日本臨床外科医学会雑誌
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39 巻, 6 号
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  • 1978 年 39 巻 6 号 p. e2
    発行日: 1978年
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
  • 特に胃癌患者を中心として
    長田 省一
    1978 年 39 巻 6 号 p. 905-918
    発行日: 1978/11/01
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
    悪性疾患患者において,腫瘍の発育・増大には,細胞性免疫能が関与している事は,最近の免疫学の進歩により,疑いのない事実とされている.この細胞性免疫能には, Tリンパ球・Bリンパ球・マクロフアージを始め,種々の免疫担当細胞が関与しているが,その主役をなすものはTリンパ球である.故に, Tリンパ球の生体における変動は,悪性疾患患者において,生死にかかわる問題である.そこで,著者は,胃癌患者を中心として,悪性疾患患者の予後を推定すべく,患者の末梢血より,リンパ球を分離し, T-cel・B-cellの識別を行い,種々の面から検討を加えた.
    T-cel・B-cellの識別法は, Conray Fi-Collによる比重遠心法にて,末梢血よりリンパ球を分離し,ヒツジ赤血球とT-cell,補体感作ヒツジ赤血球とB-cellを反応させ,鏡検にて, rosette formationを観察し,判定した.
    その結果,悪性疾患症例において,経過良好症例のT-cel値は,健康人と同様,良好な値を示した.一方,悪液質に陥った症例での検査値では,著明な低下が認められた.また,手術施行例での術前検査値は,手術根治度の低下とともにT-cell値も低下し, B-cell値が上昇する傾向にあった.更に,腫瘍摘出により, T-cell値は術前より上昇する傾向がみられたが,特に,治癒切除例では,健康人と同程度まで回復する症例が多かった.また,胃癌術後5年以上を経過した長期生存例では,検索したすべての症例で健康人と同等の値が認められた.
    以上の事から, T-cell・B-cellの値を経時的に観察する事は,悪性疾患患者の予後判定に有意義であるとの結論を得た.
  • 富田 濤児
    1978 年 39 巻 6 号 p. 919-926
    発行日: 1978/11/01
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
    胆管内圧測定による胆管末端部の研究には古くから多くの報告がみられるが,測定方法がまちまちであるばかりでなく,使用される用語も統一を欠き混乱を招いているのが現状である.これらを整理し,理解を深めるために胆管内圧模型を想定し,これを用いて各種の測定法の意義を検討した.このうち胆管末端部抵抗測定法は外科臨床とくに胆石症の手術中に,胆管末端部の異常の有無を判定し,付加手術の適応の決定に有用であり,さらに普遍性のある数値で表現できるので,施設が異っても測定値の比較検討が可能である.装置は簡便で普及性にも富んでいる.
  • -特に胆嚢粘膜の腸上皮化生(十二指腸化)に関連して-
    松峯 敬夫, 久保田 芳郎, 山岡 郁雄, 佐々木 仁也, 青木 幹雄, 瀬戸 輝一
    1978 年 39 巻 6 号 p. 927-934
    発行日: 1978年
    公開日: 2012/08/03
    ジャーナル フリー
    手術および剖検により得られた担癌胆嚢標本17例(手術16例,剖検1例)について,特に化生組織の組織学的検索を行つた.その結果,非癌部では82.4%(14例)に偽幽門腺(偽Brunner腺),73.3%(12例)に杯細胞,47.1%(8例)に腸クローム親和細胞が見出された.これらの検出頻度は,先に報告した良性慢性胆嚢炎例に比べいずれも高値であつた.一方,癌巣部では,17.6%(3例)に偽幽門腺(偽Brunner腺)細胞型癌細胞,29.4%(5例)に杯細胞型癌細胞,17.6%(3例)に腸クローム親和細胞型癌細胞,29.4%(5例)に類表皮細胞型癌細胞が観察された.杯細胞型癌細胞は,腸クローム親和細胞型と共に吸収上皮細胞型癌細胞間に介在するが,このような癌巣の構造は腸上皮に類似し,腸型癌と呼び得るものであつた.またこのなかには,その深部に偽幽門腺型腺管の形成を伴い,十二指腸に似た構造を示すものが認められた.胆嚢粘膜は炎症に続く再生機転を介し,次第に小腸(とりわけ十二指腸)に似た形態に変化して行くが,おそらく腸型癌はこのような分化傾向を有する再生粘膜より生じ,更に周辺粘膜をなぞらつた癌巣自体の分化(化生)により,腸上皮に似た形態に推移レたものと理解される.
