胆道
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20 巻, 1 号
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  • 窪田 賢輔, 藤澤 聡郎, 稲森 正彦, 阿部 泰伸, 桐越 博之, 齋藤 聡, 中島 淳
    2006 年 20 巻 1 号 p. 11-16
    発行日: 2006/03/31
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    通常の挿入法で胆管挿管不能のため, triple lumenのneedle-knifeによるprecutpapillotomeを使用した連続13例を選択的胆管挿管困難例とし, 傍乳頭憩室の有無, narrowdistal segmentについて検討した. 同時期の通常のEST施行例(n=23)と比較した. 選択的胆管挿管困難例では傍乳頭憩室を認めなかった. ERC所見で, 通常のEST施行例と比べ, 7mm程度長いnarrow distal segmentが, 選択的胆管挿管困難例に影響したと考えられた.選択的胆管挿管困難例に対しtriple lumenのneedle-knifeによるprecutは, 切開後のガイドワイヤー操作, 造影が一連の流れで施行でき, 成功率が92.3%と高く, 安全に施行できるが, 出血, 膵炎などの合併症に注意し, 慎重に行うべき手技と考えられた.
  • 小山内 学, 真口 宏介, 浦田 孝広, 松崎 晋平, 中原 和之, 潟沼 朗生, 高橋 邦幸, 桜井 康雄, 安保 義恭, 道家 充
    2006 年 20 巻 1 号 p. 17-25
    発行日: 2006/03/31
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    胆嚢管癌8切除例について, 術前画像診断を中心に検討した. 対象は全例男性で平均年齢は67.5歳, Farrarの診断基準を満たすのが2例, 広義の診断基準を満たすのが6例であった. USでは腫瘤の直接描出は難しいが, 胆嚢腫大75%, 胆泥貯留を63%に認めた. CTでは腫瘤描出あるいは三管合流部付近の片側性壁肥厚を63%に認めた. EUSは88%で胆嚢管内の腫瘤像の指摘と周囲臓器との関係が把握可能であった. ERCでは広義の基準を満たす6例全例に胆管壁外からの圧排や軸変位を伴う狭窄所見がみられた. IDUSは, 88%に腫瘤像の描出が可能であったが, 2例では腫瘍が胆管へ広範に進展しており主座の同定が困難であった. US, CTで胆嚢腫大, 胆泥貯留, 三管合流部付近の片側性壁肥厚についてEUSで評価することが有用であり, これに他の画像診断情報を加えることにより自験例の術前診断正診率は88%(7/8)であった.
  • 須山 正文
    2006 年 20 巻 1 号 p. 27
    発行日: 2006/03/31
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
  • 渡邊 五朗
    2006 年 20 巻 1 号 p. 28-34
    発行日: 2006/03/31
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    胆道とくに胆嚢の超音波診断につき概説した. 胆石症, 胆嚢ポリープ, 胆嚢腺筋腫症, 早期胆嚢癌, ss胆嚢癌を取り上げた. なかでも胆嚢の壁層構造の読み込みに着目し, 病変の首座がどの層にあるのか, それに応じてどう描かれるかを理解することで, より高度な診断が可能であることを示した. しかもそれが体表からの通常の超音波検査で可能であり, 胆嚢癌の進行小病変を今後発見するための指標になると考えられた.
  • 古川 敬芳
    2006 年 20 巻 1 号 p. 35-39
    発行日: 2006/03/31
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    Multidetector-low computed tomography(MDCT)の登場により, 胆道領域においても, その診断意義が評価されるようになってきた. 撮影条件に注意を払い, 得られた膨大な画像情報を利用しやすい形で再構成する. MDCTを活用することで, 不必要な検査を省略し, 診断体系の合理化が図れる.その他, 胆道領域の代表疾患のCT所見について概略を示した.
  • 崔 仁煥, 須山 正文, 窪川 良広
    2006 年 20 巻 1 号 p. 40-43
    発行日: 2006/03/31
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    MRCPは, 胆膵疾患のスクリーニング法, 診断的ERCPにかわる検査法として有用性を発揮している. また, MRCPは, 膵液胆汁逆流現象, 閉塞部より上流の膵胆道, 炎症に伴う滲出液の拡がりなど, ERCPでは得られない多くの情報を提供する.そのため, 胆膵疾患に対するより深い理解と, 詳細な病態の把握にもとづく診断および治療計画を可能にし, ERCP による合併症の減少にも貢献する. MRCP は細胞診, 生検, 治療を行うべき症例の選択やその際のランドマークとしても有用な検査法である.
