地球科学
Online ISSN : 2189-7212
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51 巻, 1 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 千葉・大金沢活断層調査グループ
    1997 年51 巻1 号 p. 1-4
    発行日: 1997年
    公開日: 2017/07/11
    ジャーナル フリー
  • 鈴木 尉元
    原稿種別: 本文
    1997 年51 巻1 号 p. 5-7
    発行日: 1997/01/25
    公開日: 2017/07/11
    ジャーナル フリー
    地震活動との関係での測地学的地殻変動研究の必要性.一等水準点の改測によって,現在山地は隆起し,平野は沈降する運動が進行していることが確かめられている.このような山地の隆起運動にともなって,その周辺にせん断歪が大きくなり,被害地震の大部分はそこに発生する傾向があることが明らかにされている. このように,測地学的地殻変動は地震活動と密接な関係にあることから,地域地質に精通した地質家が,地震活動との関係で測地学的資料を研究し,地震の予知,災害の防止に貢献することを期待したい. 現在は過去の鍵であるが,測地学的地殻変動は動的地球像への鍵をも与えてくれる.
  • 三田村 宗樹, 吉川 周作
    原稿種別: 本文
    1997 年51 巻1 号 p. 8-14
    発行日: 1997/01/25
    公開日: 2017/07/11
    ジャーナル フリー
    大阪平野および大阪湾の地下には厚い第四紀層が堆積していて,構造性の大阪堆積盆地として位置づけられている.盆地内の完新統・上部更新統は建設基礎調査をはじめとする資料が豊富で,また地質学的検討が多くなされている.連続して追跡できる完新統海成粘土層であるMa13層及び上部更新統海成粘土層であるMa12層のそれぞれの基底面高度分布をふまえ,その間に挟まれる上部更新統の層厚分布から,堆積速度の見積もりを行った.その結果,上部更新統分布域の大阪堆積盆地は,異なる傾動様式を持つ基盤ブロック(大阪湾地域・西大阪地域・東大阪地域)に区分でき,その沈降速度は大阪湾地域で最も大きく1.2m/103yである.この値ほ,濃尾傾動地塊の最大沈降速度と同様の値となっている.1995年兵庫県南部地震は,まさに,この大阪湾地域の沈降ブロックと六甲山の隆起ブロックとの境で発生した地震として位置づけられる.
  • 遠藤 秀典, 杉山 雄一, 渡辺 史郎, 牧野 雅彦, 長谷川 功
    原稿種別: 本文
    1997 年51 巻1 号 p. 15-28
    発行日: 1997/01/25
    公開日: 2017/07/11
    ジャーナル フリー
    関東平野中央部に伏在する活断層の分布とその活動について,浅層反射法弾性波探査を行い検討した.荒川低地には地層の傾斜が変化する境界が存在し,この南西側では北東側に傾き,北東側で緩傾斜である.綾瀬川断層には地溝状の構造が認められ,横擦れの変位を伴っている可能性がある.この綾瀬川断層の約1.5km余り北東にも地層の傾斜が変化する境界が存在し,その北東側で傾斜が大きい.これら綾瀬川断層とその北東側の構造の南東延長方向の中川低地にも断層活動に伴うと推定できる地層の変形が認められる.また,中川低地の北東縁付近にも地溝状の構造が分布し,西落ちの地層の変形が認められる.これらの地質構造の分布は,上部更新統の常総粘土の高度分布などから推定される関東造盆地運動の最近の年代における変動の分布傾向に一致する.
  • 三谷 豊, 下総台地研究グループ
    原稿種別: 本文
    1997 年51 巻1 号 p. 29-39
    発行日: 1997/01/25
    公開日: 2017/07/11
    ジャーナル フリー
    下総台地北部において,台地面の詳細な高度分布と台地を構成する地層群の解析を行なった.台地面の高度分布は,約5万年前に極大期を迎えた地殻変動を反映したもので,この変動はブロック状変形を伴う全般的隆起で特徴づけられる.次に,本地域に分布する中・後期更新統下総層群の地質構造を整理し,上記,約5万年前の変動との対応関係について検討した.ブロックの境界の多くは,すでに更新世中期に発生しており,各ブロックの相対運動はしばしば逆転する.また,比較的大きなブロックの境界では,多古地溝帯,坂川-手賀沼構造帯など,地溝状沈降域が形成されている.