  • 水野 敏彦
    1978 年 39 巻 6 号 p. 935-947
    発行日: 1978/11/01
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
    悪性リンパ腫に対する外科の役割はHodgkin病を中心とした研究の,急速な進歩とともに変化してきた.すなわち,従来は診断と治療の2面を持っていたが,最近はむしろ, 1971年Ann Arbor会議において,その病理学的病期による,より正しい病期の必要性をうち出されていらい,病理学的病期を決定するための開腹手術(Staging laparotomy)に対する比重が大きくなってきた.
    一方,このStaging laparotomyを余儀なくさせる最大の因子は,後腹膜リンパ節に対するリンパ系造影の読影の問題である.一般にリンパ系造影における悪性リンパ腫の所見は,粗大顆粒型,横縞状型,内部欠損型,泡沫型などがあげられているが,それらの確実性について述べた文献は,著者が調べ得た範囲ではみあたらなかった.
    そこで著者は, 1973年より1978年までに当教室へ受診した悪性リンパ腫26例に対して,一定の適応規準を設け, Hodgkin病7例, non-Hodgkin's lymphoma 7例,計14例にStaging laparotomyを施行し, clinical stageとpathological stageを対比し正確なstageの決定に努めるとともに,後腹膜リンパ節110個について病理組織学的に病変の有無を検索し,それとリンパ系造影所見上,病変の有無判断の規準となっているリンパ節の大きさ,辺縁の状態,内部構造の3所見を中心に対比した.その結果,内部構造の所見のうち,粗大顆粒型,網状型,横縞状型,内部欠損型リンパ節は確実に病変陽性であり,均等型,微細顆粒型,泡沫均等型リンパ節は確実に病変陰性であった.しかし,大きさ,辺縁の状態は必ずしも病変の有無を示さず参考所見にとどめるべきものであることを知った.以上のリンパ系造影における悪性リンパ腫の所見に,検討を加えたが,この成績により,今後リンパ系造影の読影能力の向上, Staging laparotomyの適応症例の選択に有効な指針となることが期待される.
  • 江端 俊彰, 小林 謙二, 長内 宏之, 川山 照雄, 戸塚 守夫, 早坂 滉
    1978 年 39 巻 6 号 p. 948-952
    発行日: 1978/11/01
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
    1975年より1977年までの3年間で当科におけるエンドトキシン血症は34例で,良性疾患14例,悪性腫瘍20例であった.
    エンドトキシン血症を呈した8例と,エンドトキシン血症を示さなかった15例についてchemical mediatorのうち,血漿ヒスタミン,血漿セロトニン濃度について比較検討すると, Limulus test陽性例では血漿ヒスタミン,血漿セロトニン濃度ともLimulus test陰性例と比較し,有意な上昇を示した.
    また,実験的エンドトキシンショックにおいても, chemical mediatorのうち血漿ヒスタミン,血漿セロトニン,血中ブラディキニン濃度の上昇を確認している.
    エンドトキシンショックの病態生理については種々の意見があるが,エンドトキシンショック時にchemical mediatorが放出され,末梢循環不全より血液のpoolingが起きショックになると考えられている.したがって,エンドトキシンショック時にはchemical mediatorの放出が,エンドトキシンショックのtriggerとなることが示唆され,エンドトキシン血症とchemical mediatorの関係は重要なものと考えられた.
  • 腎血管性高血圧合併症例を中心として
    寺本 滋, 松井 徹二, 大塚 昭雄, 間野 正之, 小坂田 和, 内田 発三, 妹尾 嘉昌, 安原 正雄, 小西 洋, 戸田 完治
    1978 年 39 巻 6 号 p. 953-959
    発行日: 1978/11/01
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
    Leriche症候群のうち閉塞が腎動脈分岐部直下におよぶ症例は高位腹部大動脈閉塞症と称され,下肢閉塞性動脈疾患の終末像と云いうるが,本邦では稀である.閉塞が連続性に左腎動脈起始部に波及した症例を含め8例の本症を経験したので報告する.初診時年齢は39~73歳,平均55歳.主訴は間歇性跛行,陰萎,乏血性壊死が多い.男性7例,女性1例で,男性6例は大量の喫煙をしている.合併疾患が多く,高血圧6例,尿蛋白5例,心電図の異常4例,糖尿2例,胃潰瘍2例を認める.基本的な術式は腎動脈分岐部より2~3cm末梢側で大動脈を横断,血栓内膜摘除術を行い,大動脈-両股動脈バイパスを行う.本術式を4例に施行,最長4年5月,最短1年6月,全例開存している. poor risk症例には腋窩-股動脈バイパスが行われ, 1例は5年後心不全で死亡するまで開存, 1例は術後15日目に腎不全により死亡した.初期の大動脈の縦切開による血栓内膜摘除術,大動脈-両股動脈バイパス施行症例はrun offが悪く術直後より閉塞,膝下部切断に至った.約7年間の経過観察例は下肢乏血症状は非進行性であり高血圧も発生していない.乏血性壊死を主訴とする症例は末梢の閉塞が血栓形成により中枢側に進展した症例で, run offは悪く,手術成績は不良である.間歇性跛行を主訴とする症例は緩慢な経過を示し, run offは良好であり血行再建術の好適応である.術中の腎保護が1つの問題点であるが,特別な保護手段は用いていない.
