Drug Delivery System
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26 巻, 5 号
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特集 “疼痛緩和医療におけるDDS” 編集 : 松村保広
  • 杉林 堅次
    2011 年 26 巻 5 号 p. 450-456
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/17
    ジャーナル フリー
    現在, 本邦で用いられている疼痛治癒または緩和を目的に皮膚適用されている “外用剤” と “経皮吸収型製剤” には, 大きくわけてNSAID外用剤, 局所麻酔外用剤, そしてオピオイド鎮痛薬(麻薬性鎮痛薬と非麻薬性鎮痛薬)がある. NSAID外用剤のうち, 第二世代と称すテープ剤やパップ剤は, 適用部位直下へのNSAIDsの選択移行性を可能にしたもので, DDSとしても大変成功したものと評価されている.
    局所麻酔外用剤では, リドカインを含有したテープ剤が静脈留置針穿刺時の疼痛緩和を目的に利用されており, また, 米国ではリドカインパップ剤が帯状疱疹後神経痛患者の疼痛緩和に利用されている. 一方, がん性疼痛のコントロールを目的とした皮膚適用製剤の開発はいま最も注目されているところであり, フェンタニルやブプレノルフィンを含有した経皮吸収型製剤が開発されてきた. これからはイオントフォレシスやマイクロニードルなどの機能を有するコンビネーション経皮吸収型製剤や鎮痛補助剤の経皮吸収型製剤が注目されるであろう.
  • 山口 淳
    2011 年 26 巻 5 号 p. 457-460
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/17
    ジャーナル フリー
    NGF(Nerve growth factor)は, 元来, 感覚神経や交感神経の発達・増殖や機能維持に必須の因子として同定された. 近年, NGFは炎症性・炎症性疼痛などの慢性疼痛に深く関わることが明らかとなってきた. NGFの阻害薬は, 既存の治療薬が効かない多くの患者に対する新規の治療法と期待されている.
    本概説では, NGFが疼痛を惹起するメカニズムやその治療応用についてこれまでの研究報告をまとめる.
  • 服部 政治, 五十嵐 妙, 寳田 潤子, 佐野 博美, 大島 勉, 横田 美幸
    2011 年 26 巻 5 号 p. 461-467
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/17
    ジャーナル フリー
    がん性疼痛管理でオピオイド製剤はその主軸になる. 多くの製薬会社がオピオイドの製剤開発を進めてきた. 経口, 座薬, 経皮吸収, 注射薬などが豊富になったことでがん疼痛患者の治療も随分と楽になった. 本項では, 現在日本で使用されているオピオイド製剤の特徴について概説する.
  • 楠 夏子, 川合 眞一
    2011 年 26 巻 5 号 p. 468-475
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/17
    ジャーナル フリー
    NSAIDsの主たる副作用である消化管障害を抑制するために, 坐剤, 経皮吸収剤, プロドラッグなどのDDSが開発されてきたが, これらは完全に副作用を抑制しうるものではない. NSAIDsの標的であるCOXのうち, COX-2を選択的に阻害するように開発されたCOX-2選択的阻害薬は, 従来のNSAIDsと比較して消化管障害発生頻度は低いが, 一方で他の副作用は減らせない. NSAIDsはその剤形やCOX選択性に関わらず, 依然として副作用発現を無視できないため, 漫然と使用することは避けるべきである.
  • 松本 禎久, 木下 寛也
    2011 年 26 巻 5 号 p. 476-479
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/01/17
    ジャーナル フリー
    鎮痛薬や鎮痛補助薬の中には, 副作用のために使用が制限される薬剤や投与経路が限られてしまう薬剤が少なくない. 最近では, 経皮吸収される鎮痛薬や鼻粘膜および口腔粘膜より吸収される鎮痛薬もある. また, 障害された局所に直接鎮痛薬を投与することも行われている. 理想的な鎮痛薬や鎮痛補助薬は, 鎮痛効果をもたらす作用部位に適切に効果的に作用し, 副作用が最低限に抑えられるものである. また, 投与や吸収の経路が多様であることも望ましい. 鎮痛薬や鎮痛補助薬におけるDDSの発展は患者にとって有益と考えられる.
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