  • 堀口 萬吉
    原稿種別: 本文
    1997 年51 巻1 号 p. 40-50
    発行日: 1997/01/25
    公開日: 2017/07/11
    ジャーナル フリー
    関東平野を横断する利根川に沿って,低地が広く発達している.この発達は関東造盆地運動によると云われている. 最近,この地域の考古遺跡発掘調査あるいは低地における大規模な土木工事などにより.表層とくに浅い地層の観察・検討が行われるようになってきた.その結果,この地域の新しい歴史時代の地殻変動あるいは地質環境変遷の具体的な事象が明らかになりつつある. 利根川中流低地下流側の加須低地では,古い台地地形が地下に埋没しており,「埋没台地」と呼ばれ,特異な低地地形を作っている.この台地の埋没は,古墳時代以降約3mに及んでおり,加須低地における新しい時代の沈降運動は,大きなものであることを示している. また,上流側の妻沼低地では,9世紀(弘仁9年,818)に生じた「古代地震」の液状化による「地下の割れ目系」およびそれを充填する「噴砂・脈状砂」が各所で発見されている.これらの結果をまとめると,古代地震の液状化現象は,深谷市付近の規模が大きく周辺の地域にその規模を小さくしている状況がよく示される.さらに,赤城山南麓において,広域的な山地の崩壊と土石流による遺跡の埋積が報じられている.これらの調査から,利根川中流地域における「古代地震」は,大規模な地変を引き起こしたことがうかがえる.
  • 中野 聰志
    原稿種別: 本文
    1997 年51 巻1 号 p. 51-59
    発行日: 1997/01/25
    公開日: 2017/07/11
    ジャーナル フリー
    滋賀児大津市南郷産ペグマタイト・マイクロパーサイト(Or77Ab22An1)は,オルソクレース(Or)とアルバイト(Ab)からなるパッチないしは脈状タイプである。EPMAマッピングの結果,AbパッチでのCa分布は,部分ごとに異なることが判明した,ある部分では,AbパッチにCaがある程度濃集しているが,別の部分ではAbパッチ中でCaが枯渇している。いずれの場合も,AbパッチでのCa分布は極めて不均質である。ホストOr相と同じ程度に,Caが枯渇しているAbパッチも存在する。Orホストにも,組成変化が存在する。今回得られたAbパッチのCa分布パターンは,その成因として冷却過程における離溶よりはむしろAbパッチからのCaの移動を示唆している。
  • 生駒山地領家帯研究グループ
    原稿種別: 本文
    1997 年51 巻1 号 p. 60-71
    発行日: 1997/01/25
    公開日: 2017/07/11
    ジャーナル フリー
    奈良県西部,生駒〜信貴山地の領家帯は主に花こう岩類と中性〜苦鉄質岩類(石英閃緑岩を含む)からなる.福貴畑石英閃緑岩は花こう岩類によって貫かれる.この岩石は中粒の弱片状石英閃緑岩で,ベースン構造をなす.生駒山斑れい岩体(192Ma)と記載岩石学的性質や産状,化学組成などが酷似していることから,福貴畑石英閃緑岩は白亜紀の花こう岩類より古いものに属する. 花こう岩類は4時期に区分できる.第1期花こう岩は信貴山花こう閃緑岩と高安山花こう岩からなり,第2および3期花こう岩に貫かれる.これら花こう岩類は片麻状構造をもち,本地城南部に広く分布する.第2期花こう岩は鳴川花こう岩で,第4期花こう岩に貫かれる.この花こう岩は弱片状,中粒の花こう岩である.第3期花こう岩は堅上花こう岩と堅下花こう閃緑岩で,第1期花こう岩の信貴山花こう閃緑岩の構造を非調和に切って貫入している.これら花こう岩類は塊状で,小規模なストックとして産する.第4期花こう岩は南河内花こう岩と田地花こう岩からなっている.これら花こう岩類はすべての時期の花こう岩類を明瞭に切って貫入する.これら花こう岩類は細粒で,白雲母やぎくろ石を含む.田地花こう岩は岩脈状に産する. 第1期の信貴山花こう閃緑岩は金剛山地の千早川花こう閃緑岩や淡路島の都志川花こう岩(84.0Ma)など領家帯の古期花こう岩に,第2期の鳴川花こう岩は大和高原の柳生花こう岩や信楽花こう岩(70.8Ma)など最も大規模に活動した新期花こう岩に,第3期の堅下花こう閃緑岩は淡路島の野島花こう閃緑岩(80.9Ma)などのストック状花こう岩に,第4期の南河内花こう岩は淡路島の先山花こう岩(69.5Ma)や奈良-三重県境の阿保花こう岩などの領家帯火成活動末期の細粒花こう岩に対比される.
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