    本邦でも食生活の変化に伴い,高位腹部大動脈閉塞症は増加すると思われる.
  • 特に換気力学的面における検討
    笠倉 貞一, 小松 寿, 長瀬 英義, 柳沢 正弘, 亀谷 寿彦
    1978 年 39 巻 6 号 p. 960-964
    発行日: 1978/11/01
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
    患者は21歳の男子.生下時より心疾患を指摘されてはいるが,特に日常生活には支障はなく過していた.会社の健康診断時に心室中隔欠損症を指摘され,当院内科入院.心カテーテル検査にてVSD+PHと診断され,手術の目的にて外科に転科する.胸部X線像にてCTR 58%,心電図では両室肥大を呈している.心カテーテル検査で,肺動脈圧は113/25mmHgと高度肺高血圧を示しており,肺/体圧比は1.0,肺/体血流比は4.875であるが,右→左シャントはなく,肺/体抵抗比は0.12と低値を示していた.換気力学的肺機能検査では, %VC及びFEV1.0%では正常であるが, Flow Volume, Closing Volumeより算出した.V50は2.59,V25は2.12,V50/V25は1.22, %CV/VCは25.7%とsmall airwayの障害が認められた.手術により,肺動脈圧は術後4週間目の心カテーテル検査にて45/12 (26)mmHgと著しく軽減していた.又経時的に行った換気力学的肺機能検査によっても, PFの増加と共に,V50は術後1週間目3.93, 4週間目には5.20と増加し,V50/V25は1.87, 2.44と正常値を示した.又術前25.7%もあった%CV/VCは術後4週間目には消失しており,換気力学的にみても肺動脈圧の軽減と共に,いわゆるsmall airwayの障害も改善されており,手術により肺機能も改善出来たものと考えている.
    我々は先天性,後天性心疾患を換気力学的な面から,その術前,術後を検討しており,肺血管に器質的な変化が生じていなければ,術前にみられるsmall airwayの障害も手術により十分改善する症例があることを認めており,術後のfollow upに換気力学的検査も血行動態と共に重要視していきたいと考えている.
  • 伊藤 末喜, 篠藤 満亮, 小柴 康, 島田 良昭
    1978 年 39 巻 6 号 p. 965-970
    発行日: 1978/11/01
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
    昭和47年1月から昭和52年12月末までの過去6年間に当院で手術を行なった原発性乳癌282例について,臨床的および病理組織学的に高年者乳癌の特徴を追求した.その結果,高年者では4cm以下の腫瘤でリンパ節転移率が低く,また局所における癌波及範囲も限局化の傾向がみられた.これらの特徴は60歳を越すと現われ始め, 65歳以上で最も顕著であった.高年者の特徴を考慮した上で,手術適応を決定した.
  • 細井 英雄, 米沢 健, 池田 義雄, 鈴木 馨一郎, 土屋 周二
    1978 年 39 巻 6 号 p. 971-978
    発行日: 1978/11/01
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
    過去16年間に横浜市大第2外科で取り扱った切除不能食道癌症例は221例である.手術療法別では胃管バイパス術53例,結腸バイパス術17例,空腸バイパス術3例,食道挿管術31例,胃瘻または腸瘻造設術56例,非手術61例である.放射線療法及び化学療法別では放射線療法単独(Rad)群52例,放射線化学療法併用(Rad+BLM)群16例,化学療法単独(BLM)群26例,未施行127例である.これらの症例を対象として治療効果を平均生存月数,腫瘍縮小効果より検討し,併せて放射線,化学療法の副作用及び合併症についても検討を加え,以下の結論を得た.
    1. 切除不能食道癌においては経口食餌摂取を直接的に改善するバイパス手術,特に胃管バイパス術,食道挿管術に合併療法として放射線治療を施行した症例の平均生存月数が長く,経口食餌摂取に直接影響を与えない胃瘻または腸瘻造設術の平均生存月数は非手術と差はなく延命効果は認められなかった.
