食道空腸吻合・43吻合,空腸胃吻合・1吻合,小腸小腸吻合・6吻合,結腸直腸吻合・5吻合,経腹的食道離断術・13吻合,計68吻合を,消化管自動吻合器を用いて行った.器種別には,ソ連製SPTU 12吻合,中山式変曲型1吻合,米国製EEA55吻合である.
手縫い吻合にくらべ,操作時のriskは高く,特に,挿入,抜去時のトラブルで難渋することがあり,注意を要する.著者らは挿入時のトラブルから, 3例は手縫い吻合に変更せざるを得なかった.
縫合不全率は全体で4.6%であった,食道空腸吻合のみをみると7.5%であった.一方,手縫い吻合による食道空腸吻合の縫合不全率は13.1%であったが,手縫い吻合に変更した3例は,そのままでは当然,縫合不全をおこすものであるから,これらを含めると,手縫い,器械,いずれも縫合不全に関しては全く差はなかった.
縫合不全予防のためには,必要に応じてLembert縫合を追加するものも良い.縫い込みを多くとりすぎないかぎり,狭窄はおこらなかった.
吻合部の狭窄の程度をMcAdamsの方法に準じて測定した. Index 70以上の高度の狭窄は1例もなかった. 50~70の中等度の狭窄をみたものが5例あったが,ブジーを行ったのは1例のみであった.
縫合不全,狭窄のいずれも,吻合型式(端々吻合,端側吻合)による差はみられなかった.
器械吻合の場合,操作中のriskは以外と高く,完全に手縫い吻合にとって変り得るものではなく,手縫い吻合と同様に高度のテクニックを要するものである,ということを痛感した.
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