慢性腎臓病(Chronic kidney Disease:CKD)では,腎臓の細胞数減少や血清リンの上昇とともに腎臓での1α-水酸化酵素活性が低下することが知られている.このため,骨ミネラル代謝異常が招来されることが以前から指摘されていたが,最近ではCKDで頻発する合併症の血圧異常,心筋肥大,動脈硬化など心血管予後を左右する危険因子の発症に関与していることが認識されるようになり,その結果としての心血管死亡率にも影響を与えるとの報告が相次いでいる.また,最近では,ビタミンDの欠乏・充足状態を血清25水酸化ビタミンD (25-OH-D)濃度で判定されるようになってきているが,一般人でも血清25-OH-Dの低下と死亡率増加との疫学データが示され,ビタミンD欠乏が死亡率上昇の危険因子である可能性が出てきている.
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