北海道エリモ岬近傍の低位段丘礫層から産出したマンモス象臼歯は,支笏降下軽石層よりも古く,ウルム第1亜氷期後半, WV3に対比されると信ず可き根拠がある,之に対してシベリヤのマンモス象,特に北極圏に知られたものには,層位的に3層準が区別される.即ちエルギ氷期とボッカプチャ氷期の間の温暖期, Riss/Wurm間氷期のものが1つ,その他はラヂオカーボンの値によって,ウルム第1氷期と主ウルム第1氷期の間の温暖期,即ちW1/Wh1の間氷期,第3はAllerod暖期のもので,何れも間氷期のものである.マンモス象は気侯変化につれて移住をくりかえしたが,暖期には北方へ,寒期には南方へとうつったことがわかる.将来の研究によってマンモス象の移動の経過はさらにくわしく知られるであろう.
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