地球科学
Online ISSN : 2189-7212
Print ISSN : 0366-6611
68 巻, 2 号
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  • 秩父盆地団体研究グループ
    原稿種別: 本文
    2014 年68 巻2 号 p. 55-67
    発行日: 2014/03/25
    公開日: 2017/05/12
    ジャーナル フリー
    秩父盆地北東縁部に分布する中新統は,下位より下部中新統の牛首層.富田層,中部中新統の子ノ神層.宮戸層に区分される.このうち,富田層と子ノ神層の関係は部分不整合である.調査地域の東側では,富田層と子ノ神層の構造が斜交したり,富田層が削り込まれていることなどから,不整合の関係で接していると考えられる.西側では,両層の構造は調和的で削り込みもないため,整合関係と考えられる.盆地北東縁部から西方に向かうにつれて,不整合から整合へと漸移している.牛首層から富田層にかけての堆積環境は,潮間帯から上部外浜,下部浅海帯を示し,次第に深い環境になっている.富田層の堆積後期には基盤の隆起にともなって東側の地域が陸化し,部分不整合が形成された.この部分不整合の形成後,子ノ神層堆積時の海進は急速で,堆積物の供給が充分でないうちに潮間帯から下部浅海帯へと海底面深度が一気に深くなっている.秩父堆積盆地をふくむフォッサマグナの全域や山陰から東北地方の日本海側地域などでは急激な沈降と海域が大きく拡大することが知られているが,子ノ神層の急速な海底面の深化はこの海域拡大に符合している.
  • 茨木 洋介, 三宅 幸雄, 田沢 純一
    原稿種別: 本文
    2014 年68 巻2 号 p. 69-79
    発行日: 2014/03/25
    公開日: 2017/05/12
    ジャーナル フリー
    岡山県大賀地域上大竹の高山石灰岩下部(Eostaffella-Millerella帯)から産出した前期石炭紀(ヴィゼー期後期)の腕足類を記載する.このたび記載した腕足類は以下の5属5種である:Marginatia toriyamai Yanagida, Latiproductus edelburgensis (Phillips), Schizophoria resupinata (Martin), Phricodothyris insolita George, Syringothyris cf. cuspidata (Martin).高山フォーナは秋吉帯の青海,日南,秋吉から産出するヴィゼー期腕足類フォーナと構成種が似ており,それらに対比される.本研究は高山石灰岩から産出する石炭紀腕足類に関する初めての報告である.
  • 小室 裕明, 亀井 淳志, 大平 寛人, 三好 未希子, 田結庄 良昭, 引原団体研究グループ
    原稿種別: 本文
    2014 年68 巻2 号 p. 81-88
    発行日: 2014/03/25
    公開日: 2017/05/12
    ジャーナル フリー
    兵庫県北部引原地域には,白亜紀末〜古第三紀初期の火山岩・深成岩類が分布している.火山岩類は,流紋岩質火砕岩類とそれを不整合に覆う安山岩溶岩からなり,それぞれ引原層・戸倉層と新たに命名した.引原層は,おそらくカルデラ埋積層である.これらの火山活動の間に花崗岩類の貫入があった.引原層は,フィッショントラック法により73.2±2.5Maと年代測定された.引原層に貫入する石英斑岩と黒雲母花崗岩の年代は,それぞれ69.0±2.2Ma(FT)と63.1±=2.3Ma(Rb-Sr)であった.したがって,引原層の火山活動は75〜70Maの間に起こった.ひき続き花崗岩類の貫入があった後,戸倉層の安山岩溶岩に引原層は不整合に覆われた.
  • ジャブカラン オトゴンクウ, 高須 晃, カビール ファッツル, バトウルツ ダッシュ
    原稿種別: 本文
    2014 年68 巻2 号 p. 89-96
    発行日: 2014/03/25
    公開日: 2017/05/12
    ジャーナル フリー
    モンゴル南西部のLake帯中のAlag Khadny変成コンプレックスは中央アジア造山帯(Central Asia Orogenic Belt: CAOB)中央部に位置する.この変成コンプレックスは主に正片麻岩からなり,その他に少量の雲母片岩を伴う.この正片麻岩はMaykhan Tsakhir累層の大理石層を挟在し,大理石層はさらにざくろ石-クロリトイド片岩のレンズ状岩体を包有している.また,正片麻岩中にはエクロジャイトのレンズ状岩体が存在する.エクロジャイトのピーク変成条件はこれまでに温度590-610℃,圧力20-22.5kbarが見積もられている.一方,ざくろ石-クロリトイド片岩の変成温度条件は560-590℃でエクロジャイトよりわずかに低温であるが,変成圧力条件は10-11kbarであり,エクロジャイトより著しく低圧である.本研究においてエクロジャイト岩体中に主に角閃石からなる小脈(角閃石-斜長石-フェンジャイト脈と角閃石-石英脈)が発達するのを見いだした.小脈は構成する鉱物種から2種に分けられる.角閃石-斜長石-フェンジャイト脈は角閃石(バロワ閃石,マグネシオホルンブレンド,エデン閃石),斜長石,フェンジャイトと少量のチタン石と石英よりなる.角閃石-石英脈は石英と角閃石(トレモラ閃石,マグネシオホルンブレンド)からなる.本研究において,エクロジャイト中の角閃石-斜長石-フェンジャイト脈から603±15MaのK-Ar角閃石年代と612±15Maのフェンジャイト年代を得た,また,角閃石-石英脈から602±15Maの角閃石年代を得た,これらはいずれもおよそ600Maの調和年代を示し,エクロジャイト岩体の上昇の年代として解釈できる.しかし,この年代は,これまでにエクロジャイトとざくろ石-クロリトイド片岩から報告されていたおよそ540Maの40Ar/39Arフェンジャイト年代よりも明らかに古い.本研究により報告する600Maの年代を示すエクロジャイト存在は,Alag Khadny変成コンプレックスのエクロジャイトには,異なる2種の上昇プロセスがあることを意味する.
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