Drug Delivery System
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24 巻, 2 号
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特集 “アンチエイジングとDDS” 編集 : 武永美津子
  • アンチエイジングの標的臓器としての小腸機能
    篠田 雄一, 白澤 卓二
    2009 年 24 巻 2 号 p. 96-102
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
    抗加齢医学(アンチエイジング医学)は,加齢という生物学的プロセスに介入を行い,加齢に伴う動脈硬化や,がんのような加齢関連疾患の発症確率を下げ,健康長寿を目指す医学である.アンチエイジング医学は“加齢”に焦点を当てた究極の予防医学といえる.予防医学を考えるときに最も中心的な医学となる可能性を秘めた医学である.その方法として長寿遺伝子であるSir-2を活性化するカロリー制限(CR)治療が重要である.そして,その標的臓器としての小腸の重要性があり,DDSの1stステップと考えられる.今後,CRが脂質代謝や糖代謝に関わるPPARsなどの転写因子を制御する可能性の検討が必要である.
  • 齋藤 昌晃, 飯田 知弘
    2009 年 24 巻 2 号 p. 103-108
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
    加齢黄斑変性(AMD)は欧米での中途失明の主要原因であり,わが国でも近年急増しており,現在,眼科領域での最重要疾患の一つである.AMD患者の急増ははっきりとした原因はわかっていないが,高齢化や食生活の欧米化が推測されている.滲出型AMDの発生には血管内皮増殖因子(VEGF)が深く関与している.また喫煙は,発症のリスクファクターであることが指摘されている.日本人のAMDではポリープ状脈絡膜血管症が多い特徴がある.治療は光線力学的療法,抗VEGF療法が主体である.滲出型AMDの病型で治療効果が異なることから,正確な診断が重要である.抗酸化剤のサプリメントはAMDの予防に有効であることが示されている.ルテイン,ゼアキサンチンを含んだサプリメントは,現在アメリカで臨床試験中である.
  • 小友 進
    2009 年 24 巻 2 号 p. 109-116
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
    加齢に伴う脱毛は,老人性脱毛と男性型脱毛である.老人性脱毛は,老化による毛包の消失によるもので,一定の脱毛パターンをつくらない.一方,男性型脱毛は,男性ホルモンによって起こる第二次性徴として定義され,その発症は主に毛サイクルの成長期が,男性ホルモンによって短縮して起こる毛包の矮小化で,特徴ある脱毛パターンを形成する.外観上も心理的にも関心と重要性が大きいのは後者で,そのためのアンチエイジングとしては自毛移植と薬物による方法があり,薬物によるものの中心となるのはミノキシジルとフィナステリドである.ミノキシジルによる発毛は,ATP感受性K+チャネルの開放作用の関与が示唆されている.一方,フィナステリドは,II型5αリダクターゼの阻害作用による抗男性ホルモン剤である.いずれも臨床試験で有効性が認められている.
    本稿では,ミノキシジルについてその薬理効果を詳しく述べた.
  • 生水 真紀夫
    2009 年 24 巻 2 号 p. 117-126
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
    閉経によりエストロゲンが欠乏すると,いわゆる更年期障害のほか,動脈硬化,脂質異常症,骨粗鬆症などの退行性変化が進行してくる.閉経後早期にエストロゲン補充療法を開始することにより,更年期障害の諸症状を和らげることができ,動脈硬化や骨粗鬆症の進行を遅らせることが期待できる.しかし,エストロゲン補充療法では,乳がんや血栓症のリスクが上昇すること,閉経後10年以上経過して治療を開始した場合には心血管イベントのリスクが逆に高くなることなどに注意する.
  • 榛葉 繁紀
    2009 年 24 巻 2 号 p. 127-132
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
    肥満者(BMI 25以上)の数は年々増加しており,それとともにさまざまな生活習慣病,特にメタボリックシンドローム患者の数も増加している.肥満ならびにメタボリックシンドロームの予防ならびに治療のためにはカロリー制限は必須であるが,このカロリー制限は,また寿命の延長作用を有することが知られている.すなわち,メタボリックシンドロームと老化(エイジング)の間には共通の因子を介した密接な関係が存在すると予想できる.本稿では,メタボリックシンドローム発症ならびに老化をリンクさせる因子について考察してみたい.
  • 藤原 葉子
    2009 年 24 巻 2 号 p. 133-140
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
    日本人の寿命が延びた一因に,戦後の食生活の変化があげられる.食物の選択肢が増え,動物性蛋白質の摂取が増加したことは寿命延長に大きく貢献しているが,動物性食品の摂取は動物性脂肪の摂取増加を意味する.日本人を対象とする疫学スタディからn-3系のEPAやDHAの摂取が,冠状動脈疾患や大うつ病などに有効であるという科学的な根拠も集まってきた.また近年,カロリー制限による寿命延長作用は,分子メカニズムが明らかにされ,注目されている.日本人の食と健康を考えるうえで重要な脂質摂取の話題について概説する.
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