    2. 放射線療法及び化学療法施行例の平均生存月数は非施行例に比し長く,明らかに放射線療法及び化学療法の効果が認められた.
    3. 平均縮小曲線よりみるとRad+BLM群の治療効果がもっともすぐれており,以下Rad群, BLM群の順であった.
    4. 腫瘍縮小効果よりみると,放射線療法とBleomycinの同時併用により相加効果以上の結果を得た.
    5. Rad群, Rad+BLM群, BLM群の3種の療法の治療効果を定量的に比較すると, Rad群5,000Rad, Rad+BLM群2,900Rad+70mg, BLM群300mg以上がほぼ同等な効果を有すると考えられた.
    6. 放射線療法とBleomycinを同時併用しても,単独使用に比し合併症,副作用の発生の増加は認めず,治療の中断または中止の可能性は殆んどないと考えられた.
  • 八木 敦夫, 山田 真一, 近森 正幸, 革島 康雄, 岡田 勝彦, 関本 嚴, 北出 文男, 岡島 邦雄, 黒川 彰夫, 大柴 三郎
    1978 年 39 巻 6 号 p. 979-986
    発行日: 1978/11/01
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
    胃上部癌(胃癌取扱い規約におけるC領域癌)には噴門腺部が含まれ,同部に発生した胃癌はある特徴を持っていることが推察される.胃上部癌のEsophago-Cardial Junctionの上下2cm以内に癌の中心が存在する腺癌を噴門癌,その他の胃上部癌を非噴門癌に分け,臨床的,病理組織学的に検討を加え,噴門癌は高齢者で男性に多く,肉眼型では隆起型,組織型では高分化傾向が強く,非噴門癌と対称的な特徴を有していた.両者共に予後は不良であったが,噴門癌ではow(+)の他に胸腔内リンパ節転移の残存が考えられ,腹腔内因子より,開胸切除が困難な症例では,術前,術後の積極的な化学療法が有効と考えられた.
  • 三島 秀雄, 田伏 克惇, 岡村 貞夫, 河野 暢之, 勝見 正治, 宇多 弘次
    1978 年 39 巻 6 号 p. 987-995
    発行日: 1978/11/01
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
    Peutz-Jeghers症候群は比較的稀な疾患とされてきたが,本邦でも長洲らの報告以来1975年宇都宮の集計によると既に200例以上をかぞえている.一方本症候群の場合ポリープの癌化は比較的稀とされているが,我々は胃ポリープの癌化を考えさせ,かつ胃ポリープ癌の十二指腸球部への嵌頓をきたした興味ある症例を経験したので報告する.症例は13歳の男児で嘔吐,腹痛を主訴として入院.家族歴で父親及び弟に口唇の色素斑を認め,父親は肺癌で死亡.又弟は本症候群による腸重積で手術を施行している. X線検査で十二指腸球部に手拳大の陰影欠損を認め,口唇,手掌,足蹠に黒色色素斑がみられた.手術の結果胃幽門洞のポリープの十二指腸球部への嵌頓及び小腸の3カ所にポリープを認めた.小腸ポリープは組織学的には良性の腺腫様ポリープであったが,胃ポリープはtubular adenocarcinomaで,ポリープの約80%を占めていた.術後7カ月後再発し, 1年7カ月後死亡した.
    本症候群のポリープの悪性化に関して興味ある症例と思われたので文献的考察を加えて報告した.
  • 山下 忠義, 宮村 忍, 嵯峨山 徹, 辰己 葵, 森垣 驍, 石川 羊男, 伊藤 信義
    1978 年 39 巻 6 号 p. 996-1000
    発行日: 1978/11/01
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
    昭和48年8月から53年4月までの4年8カ月間に良性胆道疾患に対して46例の胆道再建術を施行した.それらの術式は胆管空腸吻合術34例,胆管十二指腸吻合術7例,膵頭十二指腸切除術4例,膵全摘術1例である.胆管空腸吻合術34例のうち28例は, Roux-Y型に, 7例は, GrassiらによるHepatico-jejuno-duodenoplastyに準じた有茎空腸移植法を行った.その有茎空腸移植法の症例は,術後良性胆道狭窄5例,胆石症と先天性胆道拡張症のそれぞれ1例で, 2年8カ月以上経過している.それらの術後経過について3例は順調に社会復帰しているが,他の4例のうち1例は,他病死, 3例は胆道再建術に起因すると考えられる胆道感染症による胆管炎症状や肝内結石の再発が疑われている.
    これら7例の胆管十二指腸間有茎空腸移植の経験からこの再建法の問題点について述べた.
