フリーゲル教授は最近アフガニスタンからWaagenophyllidae科に属するサンゴを記載された.同地域にこの種のサンゴの発見さる可きことは,充分に予期されたところであるが,従来は全く未報告であったから,この発見は特筆に値すると考える.しかしながら,氏の鑑定には,かなり誤りがふくまれているようだ.それでその理由を略記し,種の同定をやり直しておいた.すなわち氏のWentzelellites molengraaffi (GERTH)としたものは,むしろW. senni MINATO et KATOに近く,molengraaffiはWentzelellitesよりはLonsdaleiastraeaに属さすべきものである.氏がIranophyllum carcinophylloidesとしたものはIranophyllumの新種であろう.carcinophylloidesは,むしろPavastehphyllum(Sakamotosawanella) MINATO et KATOに属さるべきもので,別属である.他のIranophyllumもそれぞれ新種であろう.また氏が分類上の位置不明とした標本は,恐らくIranophyllum?と考える.以上のサンゴはKotal-e-Tera峠のペルム系中部からエルべン教授により採集されたもので,その時代はNeoschwagerina帯とみるのが至当である.フリーゲルは他に三畳系の直下からWaagenophyllum indicumを記載している.これの時代は恐らくYabeina帯または,最上部ペルム紀であろう.ちなみに,フリーゲルの報告は1965年1月に,私どものWaagenophyllidaeのモノグラは4月に出版された.
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