歯科材料・器械
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16 巻, 5 号
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原著
  • 土橋 宏子, 岸田 秀明, 鈴木 敏光, 久光 久
    1997 年16 巻5 号 p. 347-353
    発行日: 1997/09/25
    公開日: 2018/04/27
    ジャーナル フリー
    グラスポリアルケノエートセメントの機械的な性質を向上させることを目的として, 8種類のアエロジル, コンポジットレジンにおいて使用されているフィラーおよび球状の高分子微粉末を, それぞれ量を変えてセメント粉末中に添加した.セメント液と練和して試料を作成後, 圧縮試験, 間接引張試験, 曲げ試験を行った.その結果, 圧縮試験では疎水性の微粉末において, 添加することによりセメントの強度が低下した.間接引張試験では平均粒度が1μm以下の微粉末において, その添加量を調整することにより強度の向上が認められた.また曲げ試験では, 微粉末の形状が多角形でエッジがシャープな微粒子において強度の向上が認められた.
  • 妹島 利行, 柴崎 貞二, 齊藤 仁弘, 西山 實
    1997 年16 巻5 号 p. 354-358
    発行日: 1997/09/25
    公開日: 2018/04/27
    ジャーナル フリー
    石こう模型の消毒によって生ずる表面あれを減少させることを目的として, 消毒液の2%グルタールアルデヒドおよび0.1%次亜塩素酸水溶液に, 硫酸カリウムを添加し, その適切な濃度について検討した.その結果, 以下のことが明らかとなった.グルタールアルデヒドおよび次亜塩素酸水溶液に, 硫酸カリウムを1〜5%添加することにより, 石こう模型の表面粗さ(Ra)は減少した.表面粗さの小さい石こう模型が得られた硫酸カリウムの濃度は, 2あるいは3%であった.
  • 藤島 昭宏, 青山 眞理子, 宮崎 隆, 池田 訓子, 佐々 竜二, 鈴木 正子
    1997 年16 巻5 号 p. 359-367
    発行日: 1997/09/25
    公開日: 2018/04/27
    ジャーナル フリー
    近年開発されたレジン添加型グラスアイオノマーセメントの機械的性質を, 従来型のグラスアイオノマーセメントと比較した.市販の3種類のレジン添加型グラスアイオノマーセメントと, コントロールとして従来型のグラスアイオノマーセメント1種類を試験した.圧縮試験, 直接引張試験, ダイアメトラル試験, 曲げ試験, 破壊靱性試験, および硬さ試験用の試験片を作製し, 各試験を行う前に, 37℃の水中に, 1時間, 1日, 1週間浸漬した.従来型のグラスアイオノマーセメントはいずれの試験においても非常に脆性的に破断した.一方, レジン添加型グラスアイオノマーセメントは塑性変形してから破断した.レジン添加型グラスアイオノマーセメントの引張強さ, ダイアメトラル強さ, および曲げ強さは従来型のグラスアイオノマーセメントよりも有意に高かった.さらに, レジン添加型グラスアイオノマーセメントの破壊靱性値と臨界破壊エネルギーは従来型グラスアイオノマーセメントと比較して有意に高かった.レジン添加型グラスアイオノマーセメントの硬さは, 光の照射時間を延長すると増大した.これらの結果より, レジン添加型グラスアイオノマーセメントは硬化初期から, 従来型グラスアイオノマーセメントよりも破壊に対する抵抗が大きいことが認められ, 修復用材料として有用であると考えられた.
  • 艾 紅軍, 永井 正洋, 宮入 裕夫, 安田 登
    1997 年16 巻5 号 p. 368-373
    発行日: 1997/09/25
    公開日: 2018/04/27
    ジャーナル フリー
    歯科用接着性レジンの破壊靱性に及ぼす接着層の厚さの影響について, 接着性レジンの種類を変えて双片持はり試験により検討した.代表的な接着性レジンとして, スーパーボンドC&Bおよびパナビア21(フィラーを含有)を選択した.接着層の厚さは20, 100, 200μmとした.得られた結果は次の通りである.スーパーボンドC&Bの場合には, き裂進展面はすべての試験片において凝集破壊面として観察され, 接着層の厚いほど凹凸が顕著となった.それらの破壊靱性値は, 接着層が厚くなるに従って, 増大する傾向を示した.次に, パナビア21の場合には, 接着層の厚さが100μmと200μmでは, どちらも平坦な凝集破壊面として観察されたが, 20μmでは界面破壊となった.従って, 破壊靱性値は, 100μmと200μmの間の範囲では, 接着層の厚さに影響されなかったが, 20μmの場合にはいくらか低下することが分かった.
