歯科材料・器械
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18 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
原著
  • 楳本 貢三, 渡辺 清子, 倉田 茂昭, 梅本 俊夫, 磯辺 俊明
    1999 年18 巻1 号 p. 1-7
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    ポリアクリル酸の生体適合性評価を行うことを目的として,ヒト歯髄線維芽細胞に対する細胞毒性とインターロイキン-1α,β,インターロイキン-6および腫瘍壊死因子αなどの炎症性サイトカイン産生の誘導について検討した.その結果,ポリアクリル酸添加培養液による細胞増殖試験では,ヒト歯髄線維芽細胞をポリアクリル酸添加培養液で処理した場合,0.1mass%までは細胞毒性は認められないが,0.2mass%になると強い細胞毒性を示した.一方,0.1mass%ポリアクリル酸添加培養液による起炎性物質の産生では,インターロイキン-6産生の誘導が認められた.
  • 平口 久子, 内田 博文, 中川 久美, 田辺 直紀, 土生 博義
    1999 年18 巻1 号 p. 8-14
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    疎水性および親水性ビニルシリコーンゴム印象による模型の再現性に及ぼす印象の薬液消毒の影響を検討した.印象は,2%グルタルアルデヒド溶液中30分間と24時間,および1%次亜塩素酸ナトリウム溶液中15分間と24時間の4条件で薬液中に浸漬した. その結果,疎水性ビニルシリコーンゴム印象材では,いずれの消毒条件でも模型の再現性に影響を及ぼさないので,薬液中への長時間の浸漬による印象の消毒が可能であることが分かった.一方,親水性ビニルシリコーンゴム印象材では,印象の薬液消毒が模型の寸法変化に影響を及ぼし,その影響は消毒剤の種類,浸漬時間によって異なるため,印象の薬液消毒には注意が必要であることが示唆された.
  • 宮崎 光治, 遠藤 剛, 福島 忠男, 川口 稔, 井上 勇介
    1999 年18 巻1 号 p. 15-19
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    側鎖に環状カーボネート基を有するメタクリレートを合成し,その加熱重合および可視光線重合について検討した結果,1)CMA/IGのコモノマーは,BPOおよびCQ/amine系重合開始剤による加熱重合や可視光線重合によって何れも重合しポリマーを生成した.2)CMA/1Gコモノマーは良好な可視光線重合性を示し,70℃加熱重合の場合より高い重合熱を生じた.3)CMAは加熱重合においてIGの重合を促進する傾向を示した.
  • 玉置 洋
    1999 年18 巻1 号 p. 20-28
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    残留モノマーの少ないアクリル系レジンを開発するため,モノマー成分にメチルメタクリレート(MMA)およびエチルメタクリレート(EMA),ポリマー成分にフッ素系ポリマー,MMAおよびEMAの単独重合体およびそれらの共重合体を用いて,それらの成分が残留モノマーに及ぼす影響を検討した.MMAベースの光重合型レジンではフッ素系ポリマーの添加量の増加とともに残留モノマーは減少した.これは,レジンの硬化中にモノマーが重合して生成したポリマーのガラス転移温度あるいは分子量が低いためと推測された.通常のMMAの代わりにEMAモノマーを用いると,残留モノマーが有意に減少し,操作性も向上した.MMAおよびEMAの単独重合体混合物とEMAモノマーからなるレジンは,安全性と操作性の向上したリライニング材料あるいは義歯床用材料として,今後さらに検討する価値があると思われる.
  • 藤島 昭宏, 池田 訓子, 宮崎 隆, 佐々 竜二
    1999 年18 巻1 号 p. 29-37
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    9種類のコンポジットレジンを用いて,5〜55℃水中環境下での曲げ試験ならびに破壊靭性試験,また破断面SEM像の観察を行い,試験時の温度変化がコンポジットレジンの機械的性質に及ぼす影響について検討した. 曲げ試験による,コンポジットレジンの比例限,曲げ強さ,弾性率は温度上昇に伴い顕著に低下したが,塑性変形量は逆に増加を生じた.破壊靭性値(KIC)は,温度変化による影響が曲げ特性の結果より小さく,25〜37℃で最大値を示し,55℃では低下する傾向のコンポジットレジンが多く認められた.破壊靭性値と弾性率から求めた臨界エネルギー開放率(GIC)は,温度上昇に伴う顕著な増加が認められ,コンポジットレジンの破壊挙動は試験時の環境温度に左右され,低温における脆性的挙動は高温における延性的挙動よりも,コンポジットレジンの破壊に対して大きな影響を及ぼすことが認められた.
  • 齊藤 仁弘, 大木 裕玄, 臼井 伸行, 笹尾 道昭, 河西 宗一郎, 西山 實
    1999 年18 巻1 号 p. 38-45
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    寒天・アルジネート連合印象法に用いられる寒天印象材およびアルジネート印象材と,歯科用硬質石こうおよび超硬質石こうとの組み合わせから得られたそれぞれの石こう模型の細線再現性および表面粗さを測定し,それらの適合性について検討した.その結果,以下の事柄が明らかとなった. 寒天印象材との組み合わせについては,細線再現性および表面粗さの両者で評価Aとなったのは,硬質石こうでは24組中4組,超硬質石こうでは30組中0組であった.アルジネート印象材との組み合わせについては,20組中10組,超硬質石こうでは25組中2組であった。したがって,両印象材には,硬質石こうのほうが超硬質石こうよりも適合性が良好であった.また,寒天およびアルジネート印象材と石こう模型材とのそれぞれの適合性を比較すると,アルジネート印象材との組み合わせのほうが寒天印象材との組み合わせよりも適合性が良好であった.
  • 山本 憲廣, 平山 聡司, 早川 徹, 根本 君也, 池見 宅司
    1999 年18 巻1 号 p. 46-51
    発行日: 1999/01/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    本研究は,QTXの細胞毒性についてヒト歯髄由来線維芽細胞を用いて調べることを目的として行った. 本実験で使用した材料は,QTX, CQ, DMAEMA, LBプライマーおよびQTXを3%添加したLBプライマーである.細胞毒性の評価はMTT法と細胞の形態観察により行った. DMAEMAはQTXやCQよりも低い細胞毒性を示した.QTXはCQと同程度の細胞生存率を示し,QTX添加LBプライマーも無添加LBプライマーと同程度の細胞毒性を示した.円形化細胞の割合もCQ, QTXとも同程度に観察された. 以上のことから,QTXをデンチンプライマーやボンデイング剤中に加え得る可能性が示唆された.
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