特殊教育学研究
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44 巻, 4 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 甲斐 更紗, 鳥越 隆士
    原稿種別: 本文
    2006 年 44 巻 4 号 p. 209-217
    発行日: 2006/11/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    本研究では、ろう学校高等部生徒のアイデンティティ形成について質問紙調査を行った。373名の生徒の回答をもとに、因子分析による検討を行った。「聞こえないことへの積極的受容(F1)」「聞こえないことに対する抵抗と葛藤(F2)」「聞こえる人に対する不安(F3)」「聞こえることに対する傾倒(F4)」「聞こえない人たちへの傾倒(F5)」の5つの因子が抽出された。次に、各因子と生徒の性別、学年、家族構成、教育歴との関連を検討した。その結果、「聞こえないことへの積極的受容(F1)」では性別、教育歴に、「聞こえないことに対する抵抗と葛藤(F2)」では家族構成に、「聞こえる人に対する不安(F3)」では性別に、「聞こえることに対する傾倒(F4)」では学年、家族構成に、「聞こえない人たちへの傾倒(F5)」では学年に相違がみられた。本研究で得られた因子分析による知見と、先行研究におけるアイデンティティの発達尺度との対応関係について検討した。
  • 山中 冴子
    原稿種別: 本文
    2006 年 44 巻 4 号 p. 219-227
    発行日: 2006/11/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    本稿では、オーストラリアの障害者教育において職業教育訓練がいっそう推進されている背景について1980年代後半の教育改革から考察し、どのようなカリキュラムをいかなる体制で実施しているのかについてトランジション先進州のニューサウスウェールズ州を中心に検討した。まず、ノーマライゼーションの浸透と時期をほぼ同じくして、同国の経済合理主義的教育改革が障害者教育における職業教育訓練の積極的導入を促したことを述べた。また、障害生徒が卒業後に選択する可能性のある進路先が求めるスキルに照らして生徒の教育的ニーズを把握し、産業界の求めるコンピテンスの獲得状況を教育成果と捉えるなど、教育実践ではノーマライゼーションよりも経済合理主義としての観点が優位であることを明らかにした。障害者教育と社会経済的観点の関係は、多くの先進国で共通した関心事である。それぞれの教育の歴史や遺産を分析しつつ、議論を深めることが求められる。
  • 岡部 一郎, 渡部 匡隆
    原稿種別: 本文
    2006 年 44 巻 4 号 p. 229-242
    発行日: 2006/11/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    本研究は、知的障害養護学校中学部に在籍する3名の生徒を対象に、自発的な余暇活動の開始行動を形成する指導を行った。指導では、事前調査および行動観察に続いて自発的に余暇活動を開始する指導(自己開始指導)を学習室と生徒の教室において実施した。また、レジャーナビという活動の選択決定を援助する補助具を活用した。その結果、3名の生徒すべてが、自分から余暇活動を開始することが可能になったが、自発的に活動を開始するための行動連鎖を習得させるためには、個に応じた支援を適宜加えていく必要があることが明らかになった。また、指導の経過から好みの余暇活動を自ら表明できること、他の生徒や教師とのかかわりの広がり、さらに活動のレパートリーの拡大などの副次的な行動の変化が確認された。それらの結果について、発達障害のある生徒が余暇時間を主体的に活動するための指導のあり方から検討を加えた。
  • 梶 正義, 藤田 継道
    原稿種別: 本文
    2006 年 44 巻 4 号 p. 243-252
    発行日: 2006/11/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    本研究は、養護学校の教師が、LD・ADHD等の軽度発達障害の疑いがある児童への教育的支援で問題を抱えている通常学級担任に対して行ったコンサルテーションに関する事例研究である。支援対象児童は、軽度発達障害が疑われるとして学校側がスクリーニングした小学2年生の男児3名であり、授業中の立ち歩き、私語、注意の集中困難、級友とのトラブルや暴力的行動等の共通した行動問題を抱えていた。問題の分析から、教師が児童の行動問題に注目するのではなく、行動問題以外の行動を評価すること、および個別の直接的・積極的な支援を中心に話し合いと実践が行われた。その結果、児童の学習行動を評価する教師の行動(褒める・微笑む等)が増加するとともに、さまざまな行動問題の低減がみられた。このことから、養護学校の教師の限られた時間でのコンサルテーションによる支援は、軽度発達障害等のある児童への教育的支援としてある程度有効に機能することが示された。
  • 是永 かな子
    原稿種別: 本文
    2006 年 44 巻 4 号 p. 253-259
    発行日: 2006/11/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
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