歯科材料・器械
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16 巻, 6 号
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総説
原著
  • 洞沢 功子, 吉田 貴光, [タカ]橋 重雄
    原稿種別: 本文
    1997 年 16 巻 6 号 p. 443-448
    発行日: 1997/11/25
    公開日: 2018/04/27
    ジャーナル フリー
    ディスク電極表面上での反応をリング電極上で検出できる, 回転リングディスク電極を用いた対流ボルタンメトリ法を, 2元系銀合金の腐食挙動の検討に応用した.まず予備実験として, リングとディスクを純金とした回転リングディスク電極を用いて, 対流ボルタンメトリ法の測定条件の決定と校正を行った.続いて, 2元系銀合金をディスクとし, リングを純金とした回転リングディスク電極を用いて対流ボルタンメトリを, 1%乳酸溶液と1%塩化ナトリウム溶液中で行った.その結果, 2元系銀合金の溶出挙動を明確にすることができた.腐食試験への回転リングディスク電極を用いた対流ボルタンメトリ法の応用は, 腐食挙動に関する詳細な情報を得ることができ有用であった.
  • 平沼 克己
    原稿種別: 本文
    1997 年 16 巻 6 号 p. 449-457
    発行日: 1997/11/25
    公開日: 2018/04/27
    ジャーナル フリー
    湿潤象牙質への接着を解明するため, 10%クエン酸水溶液(10-0)または10%クエン酸・3%塩化第二鉄水溶液(10-3)で脱灰された象牙質に, 4-METAのアセトン溶液プライマーを塗布後, MMA-TBB系レジンでアクリル棒を接着した.残留脱灰象牙質を検出できるミニダンベル型接着試料を作り接着強さを測定した.湿潤10-0脱灰象牙質へMMA-TBBレジンを接着した場合5.7MPaであるが, 4-META/MMA-TBBレジンを用いると11.9MPaと接着強さは有意に向上した.湿潤10-3脱灰象牙質に, MMA-TBBレジンを用いた場合には14.2MPa, 4-META/MMA-TBBレジンでは18.9MPaの値が得られた.特に10-3で脱灰された湿潤象牙質へ4-META/MMA-TBBレジンを接着した試料では, 残留脱灰象牙質のない良好な樹脂含浸象牙質が生成されていることが確認され, この接着は耐久性を期待できる.
  • 石川 美保
    原稿種別: 本文
    1997 年 16 巻 6 号 p. 458-471
    発行日: 1997/11/25
    公開日: 2018/04/27
    ジャーナル フリー
    2-メチル-1, 3-シクロヘキサンジオン(MCHD)/アセチルアセトン銅(CAA)/ビニルベンジルテトラデシルジメチルアンモニウムクロライド(VB14)を重合開始剤とするMMA/PMMAレジンによる象牙質の接着について検討した.2〜9%の塩化第二鉄を含む10%リン酸水溶液の前処理剤及びHEMAプライマーを用いた至適条件下では, 4-META-MMA/TBBレジンと同等以上の12.7〜17.6MPaの接着強さが得られた.重合開始剤成分, ヘキサンジオールジメタクリレート, あるいはグルタルアルデヒドをHEMAプライマーに添加すると接着の安定性も向上した.引張り接着強さ測定時に象牙質界面直上でレジンの凝集破壊が起こったが, それはその部分のレジンの残留モノマーが多くなるためであり, さらにこれはMCHD系レジンではレジン層が薄くなるとレジンの重合・硬化が著しく遅延するという現象と関連していることがFT-ラマン分光分析の結果から推察された.
  • 平野 進, 齊藤 仁弘, 西山 實, 平澤 忠
    原稿種別: 本文
    1997 年 16 巻 6 号 p. 472-478
    発行日: 1997/11/25
    公開日: 2018/04/27
    ジャーナル フリー
    口腔環境下でのコンポジットレジンの色調変化を調べるため, 飲食物類似溶液に1, 000日間浸漬してその色調変化について測定した.また溶液浸漬後のコンポジットレジンを乾燥させた場合の色調変化についても測定し, 溶液浸漬前の状態と比較検討した.その結果溶液浸漬により, レジンの屈折率が変化し, その色調は変化する.しかし溶液浸漬後乾燥させた状態では溶液浸漬時よりさらに色調の変化は著しかった.これは長期にわたる溶液浸漬によりマトリクスレジンとフィラーの界面に微少な間隙(〓離)を生じ, そこに溶液が侵入して屈折率が変化して色調の変化を生じ, さらに乾燥するとこの部分が微細な空隙となり, その色調の変化が大きくなるためと考えられた.特に酸によってフィラー成分が溶け出すコンポジットではこの傾向が顕著であった.コンポジットレジンの透過光量試験においても溶液浸漬状態と乾燥状態では透過光量に差を生じていた.これは上述の考えを支持するものであった.
  • 永田 勝秀
    原稿種別: 本文
    1997 年 16 巻 6 号 p. 479-491
    発行日: 1997/11/25
    公開日: 2018/04/27
    ジャーナル フリー
    α型リン酸三カルシウム(α-TCP)とキトサンまたはアルギン酸塩から成る基材に硬化剤を加えて練和し, 賦形性および難溶性, さらに生体吸収性などが期待される骨補〓材を考案した.キトサン系およびアルギン酸塩系骨補〓材はともにα-TCPまた硬化剤の増加により, 圧縮強さが増加し, 硬化時間が短縮した.生理食塩液中では両材とも試料の形状は保持され難溶性であり, 圧縮強さは浸漬直後よりいずれも経時的に低下した.骨埋入試験では, キトサン系骨補〓材の周囲組織に中等度の炎症性反応がみられた.しかし, 骨補〓材の吸収性およびその骨化は良好であった.一方, アルギン酸塩系では炎症性反応が軽度であり, また, 骨補〓材周囲の骨形成も早かったが, 被包化の傾向にあった.両材はともに理工学的にみて使用が可能であり, キトサン系はその骨化が速く, より有望と考えられた.
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