Drug Delivery System
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30 巻, 4 号
脳血管疾患・虚血性心疾患をターゲットにするDDSの新展開
選択された号の論文の18件中1~18を表示しています
特集 “脳血管疾患・虚血性心疾患をターゲットにするDDSの新展開” 編集:南野哲男
  • 南野 哲男
    2015 年 30 巻 4 号 p. 273
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
  • 北園 孝成
    2015 年 30 巻 4 号 p. 274
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
  • 松﨑 高志, 荒木 亮, 南野 哲男
    2015 年 30 巻 4 号 p. 276-285
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    急性心筋梗塞は、冠動脈に生じた動脈硬化病変でのプラーク破綻を起因とし、管腔の急速な閉塞にともない心機能が破綻する急性虚血性心疾患である。国内では、早期再灌流療法の発達により急性期死亡率は低下する一方、再疎通後、心機能が低下し、慢性心不全へ移行することが大きな問題となっている。そのため、梗塞後の心不全発症を抑制する治療法の開発は、重要なアンメットメディカルニーズとなっている。本稿では、近年開発が進められている、ナノDDS製剤を用いた急性心筋梗塞治療に焦点をあて、筆者らのグループの知見を交えつつ、その臨床応用への可能性について考察する。
  • 南都 伸介
    2015 年 30 巻 4 号 p. 286-298
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    虚血性心疾患に対するカテーテル治療(Percutaneous coronary intervention: PCI)として1980年代当初に脚光を浴びたballoon angioplastyは、低侵襲であるが急性冠動脈閉塞、再狭窄といった課題があった。1986年に冠動脈ステントが登場することでPCIの成績は飛躍的に向上し、バイパス手術とほぼ肩を並べるまでになった。一方で、血管平滑筋細胞の増殖を主因とするステント再狭窄からは逃れることができず、長期成績は依然バイパス術に敵わなかった。世界初の薬剤溶出型ステント(Drug Eluting Stent:DES)であるサイファーステントの臨床応用が1999年に開始され、その後すばらしい長期臨床成績を示した。DESは金属ステント(Platform)、新生内膜増殖を抑制する薬剤(Drug)、薬剤の溶出を制御するコーティング(Polymer)の3つの構成要素からなる。現在のDESはそれぞれの要素を発展させ、さらにこれらの組み合わせを変えることで進歩を遂げてきた。DESの進化の歴史はPCIの発展の歴史といっても過言ではない。
  • 的場 哲哉, 古賀 純一郎, 中野 覚, 江頭 健輔
    2015 年 30 巻 4 号 p. 299-308
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    冠動脈疾患、特に急性心筋梗塞は急性期死亡率の高さと慢性期の心不全の原因になることから、その予防および治療の改善はわが国の医学の重要な課題である。急性心筋梗塞で問題となる病態は、冠動脈における動脈硬化性プラークの不安定化と破綻であり、一方、発症した急性心筋梗塞における問題は、早期再灌流療法による心筋梗塞縮小効果を妨げる心筋虚血再灌流傷害である。これらの病態に対する薬物療法はun-met medical needsであり、筆者らはナノ粒子を応用したドラッグデリバリーシステムの応用により、冠動脈疾患を含む心血管病におけるナノ医療の実現を目指している。本稿ではその背景およびモデル動物における前臨床試験の成果を紹介する。
  • 福田 達也, 浅井 知浩, 奥 直人
    2015 年 30 巻 4 号 p. 309-316
