環境科学会誌
Online ISSN : 1884-5029
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26 巻, 6 号
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一般論文
  • 海老瀬 潜一
    2013 年 26 巻 6 号 p. 461-476
    発行日: 2013/11/29
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
    渓流水質の方位分布で気象・水文学的に顕著な特徴の反映が期待でき,円錐形独立峰とみなせる岩木山・鳥海山・大山と屋久島の四山系の放射状流下渓流群の水質調査を秋季・春季・夏季の3回実施した。いずれも日本海・東シナ海に面し,冬季に冠雪する標高1600mを超える高山である。また,最高峰が608mで高山のない円形島の隠岐島後で春季調査を行った。四山系および隠岐島後の東西南北の4方位別渓流群の水質平均濃度の比較と,年間降水量・風向,酸性沈着物量や海岸線からの距離との関係を検討した。四山系の方位分布では,全般的に偏西風によって海塩や長距離輸送された大気汚染起因の酸性沈着物で西側の渓流水質濃度が高い傾向が見られた。しかし,岩木山南側ではSO42-濃度が他方位より高く,鳥海山北側ではClやNa濃度が他方位より高くなり,火山・温泉影響と考えられた。3回調査の全渓流水質の平均濃度を四山系で比較すると,屋久島が降水量の多さでH以外の濃度の低さが目立ち,火山・温泉影響の項目を除いた水質濃度では大山が相対的に高い傾向であった。屋久島と大山が海塩や酸性沈着物影響の方位差を反映することがわかった。隠岐島後では偏西風により西および北側で海塩影響が大きかった。円錐形状,調査地点高度差,渓流数等から酸性沈着物や海塩の渓流水質影響と気象・水文条件との関係を検討するには,四周が海の屋久島が最も適当であることが明らかになった。
研究資料
  • -東日本大震災前50年間について-
    加藤 尊秋
    2013 年 26 巻 6 号 p. 477-488
    発行日: 2013/11/29
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
    現在,原子力発電の扱いなどに関し,新たなエネルギー政策を作り上げるために世論を知る必要性が高まっている。政策作りに際し,世論の特徴をよく理解する必要があり,このためには,エネルギー問題に対する過去の世論動向を分析することが一定の役割を果たすと思われる。しかしながら,原子力を除くとこのような文献は限られ,今後の研究展開が待たれる。そこで本稿は,第一に,全国規模の世論調査の中でエネルギー関係の話題がどのように扱われてきたか,東日本大震災前の50年間について変遷をたどった。第二に,時系列上での世論比較に役立つと思われる世論調査を整理した。本稿は,これらの点を通じて今後の世論研究に役立つ研究資料の提供を目指す。本稿では,日本政府が集約した世論調査関係の資料,また,学術機関が運営する3つのデータベースをもとに,1961年度から2010年度の間に行われた全国規模(調査対象者1,000人以上)の世論調査を可能な限り収集した。この結果,エネルギーに関わる質問を含む339件の調査が見いだされ,このうち313件について調査票を収集できた。これらを整理し,エネルギーに関わる調査の世論調査全体に対する位置づけや,エネルギーに関わる質問内容の変遷を明らかにした。また,内閣府(旧総理府)および新聞社による世論調査に関し,2年間以上の期間にわたり世論を追跡可能と思われる質問を網羅的に抽出した。さらに,東日本大震災前後での世論の比較に役立てるために,同震災前の2年間に各種機関が行ったエネルギーに関わる質問の内容を整理した。
シンポジウム論文
  • Uyen Phuoc Nhat TRAN, Khanh Le Van VU, Quan Dinh NGUYEN, Phung Thi Kim ...
    2013 年 26 巻 6 号 p. 489-496
    発行日: 2013/11/29
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
    本論文では,稲わらを原料とした小規模バイオエタノールプロセスについて,パイロットプラントにおける生産試験を行った結果を報告する。このバイオエタノール生産プロセスには,熱源として,排熱回収ボイラーを装備してスチーム供給が可能な炭化プロセスを組み合わせている。炭化プロセスの原料にはもみ殻を使用した。99.6kgのアルカリ前処理済みの稲わらの同時糖化発酵により,発酵ブロス中に24.8kgのエタノールが得られ,蒸留により19.6kgのエタノールが回収された。また,このときのバイオエタノールプロセスの稼働に必要なエネルギー(カットから蒸留まで,稲わらからのエネルギーを除く)の凡そ69%は炭化プロセスからのエネルギー回収により供給でき,エタノールプロセスと炭化プロセスの組み合わせによる小規模バイオマスリファイナリー可能性を示した。
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