夫
    1980 年 41 巻 7 号 p. 1081-1088
    発行日: 1980/12/01
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    教室で経験した大腸癌によるイレウス例について,平均年齢,主訴,占居部位の検討を行った.これらのうち比較的最近の13例に対し,経鼻long tubeによる腸管内減圧吸引及び中心静脈高カロリー輸液(TPN)を併用した治療を行った. Long tubeはDennis tubeを使用し,挿入に際してはX線透視下にguide wireを用いて誘導して幽門通過率の向上を図った.
    Tubeの幽門通過が得られた場合にはその減圧効果は著明であり,ほとんどの例で緊急減圧手術を必要とせず,イレウス症状の無い大腸癌として一期的予定手術が可能であった.左半結腸・直腸癌によるイレウス例のうち3例に大腸内容の減圧吸引が不充分であったが,この場合でも全て一期的予定手術が可能であった.またTPNの併用により術前術後の管理は極めて安全であり,術後合併症が発生した場合でも管理が容易であった.
  • 前嶋 清, 大河原 邦夫, 田中 由紀夫, 木下 仁一, 山口 敏広, 小林 愿之
    1980 年 41 巻 7 号 p. 1089-1093
    発行日: 1980/12/01
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    特発性腹直筋血腫は腹腔内疾患とまぎらわしい症状をしめすことで知られている稀な疾患で,旧くから種々の名称で呼ばれている.われわれは本症の一例を経験したので報告し,あわせて本邦における本症報告例について統計的観察を試みた.
    症例は50歳の男子.咳嗽に引き続き右下腹部痛を来たし来院,急性虫垂炎の診断で手術により本症と判明した.手術は血腫除去,止血,ドレナーヂを行なった.術後1時再発を思わす徴候がみられたが,保存療法で軽快,術後4週で退院した.
    本邦の本症例は文献上35例である.誘因は咳嗽が最も多く,その他分娩,労働,運動などがみられた.年齢は20~78歳,平均55.8歳,男女比は14:24で,中高年で女性にやや多い傾向であった.発生部位は右下腹部,次いで右上腹部,左上,下腹部の順であった.これはTeskeのいうように中高年になって血管,筋肉の老化がみられる上に,腹直筋の急激な伸縮運動(下腹部が最も大きい)により,血管,筋肉の破綻が生じ本症を発生すると思われる.症状は局所の疼痛は必発で,多くは移動性の少ない,圧痛を伴なう腫瘤を触れている.皮下出血斑のみられた例も少なくなく,また発熱,白血球増多のみられることもある.診断は前述のごとき誘因に引き続き発生する比較的限局性の疼痛と圧痛のある腫瘤を触れれば,本症を疑わねばならないが,その診断率は低く, 35例中13例であり,多くは虫垂炎,腸閉塞など急性腹腔内疾患が疑われた.治療は診断が確実であれば,安静,冷罨法,止血剤および抗生剤の投与などの保存療法で経過観察してよいようであり,血腫の増大傾向または診断が不確実であれば,手術療法を行なうべきは当然である.予後は比較的良好であり,激症肝炎に併発した死亡例を除き,全例治癒している.
  • 520例の反省
    鈴岡 正博, 嶋田 裕, 平野 鉄也, 中村 紀明, 塩田 昌明, 上原 鳴夫, 場田 浩二, 大林 瑞夫, 今村 正之, 吉富 錠二, 藤 ...
    1980 年 41 巻 7 号 p. 1094-1097
    発行日: 1980/12/01
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    倉敷中央病院において,昭和52年4月以来, 520例の腹部および下肢動脈撮影を経皮カテーテル法によって行なった.この検査により死亡1例のほか重大な合併症が10例に生じている.造影剤および同時に動脈内注射した抗癌剤によるもの1例のほかは,手技上に問題があったように思われ,これらの反省と予防処置について報告する.
  • 1980 年 41 巻 7 号 p. 1108-1120
    発行日: 1980/12/01
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
  • 1980 年 41 巻 7 号 p. 1120-1131
    発行日: 1980/12/01
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
  • 1980 年 41 巻 7 号 p. 1131-1138
    発行日: 1980/12/01
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
  • 1980 年 41 巻 7 号 p. 1138-1146
    発行日: 1980/12/01
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
  • 1980 年 41 巻 7 号 p. 1146-1157
    発行日: 1980/12/01
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
  • 1980 年 41 巻 7 号 p. 1158-1170
    発行日: 1980/12/01
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
  • 1980 年 41 巻 7 号 p. 1170-1177
    発行日: 1980/12/01
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
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