Drug Delivery System
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32 巻, 5 号
製剤設計における動物種差の問題
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
[特集] “製剤設計における動物種差の問題”  編集:菊池 寛
  • 菊池 寛
    2017 年32 巻5 号 p. 367
    発行日: 2017/11/25
    公開日: 2018/02/25
    ジャーナル フリー
  • 原島 秀吉
    2017 年32 巻5 号 p. 368
    発行日: 2017/11/25
    公開日: 2018/02/25
    ジャーナル フリー
  • 近藤 啓
    2017 年32 巻5 号 p. 372-380
    発行日: 2017/11/25
    公開日: 2018/02/25
    ジャーナル フリー
    本稿では、経口コントロールドリリース製剤の設計において筆者らが経験した消化管下部における薬物吸収性に関してヒトと実験動物との動物種差について2つの事例を紹介する。いずれもヒトの結腸からの吸収性が実験動物(イヌ、サル)よりも低いとする知見である。これらの結果をもって結腸からの吸収性についてヒトと実験動物との関連性を結論づけることは困難ではあるが、今後の経口コントロールドリリース製剤の設計において、実験動物でのバイオアベイラビリティに基づいて、ヒトのバイオアベイラビリティを予測する際の考察の一助になれば幸いである。
  • 藤井 義峰
    2017 年32 巻5 号 p. 381-388
    発行日: 2017/11/25
    公開日: 2018/02/25
    ジャーナル フリー
    薬物によっては、経口吸収性に種差が見られることがある。これは消化管内pH、胃排泄速度、小腸滞留時間、胆汁酸濃度、小腸初回通過効果などの消化管生理の種差が関与していると考えられる。ヒトの経口吸収性を正しく予測するためには、種差を引き起こす原因を理解した上で動物を用いた経口吸収性評価を行う必要がある。筆者らは、低膜透過性の化合物であるDX-9065について、in vitroin vivo評価を行うことにより低経口吸収性となる原因を精査し、経口吸収改善製剤の検討を行った。本稿では、これら研究の中で明らかとなった消化管生理や経口吸収性の種差について紹介する。
  • 鋳物 将明, 杉田 勝二
    2017 年32 巻5 号 p. 389-395
    発行日: 2017/11/25
    公開日: 2018/02/25
    ジャーナル フリー
    医薬品開発において製剤化による難水溶性化合物の吸収性向上は重要な課題であるが、製剤の吸収性向上効果における動物種差の報告は少ない。本稿ではCompound Aの油性製剤化において認められた吸収性向上効果の動物種差について紹介する。Compound Aは難水溶性であり低い経口吸収性を示したが、油性製剤化により吸収性が向上した。しかしながら、製剤化による吸収性の向上効果には動物種差を認めた。油性製剤が動物種差を示した原因を考察した結果、動物種によって消化管内での代謝能が異なるため油性製剤化による吸収性の向上効果が異なった可能性が考えられた。
  • 清水 太郎, 異島 優, 石田 竜弘
    2017 年32 巻5 号 p. 396-401
    発行日: 2017/11/25
    公開日: 2018/02/25
    ジャーナル フリー
    ポリエチレングリコール(PEG)修飾リポソームなどのPEG修飾体に対するaccelerated blood clearance (ABC)現象は、これまでbio-inertと考えられてきたPEGに対する免疫反応であり、PEGに対する抗体の誘導と、この誘導された抗体がその後に投与されるPEG修飾体に結合することに端を発する血中からの速やかな排除と定義することができる。PEG修飾は、いまだ医薬品開発におけるゴールデンスタンダードであり、既存医薬品のライフサイクルマネージメントのみならず、PEG修飾によって化合物の性質を変え新薬として開発しようとする動きも出てきている。ABC現象はPEGに対する免疫反応であることから、投与する動物種によって誘導されるABC現象の程度は異なる。また、ABC現象は補体系の活性化を伴うため、アナフィラキシー様の有害事象を惹起する可能性も高いが、表現型として現れる有害事象は動物種によって大きく異なる。さらに、ヒトでの第1相試験ではdose escalation試験が行われるが、ABC現象は低投与量の場合に生じやすく、試験の進捗に悪影響を与える可能性が高い。ABC現象における動物種差の影響はこれまでほとんど報告されておらず情報が少ないのが現状である。
