メッシニアン期の間,蒸発岩が古地中海に広く堆積した.南東スペインのソルバス盆地は,大西洋と地中海の間のジブラルタル海峡の近くに位置し,古地中海の一部であった.この盆地における前期メッシニアン期の間の古環境を復元するために,ソルバス盆地に分布するトゥレ層アバッド部層産の浮遊性および底生有孔虫群集の変化を調査した.アバッド部層の基底部からの
Globorotalia miotumida の産出および本部層中部でのこの種の消滅は,本部層の基底が7.246Ma より新しく,そして下半部が6.506Ma よりも古いことを示唆する.
Neogloboquadrina acostaensis の巻き方向は,アバッド部層の大部分が6.337Ma より古いことを示唆する.
浮遊性有孔虫の群集変化に基づくと,アバッド部層の堆積の間に以下の表層環境が繰り返し出現した;混合層が浅く温暖,混合層が浅く冷涼,混合層が深く冷涼.この環境変化は,Sierro et al.(2003)により提唱された表層水の周期的変化を表すかも知れない.表層水の塩分は,アバッド部層堆積の間に増加した.底生有孔虫に基づいて,底層環境も復元した.長期的には,底層では,恐らくそれぞれソルバス海盆の隆起および底層水の停滞により引き起こされた古水深の減少と深層水の貧酸素化が起こっていた.
抄録全体を表示