飼料中のTrpレベルの相違によってNiAの添加効果がどの程度に現われるかについて幼ラットの成長とTrp代謝産物であるキノリン酸,NiA,MNAの尿中排泄量並びにこれらとNADの肝・腎中の含量に及ぼす影響について調べた.その結果,体重増加量とPERで判断する限り,TrpレベルO.043%ではNiA0.003%の添加効果が明らかに認められたが,TrpレベルO.085,O.17,0.25及び0.34%ではNiA添加効果は全く認められなかった.Trp代謝産物量は,Trpレベル0.043%ばかりでなくO.085%でもNiA添加によって増加していた.予備実験の結果をも参考にすると,ラットではTrpレベル0.085%程度までは,NiAの添加効果を示すものと思われる.肝のTrp代謝産物量は,飼料中のTrpレベルに対して一次反応で増大したことから,肝のTrpからのNiA活性物合成能力はかなり強く,Trpさえ充分に摂取していれば,肝のTrpから生合成されるNADだけで全生体のNAD要求量を充たすことができるものと考えられる結果を得た.各種アミノ酸を提供していただいた協和醗酵工業株式会杜に対し深謝の意を表します.
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