Eremothecium ashbyiiの休止菌体を用いて, アデニンのB_2生産阻害機作を陽イオン交換樹脂により追求した.1)アデニンの添加濃度の増加に伴って, B_2生産は阻害され, 3mM添加で54%の阻害が観察された.2)アデニン添加によってB_2生産は阻害されるが, このとき高濃度塩酸(2.5N)によって溶出されてくる未知物質の存在が認められた.本物質は各種クロマトグラフィー, 定性実験, 紫外部吸収スペクトル, 構成成分の確認実験等からS-アデノシルホモシステインと同定した.本物質はアデニン添加によってのみ蓄積し, 1mM添加で0.44μmolの蓄積を示した.3)また休止菌体培養初期に2)と同様に溶出されるもう一つの未知物質の存在が確認された.この画分はメチオニンの添加によって増大し, 同時にB_2生産は促進された.本物質は上記と同様の方法によって, S-アデノシルメチオニンと同定した.S-アデノシルメチオエンはメチオニン10mM添加によって14μmolの蓄積量を示した.またアデエン1mM, メチオエン10mMを同時に添加すると, 25μmolの蓄積を示した.このときB_2生産阻害は観察されなかった.4)黄色株に比しB_2生産のきわめて低い白色株では, 休止菌体培養18時間後においてもプリンプールは大きく, またS-アデノシルメチオニン, S-アデノシルホモシステイン両物質の存在が確認された.
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