Drug Delivery System
Online ISSN : 1881-2732
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ISSN-L : 0913-5006
26 巻, 1 号
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特集 “ナノバイオテクノロジーが先導する診断・治療イノベーション” 編集 : 片岡一則
  • 落谷 孝広
    2011 年 26 巻 1 号 p. 10-14
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/04/25
    ジャーナル フリー
    細胞外に分泌される分泌型microRNAは体液中を循環するが, エクソソームのようなナノサイズの小胞顆粒に包埋されるため, 多くの消化酵素が存在する血漿・血清中でも安定である. 特に, がんをはじめとする疾患の病態や進行度合いなど, ヒトの生理状態によってその発現量や種類が大きく変化するため, 血液を利用した非浸襲的な診断用バイオマーカーとしても期待されている.
    本稿では, 小さな分泌型microRNAの発見がもたらすメガインパクトを中心に, 疾患診断への応用や, その生物学的意義についても言及する.
  • 松元 亮, 宮原 裕二
    2011 年 26 巻 1 号 p. 15-19
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/04/25
    ジャーナル フリー
    エレクトロニクスと医学・生物学の融合領域として著しい発展をみせるバイオセンサに関する最新の研究動向を概説する. さまざまなナノ構造を利用し, 高感度に生体分子を検出する原理を創出する試みや, 生体分子を標識なしに電気的に検出しうることで近年注目されるバイオトランジスタの取り組みについて, 最新のアプローチを紹介し, 将来展望を述べる.
  • 松村 保広
    2011 年 26 巻 1 号 p. 20-28
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/04/25
    ジャーナル フリー
    ナノテクノロジーを駆使したDDS系薬剤がつぎつぎと承認されてきている. ミセル製剤に関しては国立がん研究センターを中心にして世界中で6本の臨床治験が進められており, ミセル製剤の臨床的な有用性が期待されている.
    本稿では, DDSの国内外の臨床開発の状況, ミセル製剤の基礎と臨床, そして最近筆者らが提唱した, がん間質ターゲットDDSの開発について述べる.
  • 西山 伸宏, 片岡 一則
    2011 年 26 巻 1 号 p. 29-36
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/04/25
    ジャーナル フリー
    ターゲティング型DDSは, すでにその一部が実用化されているが, 難治性疾患に対する治療, 遺伝子や核酸医薬による分子治療, 再生医療, 超低侵襲診断・治療などの先端医療の実現のためには生体内で高度な機能を発現するインテリジェント型DDSの開発が必要不可欠である.
    本稿では, インテリジェント型DDSとして, 環境応答性および標的指向性を付与したDDS, イメージングのためのDDSと診断と治療の一体化, さらに物理エネルギーを利用したDDSの現状と将来展望について概説する.
  • 伊関 洋
    2011 年 26 巻 1 号 p. 37-45
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/04/25
    ジャーナル フリー
    ナノデバイスを利用した精密ナビゲーション手術は, 物理エネルギーを利用したDDS研究とイメージング技術と手術支援ロボット技術の融合による革新的なナノ低侵襲治療システムである. ナノデバイスによって病変部位における光増感剤の濃度を特異的に高めることができ, 現行のPDTやHIFUよりも短時間(数分の一の時間)で高精度(サブミクロン)の精密誘導治療が実現される. さらに最終的には, 患者への負担の大きい外科的切除を必要としない世界初のケミカルサージェリーが実現される.
  • 大庭 伸介, 鄭 雄一
    2011 年 26 巻 1 号 p. 46-51
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/04/25
    ジャーナル フリー
    再生医療とは, 生物・医学的知見と工学的技術を組み合わせて, 新たに組織・臓器を復元させようとする医療であり, 従来の分析的手法とは異なる統合的手法に基づくものである.
    再生医療においては, 組織再生誘導シグナルとDDSに関する研究は表裏一体である. 担体材料にDDS機能を持たせ, 組織再生誘導シグナルを生体内で安全かつ効率的に活性化させることは, 新しい再生システムの開発には必須であると考えられる.
    本稿では, この分野における最近の進歩を整理し, 併せて将来の展望についても言及する.
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