歯科材料・器械
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21 巻, 2 号
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原著
  • 小川 慶知
    2002 年21 巻2 号 p. 95-103
    発行日: 2002/03/01
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    Down症候群は,常染色体異常のなかで最も多い疾患である.近年,障害者介護技術の進歩に伴って平均寿命が増加し,Down症候群患者に対する歯科材料の細胞毒性レベルにおける感受性を知る必要性が増していると考えられる.しかし,臨床現場で歯科材料を選択する場合に基準となる生物学的基礎データがほとんど皆無である.そこで,Down症候群皮膚由来線維芽細胞様細胞(Detroit 539)と健常者皮膚由来線維芽細胞様細胞(HUC-F)を用いて,根管充填材,覆髄剤および根管治療剤の細胞毒性レベルを単層培養法およびType 1コラーゲンゲルによる3次元培養法を用いて検討した.その結果,Detroit 539はHUC-Fに比べてほとんどの材料で弱い細胞毒性を示し,両細胞の細胞増殖度の違いがその原因として考えられた.単層培養法での50%阻害濃度(IC50)および3次元培養法でのcell viabilityは,両細胞間で相関性が示されたことから,Detroit539を用いた細胞毒性試験の有用性が示唆された.
  • 二瓶 智太郎, 倉田 茂昭, 近藤 行成, 楳本 貢三, 好野 則夫, 寺中 敏夫
    2002 年21 巻2 号 p. 104-115
    発行日: 2002/03/01
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    シリカ/レジン界面のポリシロキサン層の耐水性を高めるために,3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(3-MPS)と3- {[1' -(ペルフルオロ-5-メチルヘキシル)メチル-2' -(メタクリロイルオキシ)]エトキシ}プロピルトリメトキシシラン(MA 7 bF)のような疎水性のフルオロアルキル基と重合性基を含む新規シランカップリング剤の混合シランの処理効果を調べた.各シラン溶液の濃度は,MAnbF(n=5, 7, 9, 11)を3-MPSに対し,10, 20, 30, 50, 70, 100質量%の割合で混合したもので,2質量%エタノール溶液として調整した.それら混合シランで処理したガラス面に対するレジンの引張接着強さやガラス面に対する混合レジンモノマー(50%Bis-GMA,50% TEGDMA)の接触角を測定した.その結果,MA 5 bFはすべての処理濃度で,MA 7 bF,MA 9 bF,MA 11 bFでは10〜30質量%混合のとき,3-MPS単独処理に比べ,高い接着強さと耐水性をもつカップリング層の生成に有効であった.
  • 小林 雅博
    2002 年21 巻2 号 p. 116-125
    発行日: 2002/03/01
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    生体親和性を有するCaO-P2O5-SiO2-Al2O3(CPSA)系ガラス繊維とポリメチルメタクリレートとの複合による歯科矯正用繊維強化プラスチック(FRP)ワイヤーの材料設計について検討した.FRPワイヤーの直径,ガラス繊維の直径およびガラス繊維の体積含有率を変化させた丸棒状FRPワイヤーについて,3点曲げ試験により弾性率などを詳細に測定した.さらに.FRPワイヤーを人工唾液に最長30日まで浸漬した後の弾性率の変化を調べた.そして,荷重-たわみ曲線のたわみが1mmのときの荷重(P)をワイヤーの矯正力と設定して,各種のFRPワイヤーについて矯正力を調べた.その結果,所定の矯正力を所有するFRPワイヤーは,ワイヤーの直径(D)およびガラス繊維の体積含有率(Vf)を任意に設定すると,P=8.6×1011D4(0.68Vf+3.14)の計算式により材料設計できることを明らかにした.
  • 山賀 谷一郎, 森山 明勲, 星野 高之, 倉持 健一, 日比野 靖, 中嶌 裕
    2002 年21 巻2 号 p. 126-131
    発行日: 2002/03/01
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    鋳造体表面の小突起鋳造欠陥の発生を防ぐことを目的として埋没材に界面活性剤を添加したクリストバライト埋没材が市販された.そこで,本研究では界面活性剤を埋没材に添加したクリストバライト埋没材のパラフィンワックスに対する接触角,付着性ならびに流動性について従来のクリストバライト埋没材と比較検討行った.その結果,この埋没材はパラフィンワックスに対する接触角が小さく,付着性が大きかった.流動性は他の埋没材と同じ程度であった.以上のことから,界面活性剤を埋没材自体に添加したクリストバライト埋没材を使用することにより,ワックス表面に界面活性剤を塗布しなくても埋没材がワックスになじみ,ワックスパターン表面に界面活性剤を塗布したときと同様の効果が得られることが示唆された.
解説
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