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    脳血管障害は本邦において要介護にいたる原因の第1位であり、その約6割を占める脳梗塞は世界的にも克服が望まれる疾患の1つであるが、血栓溶解剤である組織プラスミノーゲン活性化因子を除き、いまだ世界基準の治療薬は創出されていない。筆者らは、脳梗塞後に生じる血液脳関門の透過性亢進に着目し、脳虚血時あるいは再灌流後の早期からリポソームによる虚血部位への薬剤送達が可能であることを示してきた。さらに、脳保護薬搭載リポソームを開発し、ラット脳梗塞モデルにおいてリポソームDDSが新規脳梗塞治療法として有用であることを明らかとしてきた。本稿では、リポソームDDSを応用した脳梗塞治療について、筆者らが見出した最近の知見を紹介する。
  • 白石 貢一, 横山 昌幸
    2015 年 30 巻 4 号 p. 317-326
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    急性期脳梗塞部位に造影剤や薬物をターゲティングすることにより、新規の画像診断と薬物療法の創成を目指す研究について、現状の診断・治療法の解説と、動物脳梗塞モデルでの造影剤ターゲティングのデータを含めて述べる。脳梗塞は後遺症(麻痺・歩行障害等)によるQOLの低下が大きく、その予後の改善が強く求められている。この疾患に対しての急性期における有効な治療は、現在、組換え組織プラスミノーゲンアクチベーター(rt-PA)の静脈内投与による血栓溶解療法にほぼ限られているが、その副作用の症候性頭蓋内出血が大きな問題である。この副作用はrt-PAが血管から脳組織に漏出することで起きるので、その漏出を高分子のMRI造影剤で画像化することを試みた。ラットの急性期脳梗塞モデルでは、短時間でこの造影剤が梗塞部位に集積することがわかり、出血危険部位を予測する造影剤開発の可能性が示唆された。最後の項目では、急性期疾患での各種サイズの物質の血液と疾患組織との間の移動と病態との関係に着目し、新たな病態学である「物質移動病態生理学」を提唱する。
  • 長崎 幸夫
    2015 年 30 巻 4 号 p. 327-335
    発行日: 2015/09/25
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    近年、活性酸素種(ROS)がさまざまな疾患の原因や重篤化に、大きな影響を与えることがわかってきている。ROSを消去するにはビタミンCやビタミンEなどの天然物や合成抗酸化剤など種々あるものの、多くの臨床結果で「よい」という結果が出たものはない。実は生体内の電子伝達系に代表される反応では、ROSが正常なエネルギーを産生するために必要であり、正常なROSの産生を妨げず、疾病に関与するROSを選択的に消去することが重要なポイントである。非特異的に体内に広がり、正常細胞やミトコンドリア内のレドックス反応を妨害する低分子抗酸化物質は、使用には限界があるのである。我々は、代謝可能な中分子量ポリマーにROS消去能をつくり込み、正常な細胞に入り込むことがなく、疾病に関与するROSを選択的に取り除く、新しいナノメディシンの設計を進めてきた。虚血再灌流障害に対するレドックスナノメディシンの効果を紹介する。
TOPICS
[連載] DDS製品開発の最前線
  • 松永 由紀子
    2015 年 30 巻 4 号 p. 371-376
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    マイクロニードル(MN)は、皮膚中へ安全に薬剤を送達するDDS技術として近年注目され、医薬品分野においてはインフルエンザワクチンやインシュリン含有製剤の臨床研究が急ピッチで進んでいる。MNはステンレスやシリコンから成る生体内非溶解型と、ヒアルロン酸(HA)や糖類を主原料とする自己溶解型に大別され、いずれも微細な針がパッチ上に剣山状に並んだ構造を成す。 筆者らは有効成分が溶出しながら組織へ浸透するという自己溶解型MNの特性に着目し、HAを主成分とするMNの化粧品分野への応用可能性を検討した。目尻へ連用した結果、MNによる角層水分量や皮膚の粘弾性の増加によるしわ改善効果が見出され、本品を2011年3月に目元用化粧品「HA フィルパッチ」として医家向け専売ブランドNAVISION(ナビジョン)より上市した。本稿では自己溶解型MNの有効性について、HAの皮膚細胞へ及ぼす作用やしわ形成メカニズムとあわせて概説する。
[連載] 医学データの統計解析の基本
[連載] DDS研究・開発に有用な試薬
学会印象記
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