  • 竹内 弘久, 阿部 展次, 水野 英彰, 吉田 孝司, 森 俊幸, 杉山 政則, 跡見 裕, 堀田 綾子, 谷澤 徹, 藤岡 保範
    2006 年 20 巻 1 号 p. 45-49
    発行日: 2006/03/31
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    症例は55歳, 女性. 19カ月前, 十二指腸乳頭部癌に対し幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を実施した.露出腫瘤型の高分化型管状腺癌(fStage II)と診断された. 外来経過観察中, CA19-9が再上昇し, CTで膵尾部に腫瘤性病変を認めた. 造影CT/MRIで膵尾部に約10mm大の比較的境界明瞭な円形の低吸収域の腫瘍がみられ, 腫瘍辺縁に遅延性の造影効果が認められたこと, 膵管像に異常がみられなかったことから乳頭部癌膵転移を疑い, 膵尾部・脾合併切除術を施行した. 膵腫瘍の組織学型は既往乳頭部癌に類似し, 腫瘍の膵管内進展を認めないことから乳頭部癌の膵転移と診断した. 乳頭部癌膵転移に対する切除例の報告はなく, 文献的考察を加え報告した.
  • 武内 周平, 齋藤 博哉, 鉾立 博文, 湯浅 憲章, 竹井 俊樹, 高邑 明夫
    2006 年 20 巻 1 号 p. 50-55
    発行日: 2006/03/31
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    症例は55歳女性.乳頭部癌で幽門輪温存膵頭十二指腸切除術が施行された.術後に肝動脈瘤破裂を来し, 塞栓術が行われた. 塞栓術数日後, ドレナージチューブから再度少量の出血を認めたが, 経過観察で止血が確認された. しかし, 手術後8カ月経過後, 下血が見られるようになり, 腹部CTで門脈本幹の閉塞, ならびに側副血行路の出現を認めたことから門脈圧充進症による上腸間膜静脈瘤からの出血と考えられた.下血が連日となったため, 当院転院となった. 経皮経肝門脈造影で, 門脈本幹は完全閉塞し, 著明な遠肝路・求肝路が発達していた. 狭窄部は硬く全周性であったため, カッティングバルーンを用いて狭窄部を拡張後, SMARTステント2本を留置した.残存する遠肝路を, 静脈瘤硬化剤を用い塞栓した. 24カ月後の現在もステントの開存性は良好で, ステント留置後下血は認められていない. 門脈閉塞後年数が経過しても, 積極的な IVR の適応になる可能性が示された.
  • 北川 裕久, 谷 卓, 萱原 正都, 林 泰寛, 高村 博之, 藤村 隆, 西村 元一, 太田 哲生
    2006 年 20 巻 1 号 p. 56-63
    発行日: 2006/03/31
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    十二指腸乳頭部癌で, 原発巣からのリンパ行性進展経路を病理組織学的に捉えることのできた症例を経験したので報告する. 患者は80歳男性, 主訴は特にない. 高血圧症で近医通院中に, 肝機能障害にて腹部CTを施行され, 下部胆道閉塞を指摘された.内視鏡検査, 生検で潰瘍型の乳頭部癌と診断された.画像上, リンパ節転移を示唆する所見はなかった.切除標本の病理所見では, 膵頭後面のリンパ管内に広く癌細胞が存在した. 後面上部では, 癌細胞は後上膵十二指腸動脈に沿って連続性にみられたが, 前面の前上膵十二指腸動脈周囲や胃十二指腸動脈近傍にはみられなかった. 後面下部では, 後下膵十二指腸動脈, 前下膵十二指腸動脈に沿って連続性に上腸間膜動脈の下膵十二指腸動脈分岐部へと進展していた. 当症例は, 乳頭部癌のリンパ行性進展を連続性に捉えることができ, 乳頭部癌のリンパ流域(lymphatic basin)を理解するのに貴重な症例であると考えられた.
  • 鉾立 博文, 齋藤 博哉, 武内 周平, 平松 一秀, 吉田 博清
    2006 年 20 巻 1 号 p. 64-69
    発行日: 2006/03/31
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    症例は74歳, 男性.肝動脈瘤に起因する閉塞性黄疸にて発症, 近医にてPTBDを施行され, 第14病日に転入院した.入院後の検査で固有肝動脈~総肝動脈移行部付近に, 瘤頸を有する動脈瘤が原因と判明した.動脈塞栓術を予定したが, 門脈本幹から左右両枝は動脈瘤により著明に圧迫狭小化していたため, 肝動脈塞栓による肝不全を懸念した. このため門脈の動脈血化の準備をして塞栓術に臨み, 流入流出血管である固有肝動脈と総肝動脈遠位および胃十二指腸動脈近位に対して, 経カテーテル的に金属コイルを用いた塞栓に成功した.塞栓術後肝不全は生じず, 動脈瘤も縮小し胆管狭窄の改善を得た.治療1年3カ月後の現在, 閉塞性黄疸の再発は見られず経過良好である.
