近年開発されたレジン添加型グラスアイオノマーセメントの機械的性質を, 従来型のグラスアイオノマーセメントと比較した.市販の3種類のレジン添加型グラスアイオノマーセメントと, コントロールとして従来型のグラスアイオノマーセメント1種類を試験した.圧縮試験, 直接引張試験, ダイアメトラル試験, 曲げ試験, 破壊靱性試験, および硬さ試験用の試験片を作製し, 各試験を行う前に, 37℃の水中に, 1時間, 1日, 1週間浸漬した.従来型のグラスアイオノマーセメントはいずれの試験においても非常に脆性的に破断した.一方, レジン添加型グラスアイオノマーセメントは塑性変形してから破断した.レジン添加型グラスアイオノマーセメントの引張強さ, ダイアメトラル強さ, および曲げ強さは従来型のグラスアイオノマーセメントよりも有意に高かった.さらに, レジン添加型グラスアイオノマーセメントの破壊靱性値と臨界破壊エネルギーは従来型グラスアイオノマーセメントと比較して有意に高かった.レジン添加型グラスアイオノマーセメントの硬さは, 光の照射時間を延長すると増大した.これらの結果より, レジン添加型グラスアイオノマーセメントは硬化初期から, 従来型グラスアイオノマーセメントよりも破壊に対する抵抗が大きいことが認められ, 修復用材料として有用であると考えられた.
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