AsSのニジマスに対するC作用について検討した. 1.ニジマス浮上稚魚を用いた152日間の飼育実験において変形魚はC欠乏区のみに発生し, AsS添加飼料投与区はAsA添加飼料投与と同様変形魚の発生がなかった. 2.変形魚が生存尾数の30%を越えたC欠乏区にAsAあるいはAsSを1mmol/100g含む飼料を飽食量投与した結果, 変形魚の発生は抑制された. 3.実験開始後119日目の臓器中C含有量はAsA添加区の値を100%としたとき, AsS添加区では肝臓が65%(177μg/g), 筋肉では69%(33μg/g)であった.C欠乏区はAsA添加区の2〜3%の含有量であったが2週間のAsS添加飼料による回復試験で肝臓は34%, 筋肉は58%まで回復し, AsA添加飼料では肝臓が90%, 筋肉が80%まで回復した. 4.脊椎骨中アミノ酸のHypro量は119日目のC欠乏区, AsS区及びAsA区はそれぞれ0.92,1.44,1.39g/100g, 152日目は0.83,1.37,1.38g/100gであり, AsS区とAsA区のHypro量はほぼ等しかった.C欠乏区に対するAsSあるいはAsAによる2週間の回復試験において, AsSとAsAはHypro含有量を著しく回復しその回復能力は同程度であった.以上の結果AsSはニジマス稚魚に対しC作用を有することを認めた.
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