Drug Delivery System
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26 巻, 4 号
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特集 “分子イメージング薬剤の標的選択的動態制御” 編集 : 藤林靖久
  • 上原 知也, 花岡 宏史, 荒野 泰
    2011 年 26 巻 4 号 p. 366-372
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/10/31
    ジャーナル フリー
    ペプチドや蛋白質を標的分子認識素子に用いたアイソトープ標識プローブによる標的分子の画像化やアイソトープ治療には, 標的への高い集積と非特異的集積の低減の両立が必要である. 非特異的集積は生体の生理的な代謝に由来するため, ペプチドや蛋白質に標識プローブを安定に結合するだけでは解消できない. そのため, 非特異的な組織へ集積した標識プローブから放射性代謝物を速やかに尿中へ排泄させる “代謝性スペーサ” など化学修飾が重要となる.
    本稿では, 化学修飾による標識蛋白質・ペプチド薬剤の動態制御について概説する.
  • 川井 恵一
    2011 年 26 巻 4 号 p. 373-385
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/10/31
    ジャーナル フリー
    核医学画像診断は, 生体機能診断法として, 通常の病態診断や治療効果のフォローアップのみならず, 早期診断や治療効果予測などへの応用も可能である. 加えて, 核医学イメージングは, 放射性医薬品の体内動態を経時的に追跡し得ることから, 薬物の体内動態制御効果を可視的に検証することが可能である. 本稿では, 分子イメージング的戦略に基づく早期診断・治療効果判定の現状と薬物動態モニタリングへの応用について概説する.
    また, 低分子医薬品に対する新しい体内動態制御法を放射性医薬品をモデル薬剤として紹介する.
  • 狩野 光伸
    2011 年 26 巻 4 号 p. 386-391
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/10/31
    ジャーナル フリー
    薬物治療の効果を予見することは難しい. しかしナノDDS技術により, 一つの担体に, 治療機能と診断機能の共搭載, すなわちtheranosticsを実現するプローブも開発できる. 診断にはCT, MRI, 超音波, PET, SPECTといったイメージング手法を用いるが, プローブの診断機能付加はこれら手法での造影効果をもつ物質の搭載が方法論となる. これによって薬剤到達を見届けながらの治療を実現しうる. ただし臨床応用に当たっては, 毒性, 体内動態, 標的指向性の効率などなど, まだ明らかにするべきことが多くある.
  • 浦野 泰照
    2011 年 26 巻 4 号 p. 392-400
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/10/31
    ジャーナル フリー
    筆者らはこれまでに, 新規有機小分子蛍光プローブの効率的な開発を可能とする, 論理的かつ汎用性の高いプローブデザイン法を, 世界に先駆けて確立することに成功し, 特定の活性酸素種を検出可能な蛍光プローブ群や, さまざまなレポーター酵素, 生体関連酵素活性を高感度に検出可能な蛍光プローブなどの開発に成功してきた.
    本稿では, プローブのデザイン法から, 開発したスマートプローブの活用による種々のイメージング例まで幅広く概説する.
  • 古本 祥三, 谷内 一彦
    2011 年 26 巻 4 号 p. 401-409
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/10/31
    ジャーナル フリー
    近年, 新薬創出の効率化を図る観点から, 実証的な薬物動態評価手段としてPET分子イメージングの活用が重視されている. PETでは, 治療標的臓器・組織中の薬物動態や標的分子に対する薬物の作用状態を画像化し, すぐれた感度で薬物動態特性のパラメーターを直接的または間接的に測定評価することができる.
    本稿では, ポジトロン標識薬物による被検薬の組織移行性評価やポジトロン標識リガンドを利用した受容体占有率評価の具体的な応用方法を例示しながら, PET分子イメージングによる臨床薬物動態評価の有用性について概説する.
  • 千田 道雄, 景山 浩充
    2011 年 26 巻 4 号 p. 410-417
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/10/31
    ジャーナル フリー
    マイクロドーズ(MD)試験とは, 医薬品開発早期に, ヒトに対するマイクロドーズ量(薬効発現量の1/100以下かつ100μg以下)の投与により, 主として薬物動態を知ることを目的とした新たな医薬品開発手法で, PETもその一方法として推奨されている.
    今回, 筆者らが実際にPETによるマイクロドーズ試験を実施した経験をもとに, PET試験の被験薬の合成, 品質保証(治験薬GMP)から, 安全性試験の実施方法, 動物試験からの被曝線量の予測, 試験実施計画書策定上の留意点, 試験の実施について示した.
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