  • 伴 清治, 河合 達志, 有本 憲弘, 原田 敦史, 服部 雅之, 成田 潔治, 尾関 順子, 長谷川 二郎
    1997 年16 巻5 号 p. 374-381
    発行日: 1997/09/25
    公開日: 2018/04/27
    ジャーナル フリー
    電気化学的表面改質したTiおよびHA-G-Ti複合体を, 骨形成因子(BMP)の担体として応用した.基材としてTiおよびHA-G-Ti複合体, 電気化学的表面改質, BMPの付与を組み合わせたもの8種の試料をウサギ大腿骨に移植した.3週間経過後の骨移植部断面のCaの濃度分布を測定し, コンピュータによる面分析により新生骨量を定量した.さらに, 病理組織観察およびフーリエ変換赤外分光分析(FTIR)を行った.BMPを付与した試料は, 埋入した試料周囲だけでなく骨髄内部全体に新生骨の形成が認められた.一方, BMPを付与していない場合, 骨髄内部では試料外周部だけに新生骨が認められた.骨形成量は, BMPを付与した試料が付与していないものに比べ約2倍大きい値を示した.しかし, 基材の種類および電気化学的表面改質が骨形成量に与える影響は認められなかった.光学顕微鏡観察では新生骨は健全であり, 8種の試料内で顕著な差異は認められなかった.新生骨のFTIRスペクトルは皮質骨と同じスペクトルを示し, コラーゲンを含む炭酸含有アパタイトであった.以上のことより, 基材の種類にかかわらず, BMPの付与により硬組織中での新生骨の形成が加速されるものと考えられた.
  • 平 雅之, 岡崎 正之, 高橋 純造, 久保 文信, 生内 良男
    1997 年16 巻5 号 p. 382-388
    発行日: 1997/09/25
    公開日: 2018/04/27
    ジャーナル フリー
    遊星式撹拌装置と2種類の既存の回転羽根式真空練和器を用いて, 練和条件が硬質石こうの硬化時間, 硬化膨張率, 圧縮強さに及ぼす影響を検討した.また, 硬質石こう泥状物の硬化反応をX線回折によって調べ, 破断試料の走査型電子顕微鏡観察を行い, 以下の知見を得た.(1)遊星式撹拌装置で脱泡-撹拌回転数を増加させると, 硬化時間は短縮した.硬化膨張率と圧縮強さはある回転数の時最大となった.遊星式撹拌装置で脱泡-撹拌回転数を小さく抑えた時, 硬化時間, 硬化膨張率, 圧縮強さは回転羽根式真空練和器使用時と同程度となった.(2)二水塩結晶の生成状態は硬化膨張率と圧縮強さに関係していた.(3)遊星式撹拌装置は硬質石こうの練和に有用と考えられた.
  • 加藤 正治
    1997 年16 巻5 号 p. 389-404
    発行日: 1997/09/25
    公開日: 2018/04/27
    ジャーナル フリー
    レジンセメントで接着した歯冠色修復材料の耐衝撃性を評価するため, セラミックスや硬質レジンを各種セメントによりステンレス鋼あるいは牛歯に接着し, 新しく考案したHK衝撃試験機を用いて衝撃試験を行うとともに, 耐衝撃性に影響を及ぼす因子について検討した.レジンセメントを用いると耐衝撃性が向上した.象牙質に対しては, 衝撃破壊エネルギーとせん断接着強さの間に強い正の相関関係が認められた.レジリエンスが高い修復材料ほど優れた耐衝撃性を示し, 衝撃破壊エネルギーは, 被着体の弾性率が高くなるにしたがって増大した.ステンレス鋼およびエナメル質には弾性率の高いコンポジット系レジンセメントが優位であり, 象牙質には弾性率の低いPMMA系レジンセメントが優位であった.サーマルサイクリング後の衝撃破壊エネルギーは, コンポジット系レジンセメントで接着した場合は変化しなかったが, PMMA系レジンセメントでは大きく低下した.
  • 燕 敏, 高橋 英和, 西村 文夫, 土生 夏史, 中村 英雄, 本村 一朗
    1997 年16 巻5 号 p. 405-414
    発行日: 1997/09/25
    公開日: 2018/04/27
    ジャーナル フリー
    歯科鋳造において鋳型の急速加熱法は多くの利点を有しているため, 日本では急速加熱が可能とされる製品が石膏系埋没材のみならずリン酸塩系埋没材でも市販されている.本研究では, 急速加熱型リン酸塩系埋没材の特性値として流動性, 硬化膨張, 加熱膨張, 表面粗さ, 粒度分布などについて従来型リン酸塩系埋没材と比較検討した.その結果, 埋没材の色調, 若干の粒度分布の違い以外には, リン酸塩系埋没材の急速加熱型と従来型とに明らかな差異は認められなかった.
  • 山下 忍
    1997 年16 巻5 号 p. 415-425
    発行日: 1997/09/25
    公開日: 2018/04/27
    ジャーナル フリー
    吸収性の生体活性ガラス(R-BAG)と吸収性のハイドロキシアパタイト(R-HA)を用いて, 骨形成についてin vitroとin vivoで調べた.R-BAGとR-HAは骨芽細胞(OB)と末梢血リンパ球/単球(PBL)に細胞毒性を示さなかった.R-BAGと培養したOBはR-HAと培養したOBより高いアルカリフォスファターゼ(ALPase)活性を示し, R-BAGの顆粒の周囲に特異的にALPaseを保有するOBが認められた.PBLの培養から形成される破骨細胞(OC)はR-BAGと培養することにより抑制されたが, R-HAではPBLの単独培養と同じであった.R-BAGの顆粒をラットの顎骨に埋入したとき, R-BAGの顆粒に亀裂が見られ, この亀裂に沿ってOBと思われる細胞が進入し, 顆粒の内部に骨が認められた.各10名の被験者で抜歯直後のソケット内にR-BAGまたはR-HAの顆粒を埋入し, 骨の形成をエックス線診査で調べた結果, R-BAGは平均4.7ヵ月またR-HAでは平均9.2ヵ月でその部位に新生骨が見られ, 歯科インプラントの植立が可能であった.
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