  • 原 隆志, 高梨 節二
    2006 年 20 巻 1 号 p. 70-75
    発行日: 2006/03/31
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    経十二指腸的乳頭切除術を施行した乳頭部カルチノイドの1例を経験したので報告する. 症例は49歳, 男性. 健診にてγ-GTPの上昇を指摘され精査となった. 腹部 USで総胆管の拡張が認められ, 造影CTで十二指腸乳頭部に内腔に突出する1.5cm大の腫瘤性病変が認められたが, 周囲への浸潤やリンパ節の腫大は認められなかった. EUSでは十二指腸乳頭部に1.7cm大の境界明瞭で内部均一な低エコー腫瘤を認め, 内視鏡所見では乳頭部は腫大し, 生検でカルチノイドと診断された. 腫瘍径が小さく, 浸潤所見やリンパ節腫大も認められず, 経十二指腸的乳頭切除術を施行した. 術中の膵頭後面リンパ節迅速病理診断では, 腫瘍を認めなかった. 病理組織学的検査ではカルチノイド腫瘍で, 脈管因子, リンパ節転移, 核分裂像の何れも認めず, 細胞異型度も少なく, Ki-67陽性率も低値で切除断端も陰性であった. 術後11カ月を経過した現在, 再発の徴候なく健在である.
  • 佐久間 俊行, 後町 成輔, 堂脇 昌一, 飛田 浩輔, 大谷 泰雄, 今泉 俊秀, 鬼島 宏, 峯 徹哉
    2006 年 20 巻 1 号 p. 76-81
    発行日: 2006/03/31
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    胆道系の腺扁平上皮癌については報告が少なく, しかも肝外胆管に発症したものはきわめて稀である. 我々は, 2例の肝外胆管原発と考えられる腺扁平上皮癌を経験したので報告する. 症例1は62歳の男性で, 昭和61年11月に黄疸で発症したが中・下部胆管の結節浸潤型の癌と考え, 昭和62年に膵頭十二指腸切除術が施行された. 病理学的には中部から下部胆管にかけての結節浸潤型癌であり組織学的に腺扁平上皮癌であった. 症例2は78歳の男性で, 平成11年9月に肝機能障害で発見され中部胆管癌と診断され, 平成11年10月に総胆管切除術, 胆管空腸吻合術が行われた. 病理学的には中部胆管から両側肝管部に達する結節浸潤型癌であり, 組織学的にも腺扁平上皮癌を呈していた.
  • 原田 文, 乾 由明, 三好 里佳, 渡邊 知英, 松本 由美, 堅田 龍生, 安永 祐一, 蓮池 康徳, 興梠 隆, 西川 正博
    2006 年 20 巻 1 号 p. 82-86
    発行日: 2006/03/31
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    症例は71歳, 女性. 肝細胞癌に対して肝動脈塞栓術を施行した. 10カ月後胆嚢底部に直径23×16mmの辺縁不整な乳頭状腫瘤が発見された. 急速に増大することより胆嚢癌を疑い拡大胆嚢摘出術を施行した.病理組織では粘膜下に異物巨細胞と泡沫状の組織球の集族を認め, 黄色肉芽腫性胆嚢炎と診断した. 本例は2~3カ月毎に画像検査による経過観察が行えたので報告する.
  • 上田 順彦, 大西 顕司, 中川原 寿俊, 吉光 裕, 木村 俊久, 澤 敏治
    2006 年 20 巻 1 号 p. 87-94
    発行日: 2006/03/31
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    症例は37歳, 男性.腹部CT検査では肝S2に造影効果の乏しい境界不明瞭な病変を認め, 肝門部に進展していた.腹部血管造影検査では固有肝動脈から右肝動脈の不整な狭小化を認め, 門脈本幹は硬化し左枝は描出されなかった.肝S2を原発とし肝十二指腸間膜まで浸潤した肝内胆管癌と診断し, 尾状葉を含む拡大肝左葉切除および肝十二指腸間膜全切除を施行した. リンパ節郭清は胃小彎リンパ節を含めD 2 レベルまで施行した. 動脈・門脈を合併切除後, 動脈門脈シャント(APS)を作製した.切除標本では最大5.2×3.2cmの腫瘍が肝門部および尾状葉に進展していた.門脈本幹では癌が内腔まで及んでおり, 肝側血管断端に癌浸潤を認めた.また胃小彎リンパ節を含めて広範囲にリンパ節転移を認めた.術後16日目の血管造影では挙上空腸から吻合部を介して肝内の動脈が描出されたため, 開存していたAPSを遮断した.術後1年たった現在, 再発の徴候を認めていない.
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