地球科学
Online ISSN : 2189-7212
Print ISSN : 0366-6611
70 巻, 4 号
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原著論文
  • 石賀 裕明, Ibrahima M’Bemba DIALLO
    2016 年 70 巻 4 号 p. 119-128
    発行日: 2016/10/25
    公開日: 2018/01/23
    ジャーナル オープンアクセス

    沖縄におけるマングローブは人間活動,特に自然の土地の改変や赤土流出により抑圧を受けている.いくつかのマングローブを記載し,多元素組成分析からその土壌の組成を検討した.一般のマングローブの土壌試料は有機物に関連して,Zn, Cu および Fe などの重金属と TS (全イオウ)とP2O5 に富んでいる.生物群の卓越するマングローブの土壌では,赤土の流入の影響を受けた土壌に比べ暗色である.一方で,森林破壊を受けているマングローブ土壌はCaO に富んでおり,これは海洋からの炭酸塩鉱物による.沖縄におけるマングローブの森林破壊やその土壌の劣化は,戦後の急速な土地利用や農業活動に関連していた.今回の検討は限られた範囲のものであるが,一般のマングローブ土壌と赤土の流入を受けた土壌では,地球化学的には対照的である.この様なマングローブの観察と地球化学的データは赤土の組成を理解し,マングローブの保全を計画する上で有用であると期待される.

  • -前駆物質の形成過程
    淺野 有希, 森清 寿郎, 日下部 智也
    2016 年 70 巻 4 号 p. 129-142
    発行日: 2016/10/26
    公開日: 2018/01/23
    ジャーナル オープンアクセス

    石狩炭田地域の淡水成層には菱鉄鉱質岩が薄層やノジュールとして多産する.これらの堆積性菱鉄鉱質岩は,水酸化鉄を主体とする菱鉄鉱質岩前駆物質が,堆積後の続成作用によって変化したものである.本論文では,菱鉄鉱質岩の全岩化学組成をもとにして,菱鉄鉱質岩前駆物質の成因を論じた.

    菱鉄鉱質岩の化学組成は,Mn とP 以外の,分析したほとんどの元素において,Fe2O3 と負の相関があり,一方,Fe,Mn,P 以外のほとんどの元素において,SiO2 と正の相関があった.このことは,菱鉄鉱質岩の化学組成が,第一次近似的には,泥砂質砕屑物とFe,Mn,P からなり珪酸塩を欠く物質との二成分混合であることを表す.後者は,河川水中に溶存していたFe 2+ ,Mn 2+ ,PO 4 3- が,河川水が大気と広く接触することにより酸化され,水酸化物となって河底や湖底に沈殿したものである.石狩炭田地域の菱鉄鉱質岩の鉄は,ラテライト起源ではなく,河川水中に溶存していたFe 2+ イオンに由来する.

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