地球科学
Online ISSN : 2189-7212
Print ISSN : 0366-6611
56 巻, 2 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 平澤 正規
    原稿種別: 本文
    2002 年56 巻2 号 p. 63-64
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2017/07/14
    ジャーナル フリー
  • 松本盆地団体研究グループ
    原稿種別: 本文
    2002 年56 巻2 号 p. 65-85
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2017/07/14
    ジャーナル フリー
    御岳火山は乗鞍火山列の南部に位置する成層火山であり,その活動期から古期御岳火山と新期御岳火山に2分され,それぞれの活動期は中期更新世と後期更新世にあたる.中部更新統・樽沢累層は古期御岳火山の堆積物に相当し,下部層と上部層に区分できる.下部層は火山砕屑物を主体とし,多くの降下テフラ,薄い溶岩と火砕流堆積物が挟在する.上部層は溶岩を主体とし,ほとんど降下テフラは挟在しない.鍵層として木曽御岳山麓に広く追跡できる降下テフラのうち,里宮パミス,寒原パミスI・II・IIIは下部層に,白布沢パミスは上部層に挟在する.白布沢パミスを除くテフラ鍵層は重鉱物斑晶として角閃石を多く含むことで,白布沢パミスは黒雲母を含むことで特徴づけられる.古期御岳火山の活動を火山層序,テフラ層序,溶岩のK-Ar年代値に基づいて検討した結果,その活動をテフラステージ(0.78-0.64Ma)と溶岩ステージ(0.64-0.39Ma)に区分した.おおよそテフラステージの堆積物は樽沢累層下部層に,溶岩ステージの堆積物は上部層に相当する.テフラステージには主に降下テフラや火砕流を噴出する爆発的な活動が起き,それにともない土石流が発生し,主に山麓の東側を形成した.溶岩ステージには主に溶岩を噴出する活動が起き広く山麓を覆い,古期御岳火山を形成した.
  • 田崎 和江, 長谷川 香織, 松本 和也
    原稿種別: 本文
    2002 年56 巻2 号 p. 87-104
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2017/07/14
    ジャーナル フリー
    かつての鉱山活動は重金属を外界に排出し,今日でも水質や土壌汚染の原因となっている.岐阜県神岡町にある大規模なZn-Pb鉱山の一つである神岡鉱山は,神通川の重金属汚染源となってきた.Cd,Pb,ZnそしてFeなどの重金属が高原川-神通川水系に未処理のまま廃棄され,下流域の住民の健康に影響を与えた.重金属の中でも特にCdは,イタイイタイ病の病原物質と見なされた.Cd汚染問題は未だに解決されていない.消石灰を投入し,中和凝集処理された廃滓の沈殿池が神岡鉱山にいくつか存在する.廃滓や廃棄場から排出された汚染水は,神通川の上流の高原川に流れ込んでいる.本研究では,重金属を含む堆積物の特性を明らかにするため,高原川-神通川水系にある五つのダムの堆積物を採取した.ダム堆積物の鉱物的・化学的組成を明らかにするため,それぞれの試料についてXRD,ED-XRFによる分析を行った.その結果,神岡鉱山の上流域に位置する浅井田ダムの堆積物はCd,粘土鉱物そして有機物が少なく,神岡鉱山の下流域に位置する新猪谷ダム,神通川第一,第二,第三ダムにおいては,汚泥,スメクタイトそしてZn,Cdのような重金属が多く含まれていることが明らかになった.また,本研究では,水中の重金属の浄化能力を見積もるための実験を行った.その結果,バクテリアを使ったバイオレメディエーションは重金属の固定に効果的であることを示した.室内実験系においてバイオフロック中の糸状菌は,一週間で細胞壁の表面にPb,Zn,Cdを選択的に濃集した.バイオレメディエーションの能力を持つバクテリアは,鉱山地域における下流のダム堆積物中でも重金属を固定する重要な役割を演じている.
  • 福岡 孝, 松井 整司
    原稿種別: 本文
    2002 年56 巻2 号 p. 105-122
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2017/07/14
    ジャーナル フリー
    三瓶山は西南日本,島根県中央部に位置する第四紀後期に噴火した火山である.三瓶火山の層序や活動期区分については研究者によっていくつかの相違点がある.筆者らは三瓶火山のAT降灰以降の火砕堆積物の層序と活動期区分について再検討した.層序区分の補助的手段として記載岩石学的特徴を示す層準の岩石記載とXRF,INAAなどによる全岩化学組成を調べた.その結果,AT降灰以降の三瓶火山の噴出物を,下位から,日影山溶岩,果瀬谷火砕流堆積物,小田サージ堆積物,小田火砕流堆積物,浮布降下軽石堆積物,緑ヶ丘火砕流堆積物,浮布降下火山灰堆積物,切割降下火山灰堆積物,志学降下火山灰堆積物,志学火砕流堆積物,角井降下火山灰堆積物,志津見降下火山灰堆積物,立石岩屑なだれ堆積物,三瓶円頂丘溶岩,太平山火砕堆積物,伊比谷岩屑なだれ堆積物,山頂火山灰堆積物に層序区分した.また,これらの火山噴出物に挟在する6枚の古土壌を識別した.それらは下位から池田淡色古土壌,第4黒色土,第3黒色土,第2黒色土,第1黒色土,そして山頂黒色土である.池田淡色古土壌にはAT火山ガラスが.第3黒色土にはK-Ah火山ガラスがそれぞれ含まれている.本論では,これらの古土壌は火山活動の休止期を示すと考え,三瓶火山の活動期を再定義した.これにより,AT降灰以降の三瓶火山の活動期を第IV期から第VIII期に区分した.
  • 鴨井 幸彦, 安井 賢, 小林 巖雄
    原稿種別: 本文
    2002 年56 巻2 号 p. 123-138
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2017/07/14
    ジャーナル フリー
    越後平野中央部において,沖積層の基盤まで達する10孔のボーリングコアを詳しく観察し,岩相および年代学的に沖積層を9層に区分するとともに多数の^<14>C年代値を測定し,沖積層中に時間面を設定した.その結果,つぎにあげるような平野の形成過程に関するいくつかの新知見が得られた.1)平野の形成過程は,次の4つの堆積ステージに分けられる.ステージI:縄文海進初期(晩氷期:約15,000〜10,000年前)ステージII:縄文海進の進行と溺れ谷の拡大(完新世初期:約10,000〜8,000年前)ステージIII:バリアーシステムの形成(縄文海進期〜縄文海進高頂期前後:約8,000〜5,000年前)ステージIV:浜堤平野の発達と潟湖の消滅(縄文海進高頂期以降:約5,000年前以降〜現在)2)越後平野において,沖積層の堆積は晩氷期に始まった.3)沖積層中に不整合は確認されなく,最上部更新統〜完新統は連続している.4)10,000yrs BPを完新統基底とすれば,その位置は^<14>C年代値から,臨海部では標高-100m付近,内陸部では標高-70m付近に推定される.5)越後平野中央部において,NE-SW方向に伸びる地下の砂堆を特定した.この砂堆は,白根地域に広い潟湖をもたらした新砂丘Iに連続する可能性がある.
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