歯科材料・器械
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21 巻, 3 号
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原著
  • 江 永言
    2002 年21 巻3 号 p. 139-145
    発行日: 2002/05/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    チタン展伸材の規格値と鋳造後の純チタン(JIS第1種〜第4種)との引張強さ,耐力,伸び,硬さの特性値を比較検討するために同一測定条件のもとで行ったところ,JIS第1種から第4種で鋳造材の測定値が引張強さで50%,耐力で10〜40%,伸びでは20〜50%低下した.JIS第1種と比べ第4種が引張強さ,耐力ともに優れた値を示したことは,微量元素の含有量の影響が大きく,特に酸素含有量がEPMAの面分析からも諸特性に大きな影響を与えていると考えられた.
  • 小室 寧, 今井 弘一, 中村 正明
    2002 年21 巻3 号 p. 146-156
    発行日: 2002/05/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    小窩裂溝填塞材,レジン系4材料およびグラスアイオノマー系2材料の合計6材料の発生に及ぼす影響を,マウス由来のES-D3細胞から分化した心筋細胞の鼓動率から調べた.実験には50%細胞分化率(ID50),および同細胞ならびに分化した同種の他細胞(Balb/c3T3cell)の50%細胞生存率(IC50)とを合わせた3つのパラメータを用い,ヒトへの発生毒性を予測するEmbry-onic Stem Cell Test 法にて検討した.その結果,ID50については,レジン系4材料で平均6.4〜9.2 μg/mlを示した.グラスアイオノマー系2材料の液では,Fuji IIIで平均157.3 μg/ml,FujiIII LCで54.1 μg/mlを示した.両細胞のIC50はID50と類似の結果を示した.一方,グラスアイオノマー系2材料の粉末ではID50およびIC50が得られなかった.また,同時に調べた硬化後の材料の細胞毒性について,レジン系4材料はグラスアイオノマー系より強い細胞毒性を示した.以上,今回の小窩裂溝填塞材でレジン系4材料は弱いながら発生毒性を疑わす結果であったのに対し,グラスアイオノマー系2材料の液には発生毒性の疑いはなかった.今後,歯科生体材料の生物学的安全性の観点から,発生に対する影響を含めて,研究・開発段階での調査が必要であることが明らかとなった.
  • 門磨 義則
    2002 年21 巻3 号 p. 157-164
    発行日: 2002/05/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    貴金属に対する接着性モノマーとして,チイラン系二官能性モノマーである2,2-ビス(メタクリロイルオキシメチル)プロピオン酸3,4-エピチオブチル(EP2BMA)を用いた.EP2BMAをエタノールに溶解させることにより,2種類の貴金属用表面処理剤を調製した.被着体として,金合金,金銀パラジウム合金及び銀合金を用いた.鏡面仕上げした合金表面を表面処理剤で処理して1日放置後,チイラン濃度が高い場合(1mol%)には余剰モノマーを除去するために表面を洗浄した.2個の合金試料をMMA-PMMA系レジンで突き合わせ接着させて,2,000回の熱サイクルを加えた後,引張接着強さを測定し,引張試験後の破断面の様相を観察した.EP2BMAを用いて表面処理することで接着強さは有意に向上した.重合開始剤としてTBBOを用いた場合,EP2BMAの効果は9,10-エピチオデシルメタクリレート(EP8MA)の効果に匹敵した.一方,BPO-アミン系重合開始剤の場合,EP2BMAで処理した銀合金に対する接着強さは,EP8MAと比べてかなり低下した.
  • 鈴木 哲也, 織田 展輔, 内田 光春, 早川 巖, 高橋 英和
    2002 年21 巻3 号 p. 165-170
    発行日: 2002/05/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は光重合型レジンが上顎全部床義歯の基礎床用レジンとして有用であるか,常温重合型基礎床用レジンと比較し,検討することである.市販の光重合型基礎床用レジン3種類と常温重合型基礎床用レジン2種類を用い,曲げ特性,ヌープ硬さ,寸法変化率,フィラー含有量および模型への適合性を測定した.光重合型レジンの曲げ特性とヌープ硬さは各製品間で異なり,さらに厚さの違いが性質に影響する製品も認められた.光重合型レジンのヌープ硬さと曲げ特性,特に弾性係数は常温重合型レジンより有意に大きかった.光重合型レジンの浮き上がり量は常温重合型より模型中央部で有意に大きかった.以上の結果から,光重合型レジンは適合性については常温重合型レジンよりやや劣るものの,十分な機械的特性を有し,かつ操作性に優れていることから,上顎全部床義歯の基礎床として有用であることが示唆された.
  • 森山 明勲, 日比野 靖, 星野 高之, 倉持 健一, 山賀 谷一郎, 中鴬 裕
    2002 年21 巻3 号 p. 171-175
    発行日: 2002/05/25
    公開日: 2018/04/06
    ジャーナル フリー
    本実験では硬化初期段階から24時間までのグラスアイオノマーセメントの硬さの経時的変化について検討を行った.実験には2種類の従来型グラスアイオノマーセメントと2種類のレジン添加型グラスアイオノマーセメントを用いた.セメントの練和はメーカーの指示に従い,3種類の粉液比にて行った.セメント試料表面のヌープ硬さをセメント練和開始10分後から24時間後まで測定した.その結果,各測定条件においてセメントの粉液比を増加させるに従い,実験に使用したすべてのセメントの硬さが増加した.従来型グラスアイオノマーセメントの硬さは練和開始15分後までは増加するものの,その後,練和開始6時間後までは硬さの変化は認められなかった.レジン添加型グラスアイオノマーセメントでは硬化初期段階から24時間まで硬さが増加した.グラスアイオノマーセメントの硬さは硬化反応の進行に伴って著明な変化が認められた.
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