分子内にメタクリロイル基を有し, メチレン鎖長の異なるアミノ酸誘導体, N-メタクリロイル-ω-アミノ酸(NMωA)を合成し, これをプライマーとして象牙質コラーゲンに作用させた場合の歯質接着性を調べ, 分子内のメチレン鎖長の長さ, ならびにN-メタクリロイル-α-アミノ酸(NMαA)プライマー溶液中の水の割合がコンポジットレジンの接着強さにおよぼす影響について検討した.その結果, NMωA分子内のメチレン鎖の長さによって, 象牙質コラーゲンへのコンポジットレジンの接着強さは異なり, メチレン鎖長が1, 3, 4および5 NMωAのアミノ酸誘導体は象牙質にある程度の接着性を示すが, メチレン鎖長が2および7のアミノ酸誘導体, NMωAはほとんど接着性を示さなかった.また, NMαA/水-エタノール溶液中の水の割合によって接着強さは異なり, 水の増加に伴って象牙質面に対するレジンの接着強さは向上し, それとともに, 象牙質とコンポジットレジン接着界面に形成される樹脂含浸層の厚みも増大することがわかった.
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