C型肝炎ウイルス感巣者は現在, 全世界で2億7,000万人と推定され, さらに年間400万人が新たに感染していると考えられている. C型肝炎ウイルス感染は慢性肝疾患の主な原因であり, 米国およびヨーロッパ諸国における肝臓移植の最も一般的な理由となっている. ポリエチレングリコール修飾(以降ペグ化)インターフェロン(ペグインターフモロン アルファー2b: EG-INTRON
®, あるいはペグインターフェロン アルファー2a: PEGASYS
®)の単独あるいはリバビリンとの併用療法は, C型肝炎ウイルス感染患者の標準療法となっている. これらのペグ化インターフェロンは, 核となるインターフェロン分子のさまざまな部位にポリエチレングリコール(PEG)が一分子結合したモノペグ化蛋白のヘテロな混合物, すなわち修飾部位異性体の混合物であるため, 製造および特性解析にはCMC部門の多大な努力が払われている. これら製造時および特性解析上の困難に対して, PEG-INTRON
®の開発を通じて包括的に取り組んだ. 原薬および製剤中のペグ化インターフェロンに関する広範な特性解析および適切な製造管理方法の設定は, CMC部門の開発戦略の土台となり, 薬事承認を得るという目的に適うものであった. 本研究は, PEG-INTRON
®を構成する修飾部位異性体を定量的に評価するための分析戦略について述べたものである. 個々の修飾部位異性体を単離し, それぞれのペグ結合部位およびインビトロ生物活性について解析した. この結果, 異なるペグ化反応により修飾部位異性体の分布が異なる混合物が生成することが明らかとなった. PEG-INTRON
®の主要な構成物は34位のヒスチジンがペグ化されたものであり, これは種々のモノペグ化インターフェロン中, 最も生物活性の高い修飾部位異性体であることが示された. 一方, リジン残基にPEGが結合した修飾部位異性体の抗ウイルス活性はきわめて低いものであった. したがって, PEG-INTRON
®とPEGASYS
®はペグ化反応が異なることにより, それぞれ修飾部位異性体の混合物分布が異なり, また, インビトロ生物活性プロファイルが異なったと説明できる.
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