歯科材料・器械
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20 巻, 6 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
原著
  • 平口 久子, 内田 博文, 中川 久美, 田辺 直紀
    2001 年20 巻6 号 p. 325-333
    発行日: 2001/11/25
    公開日: 2018/08/02
    ジャーナル フリー
    アルジネート印象の1%次亜塩素酸ナトリウム溶液中10分間浸漬が支台歯模型の再現性に及ぼす影響を印象厚さを変えて検討した.アルジネート印象材は, 水中での寸法変化の小さいアローマファインDFIII(AFIII), 水中での寸法変化が大きいジェルトレートプラス(JLP)を使用し, 印象厚さは1, 3および5mmとした.その結果, アルジネート印象の薬液浸漬消毒は支台歯模型の再現性に影響を及ぼし, その影響は, 印象材の製品および印象厚さによって異なった.すなわち, 印象の薬液浸漬が模型の寸法変化に及ぼす影響は, 水中での寸法変化の小さいAFIIIの方が水中での寸法変化の大きいJLPよりも小さく, いずれの印象材でも, 印象厚さ1mmで小さくなる傾向を示した.
  • 水本 登志雄, 新家 光雄, 福井 壽男, 赤堀 俊和, 松下 悟, 長谷川 二郎
    2001 年20 巻6 号 p. 334-343
    発行日: 2001/11/25
    公開日: 2018/08/02
    ジャーナル フリー
    種々の熱処理を施した12mass%金含有歯科用銀パラジウム銅金合金加工材につき, 人工唾液中で疲労試験を行い, その疲労特性に及ぼす人工唾液環境の影響について検討するとともに, そのときの疲労破壊メカニズムについての解析を行った.人工唾液中における各熱処理材の疲労強度は, 低サイクル疲労寿命領域では大気中とほぼ同等の疲労強度を示したが, 高サイクル疲労寿命領域では時効材の疲労強度が大気中のそれより低下した.時効材では, β相が多く析出しているため, β相と母相との界面で腐食が進行し, そこへの応力集中が顕著となるため, 人工唾液中における高サイクル疲労寿命領域での疲労強度が大気中のそれに比べ低下すると考えられる.β相の存在が, 本合金の人工唾液中, すなわち疑似口腔内環境での疲労強度を低下させる原因となる.
  • 宮尾 里香, 横山 敦郎, 亘理 文夫, 川崎 貴生
    2001 年20 巻6 号 p. 344-355
    発行日: 2001/11/25
    公開日: 2018/08/02
    ジャーナル フリー
    チタン(Ti)/ハイドロキシアパタイト(HAP)傾斜機能材料(FGM)のインプラントを放電プラズマ焼結(SPS)法で作製し, その機械的性質と生体適合性を評価した.試料は, 焼結圧40および80MPa, 850℃の条件下で焼結した.Ti含有量が増加するに従ってブリネル硬さは増加した.80MPaで焼結した試料が40MPaより高い圧縮強さ, 曲げ強さを示した.試料表面に形成された骨の成熟は, Ti側よりHAP側で早く観察された.ラット埋入4, 8, 16週後では炎症反応は示さず, 4〜16週においてインプラント周囲の新生骨の接触率は増加した.SPSにより作製されたTi/HAP FGMは機械的強度, 優れた生体適合性および生体反応を傾斜的に調節する性質を有することが示された.
  • 熊澤 龍一郎, 亘理 文夫, 戸塚 靖則
    2001 年20 巻6 号 p. 356-365
    発行日: 2001/11/25
    公開日: 2018/08/02
    ジャーナル フリー
    本研究ではチタン(Ti)微小粉末の生体に及ぼす影響を検討することを目的とし, 各種粒径の微小粉末について動物埋入試験(1〜30週)と細胞機能試験(TNF-α, 活性酸素産生量)を行った.動物実験では炎症性細胞よりも大きなTi粒子群(40, 150μm)に対して, 各粒子ごとに線維性結合組織で被包化された.小さなTi粒子(1〜3, 10μm)では, 特に1〜3μm粒子は, 炎症性細胞により貧食された後, 各粒子群が一塊として被包化された.細胞機能試験においてはTi微小粉末は, 好中球からのTNF-αの放出および活性酸素産生量を上昇させた.以上から細胞よりもサイズの小さいTi微粒子はより強い炎症反応を惹起する可能性が示された.
  • 阿部 智行, 松本 まき子, 服部 雅之, 長谷川 晃嗣, 吉成 正雄, 河田 英司, 小田 豊
    2001 年20 巻6 号 p. 366-371
    発行日: 2001/11/25
    公開日: 2018/08/02
    ジャーナル フリー
    近年, 臨床でもチタン床が多く見られるようになってきたが, 一部の義歯洗浄剤によってチタン床が変色するという報告があるなど, チタンの変色が問題となっている.そこで, 義歯洗浄剤によるチタンの変色の実態と変色の原因について義歯洗浄剤および義歯洗浄剤成分溶液のpH, 浸漬処理前後のチタン表面の電子線マイクロアナライザー, X線光電子分光分析の結果から検討したところ, 強アルカリ領域の義歯洗浄剤で変色が多いことが解明された.変色の原因として化合物の付着ではなく腐食による表面の粗造化と酸化膜が考えられ, 変色の度合いは酸化膜の厚さに依存するものと推定された.
  • 諏訪 伸輔, 亘理 文夫, 飯田 順一郎, 小林 雅博
    2001 年20 巻6 号 p. 372-379
    発行日: 2001/11/25
    公開日: 2018/08/02
    ジャーナル フリー
    懸垂式分銅を用いた摩擦試験機を新たに試作し, 審美FRPおよび各種市販矯正用ワイヤーとブラケット内面との摩擦特性を一面接触および直行する両面に対する二面接触状態で測定し比較した.本試験機によりワイヤー, ブラケットスロット間の幾何学的関係に由来する影響を排除し, 純粋に素材間の摩擦特性評価が可能となった.二面接触状態での摩擦力は, 一面接触時の√<2>倍という予測値よりもやや高い値を示すが, 両接触条件ともに類似した摩擦特性を示した.FRPワイヤーは多結晶アルミナブラケットに対しては, 大きな摩擦抵抗を示すが, 単結晶アルミナ, ポリカーボネート, およびステンレス製の各ブラケットに対しては, 金属ワイヤーとほぼ同等の摩擦特性を示した.臨床的な状況下における摩擦特性は素材間の表面摩擦特性だけではなく, ワイヤーとブラケットの幾何学的関係やワイヤーに作用する矯正力にも影響をうける可能性が示唆された.
  • 今井 弘一, 小室 寧, 西島 真人, 中村 正明
    2001 年20 巻6 号 p. 380-385
    発行日: 2001/11/25
    公開日: 2018/08/02
    ジャーナル フリー
    歯科用金属材料7種ならびにレジン材料3種を用いて, 人工唾液の50%混合条件下で組織モデル(MATREX, LDM, TOYOBO)による細胞回復試験を行った.その結果, チタンは今回の実験条件で人工唾液添加の有無にかかわらず細胞毒性がほとんど認められなかった.金銀パラジウム合金, コバルトクロム合金, 銀スズ合金, 加熱重合レジンおよび常温重合レジンでわずかな細胞毒性が認められた.銀インジウム合金, ニッケルクロム合金で中等度の影響, 銅で強い細胞毒性が認められた.一部の試料を除いて人工唾液添加の有無による有意差があった.唾液成分を含めた培養液においても組織モデルの使用が可能であることが判明した.
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