  • 兵頭 健治, 浅野 誠, 山本 栄一, 菊池 寛
    2017 年32 巻5 号 p. 402-410
    発行日: 2017/11/25
    公開日: 2018/02/25
    ジャーナル フリー
    がん化学療法においては、がん組織ではなく、正常組織へ分布した薬物により惹起される副作用が抗がん剤の使用上の大きな問題となってくる。この問題を解決すべく、抗がん剤をDDS製剤化することで非選択的な生体内分布の抑制が期待される。特にナノ粒子化によるDDS製剤は正常組織に比して、がん組織への集積が向上するというEnhanced Permeability and Retention(EPR)効果が起こるといわれている。このEPR効果により副作用の軽減と薬効の増強が期待されている。医薬品の製剤設計においては、ヒトで最良の薬理効果を発揮できるように設計すべきであるが、臨床のがん治療における薬効と担がんマウスモデルでの薬効の間には乖離があることがしばしば問題となる。そのため、担がんマウスモデルの結果からのみではヒトで最適な処方を見出すことが難しい。実験動物から得られる薬理効果は、臨床における実態を反映できるのだろうか?本稿ではDDS製剤、特にリポソーム製剤の処方設計における留意点について紹介する。
  • 藤堂 浩明
    2017 年32 巻5 号 p. 411-417
    発行日: 2017/11/25
    公開日: 2018/02/25
    ジャーナル フリー
    摘出ヒト皮膚を用いたin vitro皮膚透過試験は、局所適用薬物の有効性や安全性を評価するために重要である。しかしながら、ヒト皮膚を用いた試験は倫理的な問題だけでなく、使用する摘出皮膚の部位差、年齢などにより薬物透過性に大きなバラツキが認められる。そのため、ブタ、ラット、マウスなどの近交系動物を用いたin vivoおよびin vitro試験が広く実施されている。動物皮膚を介した物質の皮膚透過特性の理解は、ヒト皮膚を介したin vivo吸収性やin vitro透過性を予測するうえで非常に重要となる。本稿では、薬物の皮膚透過性に及ぼす動物皮膚の特性(皮膚の厚み、脂質含有量、毛嚢密度および酵素活性など)および薬物のヒト皮膚透過性との相関性について述べる。また、ヒトや動物皮膚代替膜として注目されている3次元培養ヒト皮膚モデルの利用の可能性についても述べる。
  • 小柳 悟, 大戸 茂弘
    2017 年32 巻5 号 p. 418-423
    発行日: 2017/11/25
    公開日: 2018/02/25
    ジャーナル フリー
    ヒトを含む哺乳類動物のさまざまな生体機能には24時間を1周期とする変動(概日リズム)が認められる。このような概日リズムの本体は、時計遺伝子群によって構成される転写・翻訳のフィードバックループ機構であり、個々の細胞レベルで各臓器や組織の機能に応じたリズムを発振している。マウスやラットなどを対象にした最近の研究成果から、時計遺伝子はチトクロームP450やトランスポーターの発現にも影響を及ぼし、薬物の吸収や代謝に時刻依存的な変動を引き起こしていることが明らかになってきた。しかしながら、マウスなど夜行性の動物から得られたデータを基に、昼行性であるヒトの薬物動態の概日リズムを推測することは困難であり、この問題を解決するには両種間における制御メカニズムの相違点の解析とその体系化が重要になる。本稿では薬物代謝酵素やトランスポーターの発現における概日変動メカニズムの種差について概説し、夜行性動物と昼行性動物における制御機構の違いについて述べる。
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