本研究は,愛知県一宮市を対象とし,一般廃棄物処理の階層(発生抑制,再使用,再生利用)ごとに,地域協働の実態を把握するとともに,問題点を抽出して実現方策を提案することを目的とした。本研究の結論は,以下の4点に要約することができる。(1)一般廃棄物処理事業における地域協働では,発生抑制と再使用では地域協働による事業が過半数を占めていたものの,全ての時期を通じて事業はあまり多く実施されていなかった。しかし,再生利用では分別回収と生ごみの堆肥化に重点を置いて行政事業が頻繁に実施されており,特に地域協働による事業が多かった。(2)町内会および企業・事業所の取り組みの実施状況からみた地域協働では,発生抑制では取り組み自体が少ない上に実施状況は低調であるが,町内会では全ての取り組みを地域協働で行っていた。再使用では発生抑制と同様に取り組みは積極的に行われておらず,3者間の協働による取り組みは皆無であった。再生利用では他の階層よりも取みが多く,実施状況も良いが,分別回収では回収品目によって実施状況に大きな差異があった。(3)一般廃棄物削減のための地域協働の問題点は,発生抑制,再使用では,行政事業があまり行われておらず,町内会および企業・事業所による取り組みは少ないだけではなく,実施状況も微少なことである。再生利用では,特にペットボトルの分別回収や生ごみの堆肥化などにおいて,行政事業が多く実施されていたが,町内会および企業・事業所の取り組みの実施状況は低調であったことである。(4)一般廃棄物削減のための地域協働の実現方策として,行政事業の創出や活発化,町内会および企業・事業所の取り組みの実施状況の向上に関するものだけではなく,3つの階層に共通した実現方策として,情報提供や情報共有の推進環境イベントの積極的な開催,地域協働へのNPO等の団体の関与の促進を提案した。
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