多くの疫学調査が疾病の進行において,坑酸化物質が防御的効果を示す報告をしている.分子生物学的手法を用いて,介入試験での坑酸化物質の特異的効果を調査することは可能で,最も広く用いられている評価方法は白血球細胞の酸化的DNA損傷を指標とした評価系である.すなわち,7-ハイドロキシ-8-オキソ-2'-デオキシグアノシンの測定とCOMETアッセイである.ところで,坑酸化物質による介入試験としては,C,E,カロテノイド,種々の天然食品(例 : ニンジンジュース)のうちから,1種類だけあるいは2種類以上の組み合わせで摂取している場合がある.しかし,これらの介入試験で短期介入試験(数週から6ヶ月以内)での結果は一定していない.また,これらの坑酸化物質の短回摂取試験では,酸化的DNA損傷が減少はするが,その効果はせいぜい数時間でのその効果期間が短い.さらに,多くのポジティブな結果を示した試験のデザインがプラセボ対照試験ではない.したがって,期間(例 : 季節差,被験者のライフスタイルの変化,測定時期等による測定誤差)によるフォールスポジティブの可能性がぬぐいきれない.なぜならば,坑酸化物質介入試験への被験者として参画の際に食習慣を変える傾向がある.また,季節による差は大きな影響がある.したがって,将来的にはクロスオーバー試験というより,むしろプラセボ対照試験,平行群間試験が推奨される.
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