  • 〓水尾 哲也, 黒本 成人, 増本 鉄郎, 岡田 勝彦, 原田 佳昭, 野沢 真澄
    1978 年 39 巻 6 号 p. 1001-1005
    発行日: 1978/11/01
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
    教室では過去8年間に, 7例の先天性胆管拡張症を経験しているが,そのうち成人例は5例であり,かつそのうち1例に胆管癌の合併がみられた.そこで,我々は胆管癌を合併した本自験例を報告するとともに,先天性胆管拡張症に胆管癌を合併した症例の本邦報告例について,若干の文献的考察を行った.
    症例は38歳の主婦で,上腹部痛・発熱・黄疸を主訴として来院した. ERCPおよびPTCにて,肝内胆管の著明な嚢腫状拡張と総胆管の壁不整および狭窄像を認めた. PTCドレナージよりの胆汁細胞診にて異型細胞を認めた.以上より先天性胆管拡張症V型(肝内胆管嚢腫)に胆管癌が合併したものと診断し開腹術を施行した.
    肝十二指腸靱帯内のリンパ節の術中迅速標本にて,高分化型腺癌の診断をえ,膵頭十二指腸切除術を行い,総肝管を肝門部にて結紮し,左肝内胆管と空腸をLongmireの術式に従い再建した.
    我々が文献上確認しえた本邦における総胆管拡張症の癌合併例の報告は26例で,癌合併が発見された年齢は最小15歳,最高68歳であり,男性4例,女性21例であった.
    組織学的には腺癌が圧倒的に多く,発癌の機序については確定した説はないが,胆汁うっ滞や慢性炎症はその要因にあげられる.術式に関しては,嚢腫切除兼肝管空腸吻合術(Roux-Y)が理想的であると思われる.
  • 井磧 進, 根岸 征示, 渡辺 春子, 陳 晃, 高橋 政夫, 及川 達郎, 大町 正道, 中島 利子
    1978 年 39 巻 6 号 p. 1006-1011
    発行日: 1978/11/01
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
    アメーバ性肝膿瘍は本邦では稀れな疾患と考えられているが,われわれは最近本症の1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.
    症例は29歳男子.昭和52年8月2日,感冒様発熱. 8月8日,弛張熱(39~40℃)と右季肋部痛を訴えて入院.苦悶状顔貌を呈し,腹部膨満,右上腹部緊張,圧痛著明. WBC 20,800 AIK-P 25.2, T. Bil 0.5, GOT 24, GPT 38, CRP(+),検便でアメーバ(-),肝シンチ,右葉に巨大孤立性SOL (Space Occupied Lesion) (+).アメーバ性肝膿瘍の疑いで外科的肝ドレナージ,チョコレート様膿汁約1,000cc,膿中アメーバ(-),術後Latex凝集反応強陽性.フラジール, Tc, AB-Pc, DKB投与. 41病日治癒退院.本症例は国際航空路線乗務員であり,外地感染が考えられる.膿,糞便中アメーバ(-)で,確定診断はLatex凝集反応によった.
  • 鮫島 恭彦, 内村 正幸, 武藤 良弘, 脇 慎治, 門野 寛, 林 輝義, 松元 定次, 山田 秀雄, 岡本 一也
    1978 年 39 巻 6 号 p. 1012-1018
    発行日: 1978/11/01
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
    大腸原発の「びまん浸潤型」癌を報告する.症例は62歳,女性で,主訴は排便障害と血便である.注腸造影,大腸ファイバースコープ,下腸間膜動脈造影でS状結腸のびまん浸潤型癌と診断し, S状結腸切除を行った.手術時, Si, Ai, N3, S3, P1, H0, M (-)のStage Vであり,術後4カ月に再発死亡した.本症例は,手術時所見,術後諸検査(上部消化管造影,胃内視鏡,胆嚢造影),剖見所見からS状結腸病変が原発であると思われた.組織学的にはPoorly differentiated adenocarcinomaと診断した.大腸原発の癌で「びまん浸潤型」を呈した症例の報告は少いが,これを文献的に検討し,診断基準,進展様式の特徴,組織型との関係,診断について考察する.
  • 1978 年 39 巻 6 号 p. 1035-1045
    発行日: 1978/11/01
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
  • 1978 年 39 巻 6 号 p. 1046-1061
    発行日: 1978/11/01
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
  • 1978 年 39 巻 6 号 p. 1061-1071
    発行日: 1978/11/01
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
  • 1978 年 39 巻 6 号 p. 1071-1081
    発行日: 1978/11/01
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
  • 1978 年 39 巻 6 号 p. 1081-1088
    発行日: 1978/11/01
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
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